心療整形外科

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カテゴリ:痛みの生理学( 310 )


2013年 03月 30日

引っ込め反射(屈曲反射)

侵害刺激が入力されると、侵害刺激から逃れようと、引っ込め反射(屈曲反射)が生じます。

熱いものに触れたとき、手を引っ込めるのがそうです。

この反射は体を守るのに必用なのですが、慢性痛の原因にもなるのでしょう。

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A点B点C点と反射する筋肉が広がっていくことがあります。

同じ神経高位(デルマトーム)内でおきますから、あたかも神経に沿ってとか、神経が悪いという印象をもつのでしょう。

神経高位を超えて広がることがあります。(線維筋痛症)

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by junk_2004jp | 2013-03-30 01:02 | 痛みの生理学 | Comments(3)
2013年 03月 15日

痛みの可塑性―ガマンしてはいけない痛みの話―

http://jsam.jp/jsam_domain/journal/online/pdf/48-3-3.pdf

名古屋大学名誉教授 熊澤孝朗

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http://junk2004.exblog.jp/20148802/
痛みを放置すると、神経系が可塑的に変化し、慢性痛に移行することがあるので、痛みは早期に断ち切ることが最も重要であると思われます。


痛みは早く治療すべきです。

たとえば、腰椎の圧迫骨折の場合、骨折の治療と痛みの治療は別の問題なのです。

骨折が治れば痛みも治るわけではありません。

骨折が治ったが、慢性痛になってしまう症例をみかけます。

痛いのは仕方がないというのはいけないのです。

なるべく痛み止はしないという風潮は患者さんのほうにも医師のほうにもある。

痛みはがまんしてはいけないのです。

痛みの診断は

①除外診断・・・・悪性腫瘍、感染症、リウマチなど炎症性疾患、修復すべき損傷(骨折など)の有無

②積極的診断・・・・・どのような姿勢、環境で痛みが強くなるか、弱くなるか

③治療的診断・・・・・どのような治療、薬剤が効果的か

以前にお話しましたが、中学生が太ももが痛くなりました。

多くの病院であらゆる検査をしましたが原因が分からないということで治療されませんでした。

大学病院の精神科まで紹介で受診したことがあります。

ある整骨院にいくと、先生は私のところに行くようにとのことでした。

2~3回、圧痛点に局所麻酔をうつ治療をしました。

とてもよくなり、今では試合にでているとのことです。その姿を見てお母さんは涙を流して喜んだそうです。

痛みはどれだけ検査をしても除外診断しかできないのです。

痛みを遮断することがとても大切なのです。

局麻は最も安全で確実に痛みの伝導を遮断します。

慢性痛といってもこの症例のように、案外簡単に治ってしまうことがあります。

不安、抑うつ、こだわり、とらわれなど大人と違ってそれほど深くはなかったといえるのかな。


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by junk_2004jp | 2013-03-15 21:28 | 痛みの生理学 | Comments(5)
2013年 03月 13日

”痛みのしくみ”とその歪み

日本臓器製薬からDVDをいただきました。とてもよい内容です。

医師のみならず、患者さんも見ることができたらいいのに。

TVでやってくれないかな。

「神経が圧迫されて」とか「軟骨が減って」というような構造破綻が痛みの原因とはいっていません。



”痛みのしくみ”とその歪み -痛みの慢性化理解のための10項目ー

prologue
        ・痛みの情動記憶
        ・痛みの慢性化
        ・痛みの概念図 
1 侵害受容とイオンチャネル
        ・侵害受容と痛みのインパルス
        ・イオンチャネル
        ・早い痛み・遅い痛み
2 痛みと炎症
        ・炎症とメディエータ
        ・軸索反射
        ・白血球の遊走
3 脊髄後角
        ・脳への中継点
        ・シナプス伝達
4 痛みの弁別系と情動系
        ・新旧脊髄視床路
        ・痛みの認知と経験
5 痛みを抑えるしくみ
        ・ゲートコントロール理論
        ・内因性モルヒネ様物質
        ・下行性疼痛抑制系

以降は「ただいま製作中」

6 痛みを強めるしくみ
        ・末梢性感作
        ・イオンチャネルのリン酸化
        ・中枢性感作
        ・NMDA受容体
        ・ワインドアップ現象
7 可塑性とアロディニア
        ・神経系の可塑性
        ・アロディニア
        ・異所性興奮
        ・脱髄、エファブス、クロストーク
        ・交感神経依存性疼痛
        ・グリア細胞
8 痛みと筋肉
        ・筋緊張と痛み
        ・トリガーポイント
        ・二次性筋骨格系機能障害
9 痛みの調節障害
        ・ストレスと痛み過敏
        ・痛みの長期化と痛み過敏
        ・痛みと抑うつ
        ・線維筋痛症
10 記憶と認知の歪み
        ・想起される痛み
        ・慢性の痛み疫学調査の発見
        ・認知行動療法が捉えた世界
epiloue
        ・痛みのしくみの歪みを防ぐ
        ・身体と心の叫びを聞く
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by junk_2004jp | 2013-03-13 18:42 | 痛みの生理学 | Comments(0)
2013年 02月 26日

先取り鎮痛

手術も外傷です。

全身麻酔で行っても皮膚切開などの侵害刺激は脊髄に伝わり脊髄反射を起こします。それが術後慢性痛になったり、ときには痛みが全身にわたり線維筋痛症といわれる状態になることがあります。

それを防ぐために切開する部分に全麻のときにでも局所麻酔をします。このことを「先取り鎮痛」といいます。

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この図で「一過性の大きな侵害刺激」のところに「手術」をいれれば理解できます。

手術だけでなく乱暴な整体なんかも危険です。

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by junk_2004jp | 2013-02-26 00:31 | 痛みの生理学 | Comments(6)
2013年 01月 16日

未だに神経の圧迫部位を探している医師がいるとは!

Aさん(60歳代)はしばしばぎっくり腰をおこしますが、その都度、数日で治っていました。

今回は半年前にぎっくり腰になりましたが、なかなか治りません。

数多くの病院を受診しましたが、特に異常がみつかりませんので治療法が分からないということでした。

有名な脊椎の専門病院に1カ月間入院して検査を受け治療(神経根ブロックなど)全く効果がありませんでした。

知り合いの整体師に相談したところ、筋肉かもしれないので私のところを受診するようにアドバイスをうけました。・・・・・整体師さん、どうもありがとうございました。

4時間ほどかけてこられたそうです。

体は前屈みになり傾いて、いかにもつらそうです。

「この痛みから脱出できるのなら何でもします。」と情けない表情です。

多裂筋や腰腸肋筋などに強い圧痛がありましたので、4か所に局麻を注射しました。

数分の検査と治療で、痛みは取れました。一挙に改善しました。

このように、画像で異常がなかったらもう治療ができないし、なぜ痛いかを説明できないのが多くの医師の実情です。

もしAさんにヘルニアや脊柱管狭窄や分離症、すべり症があろうもんなら、それが痛みの原因だという説明が行われて、無駄な手術をされたことでしょう。

画像検査は特異的な疾患(悪性腫瘍、感染症、リウマチ、骨折)があるかないかの除外診断の意味しかありません。

未だに神経圧迫部位を探している医師がいるとは驚きです。

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by junk_2004jp | 2013-01-16 20:55 | 痛みの生理学 | Comments(0)
2012年 10月 15日

損傷と障害

椎間板(ヘルニアも含めて)、半月板、軟骨、腱板などの異常は

①一過性の大きな外力が加わって生じた・・・・・・・・・・痛みを必ず伴っている

②慢性的な外力(姿勢など)が加わったため生じた・・・・痛みを伴っているとはかぎらない

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この図をよく見てください。

「痛みの原発刺激」はこの図では骨折になっていますが、打撲、捻挫、むちうち、半月板損傷、腱板損傷、椎間板損傷、長時間の固まった姿勢、過剰な運動や労働、伸張性収縮、寒冷、緊張、手術、乱暴な整体など

何らかの侵害刺激が長い病歴のはじまりです。

骨折の場合、痛みの第一波はどこから発せられたのかはわかりません。骨からなのか、筋肉からなのか。

しかし、その第一波に反応するのは第二波以降は筋肉からはっせられます。

構造の治療と痛みの治療は別問題なのです。

痛みの治療することはとてもだいじなのです。その痛みが慢性化して大変な目にあわないともかぎりません。

痛みの治療をすることは結局は血行が改善して構造の治癒を促進します。

手術も侵害刺激になります。

全麻で手術をするときでさえ、切開部に局麻をうちます。これを「先取り鎮痛」といいます。

全麻は脳は眠っているかもしれないが、痛みの反射は起きているのです。術後の痛みが遷延化するのを防ぐわけです。

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どんなに長い痛み歴でも痛み刺激が発せられる侵害刺激の第一波があったわけです。

早期にブロックすると、以後の長い病歴はなくなったのかもしれない。

痛みは我慢するものではないのです。

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この図は痛みが広がっていくのを表しています。

臀部の痛みが下肢全体の痛み(坐骨神経痛)に広がるのは有名です。

反対側にもひろがります。


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by junk_2004jp | 2012-10-15 22:02 | 痛みの生理学 | Comments(1)
2012年 09月 08日

ガキでも分かる生理学

痛いということは脳の細胞が興奮していること。電球がついているということ。
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ではその電気がどこで作られどういう経路を通って脳に到達しているのか。

本来の痛みの意味は侵害刺激からの逃避にあります。
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打撲や捻挫など一過性の大きな外力(このとき、骨折や靭帯断裂など構造破綻があることもあるが、痛みとは別の治療)、過剰な労働、運動、伸長性収縮によって起電されます。

骨折でもしていればレントゲンやMRIでわかりますが、それ以外は起電の部位はわかりません。

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ポリモーダル侵害受容器で起電されます。発痛物質や外力を電気エネルギーに変換するのです。

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電線(神経)を電気が送られていく様子です。電線(神経)を圧迫しても電気は生じません。

電線を圧迫すれば電気が生じるのなら、原子力も火力もいりませんね。

外傷や過労がおさまれば、痛みも収まるのならいいのですが(急性痛)、十分それらが収まったと思われる時期を過ぎても(3週間)痛みが続くことがあります(慢性痛)。

それは脳が痛み刺激に対して、反応するからです。筋肉を緊張させ、交感神経を緊張させるからです。(痛みの悪循環)

このようにして痛みがいつまでも続くと(慢性痛)、ワインドアップ現象といって痛みが強くなっていくことがあります。痛みの部位が広がっていくこともあります。

慢性痛では末梢性感作(受容器の受容体の数が増える)や中枢性感作(脊髄後角の受容体の増加、疼痛抑制系が弱まる)がおきます。

構造異常が電気をつくることはありません。軟骨や半月板、椎間板に変性があっても電気は生じません。あたりまえのことです。

極端な左右差やO脚は筋緊張を永続する可能性はあります。

レントゲンやMRIに写る変化は痛みの原因ではなくて、痛みによる筋短縮の結果、あるいは外力の結果です。生来のものもあります。

痛みはエネルギーともいえます。構造そのものがエネルギーをもつことは絶対にありません。


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by junk_2004jp | 2012-09-08 15:47 | 痛みの生理学 | Comments(10)
2012年 08月 09日

精神的な痛み?

「精神的なものといわれていたが、ヘルニアの手術をしたら、すっかり治った。ヘルニアによる痛みだったのだ。」

この文章に対して

「ヘルニアの手術をしたらすっかり治ったのなら、それは精神的な痛みだったのだ。」

ということもできます。

痛みとは脳の認知と反応で「個人的体験」と定義されています。

つまり、精神が関係しない慢性痛はありえないのです。生物・心理・社会的疼痛症候群といわれています。

精神的をもう少し詳しくいうと

1)心身症レベル;「心身症とは身体疾患が確立していて、症状が環境によって変化するもの」ほとんどの痛みはこれですね。心療内科がこういう痛みをみます。

2)精神科レベル;身体ー脳の関係がない、脳内だけの妄想的な痛み。松葉つえをついたり演劇的なことが多い。病態を理解できない。詐病ではない。

1)2)を区別するのは難しいことがあります。2)は診断というより、鑑定という感じでしょうか。

1)も2)精神的とか心因性という表現を使うことがありますね。つまりどのような痛みも脳が関係しているのです。

だから私は精神的とか心因性という言葉は使いません。

不安の人、こだわりの人、完全主義の人、全か無的な考えをする人は、医師からヘルニアの画像をみせられた瞬間から、痛みとヘルニアを強く意識をしてしまうものです。

脳内にぬぐいきれないネットワークができる。




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by junk_2004jp | 2012-08-09 01:50 | 痛みの生理学 | Comments(0)
2012年 08月 07日

神経障害性疼痛という新しい概念は誤解をうむ

脊椎外科医は神経根性疼痛という概念を信じ込んでいる。これを否定すると、仕事がなくなってしまいかねない。

これは神経根(脊椎からの出口の部分)がヘルニアや脊柱管狭窄、椎間孔狭小などで圧迫を受けるとその神経の支配領域に痛みやしびれが生じるというものだ。

MRIの発達で健常人でもこのような変化はよくみられることがわかると、ヘルニアのときは髄核による炎症、脊柱管のときは神経根の血行障害といっているが、これも生理学ではそのような事実は考えられない。

文章や口頭で説明されてもよくわからないので電気の流れを図に書いてもらうことだ。そうするとその矛盾に気づく。

根性痛とは

神経根で生じた痛みの電気信号は脳に向かう。このように受容器以外の部位で痛みが生じるのを異所性発火という。正常な神経線維では起きない。傷ついた神経でおきることがある。

脳は神経根からきたとは判断できず、その神経の先端からきていると誤認する。

根性痛に圧痛があってはいけない。

消炎鎮痛剤は効かない。

一方、神経障害性疼痛(neuropathic pain)はどのように判断するのかといえば、ドイツやフランスでは症状を電話で聞いて判断している。そこにはヘルニアや脊柱管狭窄といった概念はない。

線維筋痛症の人はたぶん全員が神経障害性疼痛にはいるとおもわれる。

脊椎外科医は手術をしても治らないのは神経の障害がすすんでいて元にもどらないからだという。

では元に戻らないまで放置していた責任はどうなるのか。

圧迫を受けたまま保存的に治るのはどうしてか。

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by junk_2004jp | 2012-08-07 14:03 | 痛みの生理学 | Comments(0)
2012年 08月 06日

「神経障害性疼痛」という玉虫色の言葉

小川節郎先生の「神経障害性疼痛の疫学と現状という論文から。 赤字は私の意見、感想

・神経障害性疼痛(neuropathic pain;NeP)は刺激や炎症による侵害受容性疼痛とは異なり、NSAIDsに治療抵抗性の疼痛と知られている。

・国際疼痛学会では「体性感覚系に対する損傷や疾患の直接的結果として生じている疼痛」と定義されている。

以前はneuropathic painを神経因性疼痛といったものだ。神経線維が傷ついたときに他の神経線維と交通して生じることがある。幻肢痛が代表的。最近は神経障害性疼痛といっているようだ。

・本邦においては、慢性疼痛の疫学調査はいくつか報告されているが、神経障害性疼痛の疫学についての報告はなかった。

たぶん、どういう状態を神経障害性疼痛というのか、研究者の間で一致した考え方がないからであろう。

・国内ではおおむね成人の5人に1人が慢性疼痛

・神経障害性疼痛は新しい概念

・フランス2004年;慢性疼痛保有者の21.7%(全調査対象の6.9%)が神経障害性疼痛

・ドイツ2007年;慢性疼痛保有者24.9%、全調査対象の6.5%が神経障害性疼痛

・ドイツの調査は神経障害性疼痛の特徴的な症状を電話で確認することで神経障害性疼痛の有無を調査している。

つまりレントゲンやMRIは必用がなく、神経学的検査も必用がないわけだ。特徴的な症状をきいて判断する。

    1)針でさされるような痛みがある
    2)電気が走るような痛みがある
    3)焼けるようなひりひりする痛みがある
    4)しびれのつよい痛みがある
    5)衣類が擦れたり、冷風が当たったりするだけで痛みがはしる
    6)痛みの部位の感覚が低下していたり、過敏になっていたりする
    7)痛みの部位の皮膚がむくんだり、赤や赤紫に変色したりする

・ペインクリニック専門医により開発された自己記入式の神経障害性疼痛スクリーニング質問票を用いて、スコアが6点以上を神経障害性疼痛とした。

・本邦では26.4%が慢性疼痛、そのうち24.1%(全調査対象の6.4%)が神経障害性疼痛

・国民の役660万人が神経障害性疼痛

・疾患別の神経障害性疼痛の有病率 

       帯状疱疹患者の10~15%
       脊髄損傷患者の75.3%
       糖尿病患者の20%

・神経障害性疼痛は他の慢性疼痛と比較して重症度が高く罹病期間も長い

脊椎外科医が神経障害というと椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症をおもい浮かべることだろう。しかし、上のペインクリニック医の論文ではそのどちらもでてこない。

ペインクリニック医のいう神経障害性疼痛というのは慢性痛のうちの自律神経症状の強い重篤なものをそういっているようだ。

ほんとうに神経を損傷したあとに痛みがあるCRPSタイプ2と慢性疼痛の重篤なものは臨床的には症状から判断すれば違いがなくこのように表現されるのであろうが、説明がややこしく脊椎外科医がまちがって理解する可能性がある。

 

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by junk_2004jp | 2012-08-06 18:51 | 痛みの生理学 | Comments(8)