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2005年 08月 31日

異なった教育を受けた医師が診たら

もし,異なった教育を受けた医師が,同種の症状に対して異なった評価基準を用い,異なった診断を行うならば,転帰を正確に評価することはできない。

この言葉はとても意味のある言葉です。現在の腰痛をはじめとする筋骨格系の痛みを診断したり、治療したり、ガイドラインを作成ている医師は内外を問わず、いわゆる整形外科的な教育を受けた医師なのです。

たとえば、腰痛や下肢痛の場合、ほとんどは筋筋膜性疼痛なのですが、(つまり筋肉に注目しなければいけないのですが)それを脊椎専門医が自分の領域の疾患だと思い込んでしまっているのです。筋硬結という言葉さえ聞いたことがない医師が、診断、治療していても不思議ではありません。

このような歪み現象があるかぎり、海外のガイドラインや日本の「椎間板ヘルニアガイドライン」は根本からあてになりません。

神経根性疼痛、神経根刺激症状これらの言葉を用いて、痛みを説明しようとしていますが、これは生理学的常識からかけ離れているのです。

どの患者がどの治療法によって恩恵を受けるかを判定するうえでの問題点は,疼痛の診断・治療用語が統一されていないことである。適切な治療法の選択には共通の言語が必要である

まさにそこからはじめなければいけません。

違った教育を受けた医師が「腰痛、下肢痛」を診断、治療したときまた異なったガイドラインができることでしょう。


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by junk_2004jp | 2005-08-31 13:25 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(1)
2005年 08月 30日

ストレスが招く視力低下(北國新聞より)

ここ数年、各地で震度五以上の大地震が発生したという報道を耳にしますが、震災後に視カ低下を訴える小中学生が増えていることをご存知でしょうか。

これらのほとんどは心因性視カ障害と考えられています。地震の大きなエネルギーが思春期の子どもたちの心にストレスを与えた結果起きる心身症と思われます。

視カ低下の原因となるストレスは地震ばかりではありません。最近、小学四年生以降に同様の症状が出ているという報告があります。特に女児に多いそうです。

学校生活の中でクラスや部活になじめない、姉妹の長女でよく両親に注意される、赤ちゃんが生まれ母親にかまってもらえないなど、大人が思いもつかない理由が子どもにとって大きなストレスになることがあります。楽しい夏休みを終え二学期に入る時期、子どもの視力に注意してください。(北國ドクタークラブ会員・おかやま眼科医院院長、小松市)


なるほど、これもストレスですか。そういえば眼のレンズを調整しているのも筋肉ですし、自律神経系の影響は受けているのですね。


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by junk_2004jp | 2005-08-30 08:19 | うつ・不安・ストレス | Comments(0)
2005年 08月 29日

急性痛の治療は必要か

直ちに鎮痛すべきである。診断は痛み以外からでもできるし、患者の協力が必要である。

痛みはいかなる時も速かに止めること。医療では完壁よりも急を尊ぶ場合が多い。

痛みからの解放は人間としての権利である

一方、急性痛はほとんどが自然治癒するから、医師が積極的に身体的な介入はひかえたほうがよいと主張する人もいる。
この考え方の相違は生活の都合や個人的な信条なので、意見の一致は期待できないでしょう。

医師の介入は痛みを長引かせるという意見もあるが、どうなんだろうか。
急性痛と慢性痛の線引きはどのようにしたらいいのだろうか?

私は可能な限り安全で確実な方法、恐怖のない方法で痛みをとってやるべきだと思っている。それは圧痛点ブロック(トリガーポイントブロック)がすぐれている。理由は痛みの生理学的メカニズム、薬理作用から考えてのことです。また、長年の臨床経験からもそのように思っています。

一方、顎、頚、腰、膝などに慢性の痛みをもっている人がおおぜいいるのも事実です。慢性痛に対して、万人に共通な有効な治療法がありません。

慢性痛の陰に筋・筋膜痛・ トリガーポイント療法が奏効

慢性痛の治療にも圧痛点ブロックはためしてみる価値はあると思います。
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本日の症例:40歳代、男性、先ほど、物をもった拍子に腰が痛くなる。立つことが困難なので、車椅子でくる。今までに腰が痛くなったことはない。腰、上臀部の4つの圧痛点に計12mlの局所麻酔を注射する。楽になり、歩いて帰ることができた。

付き添いで来られた方、2年前に当院で膝の治療(水がたまる)したそうで、よく運動をするようにしてから、今は全く痛くないとのことでした。私は全く忘れて、顔も思い出せないですが。
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60歳代、女性、本年2月にぎっくり腰で1日来院している。今回、2日前に軽いぎっくり腰、腰の痛みが引いたら、左下肢が痛くなる。膝を曲げていないと痛みがつよい。下肢の圧痛点ブロックをする。3日後、腰や膝を伸ばして歩かれるようになる。圧痛点は大腿部のみとなる。3日後、ほぼ治癒する。
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いずれも急性痛の症例ですが、いずれ治るといってしまえばその通りですが、不必要な痛みをすみやかに止めてやり、痛みのメカニズムを説明し、不安をとってやることが肝要だと思います。


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by junk_2004jp | 2005-08-29 17:16 | 症例 | Comments(2)
2005年 08月 28日

痛みの診断

痛みの診断で、画像診断は「除外診断」です。つまり、骨折はない、悪性腫瘍はない、感染症はない、ということです。除外診断はけっこう不安なものです。「~でないです。」というのは勇気がいりますね。「このレントゲンでは、特に異常は見つかりませんが、経過をみて、痛みが続くようなら、再度検査をしてみましょう。」といっておくのが無難です。椎体の圧迫骨折などは、最初はよく分からないこともあります。

除外診断だけというわけにもいかないでしょう。「積極的診断」として、痛みを再現させる、つまりどのような動作、体位で痛むか、圧痛はあるのか、を調べます。これによってどこが痛みの発信もとかおおよその見当がつきます。

「治療的診断」、圧痛点に局痲剤を注射するとその痛みはどうなるか、消炎鎮痛剤の投与でどうなるか、抗うつ薬や抗不安薬の投与でどうなるかなどを観察して、総合的に判断します。

たとえば、「筋筋膜性疼痛症候群」「うつ状態による筋筋膜痛症候群」というように。

どこまでの診断をすればよいのかは、患者さんの希望に沿ってですが、注射や投薬はもちろん了解を得てでのことです。

トリガー・ポイント注射の奏効機序


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by junk_2004jp | 2005-08-28 15:26 | 痛みの生理学 | Comments(0)
2005年 08月 27日

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)

筋筋膜痛症候群という病気は、まだすべて原因が解明されたわけではありませんが、外傷や筋肉炎などのあとで、慢性の深部の痛みと、そこから関連痛として考えうる痛みが続くものをいいます。シモンズが診断基準(表2)をあげており、私どもも原因不明とされていた慢性痛の中に、数多くこの症候群を認めています。治療は原因筋を同定することから始めます。つまり、丹念に痛みを訴えている部分の筋肉を触診し、硬さや圧痛点の有無を調べるのです。原因筋には必ず索状に硬くなった部分があり、そこが庄痛点となることが多いので、そこへ局所麻酔剤を注入(ブロック)します。

診断が早げれば、治療効果は劇的で、一回の圧痛点ブロツクで痛みが消失することもあります。Jさんの場合、長い間無理を続けていたため慢性の筋肉疲労と広い範囲での筋硬結(筋肉のしこり)があり、圧痛点ブロックの効果は劇的ではありませんでした。しかし同時に心理的にも対人不安が強かったため、温めてマッサージする物理療法とともに、心理療法を加えることによってしだいに痛みは改善していきました。この筋筋膜痛という病態はあまり有名ではありませんが、実際の痛みの臨床場面では多くみられます。特に痛みを扱う医師にとっては、こういう病態があるということをまず知らなければなりません。そうでないと患者さんに対する対応がうまくいかないことになります。
 
脳の痛み 心の痛みー慢性痛からの開放をめざしてー
          
                  北見公一   (三輪書店)


最も身近であって、最も縁遠い「筋痛症候群」 

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外来で診ている痛みはほとんどが筋筋膜性疼痛症候群です。圧痛点をブロックすると痛みがやわらぐということは、筋筋膜性疼痛のひとつの証拠です。それは、生理学的にも薬理学的にも合理的な説明がつきます。

急性の場合は劇的に効きますが、強い不安や抑うつが原因の筋筋膜痛の場合は、それだけでは治癒しないことが普通です。また、補償のからんだケースも難しいことがあります。

転換性障害(ヒステリー;身体表現性障害)は筋筋膜性疼痛かどうかは疑わしいです。

慢性化したものにたいしては、心身医学的立場で、治療が必要です。筋筋膜性疼痛症候群は心理・社会的要素が背景にあります。


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by junk_2004jp | 2005-08-27 13:55 | 痛みの生理学 | Comments(12)
2005年 08月 26日

痛みを数値化 世界初の医療機器開発=岡谷の「オサチ」

岡谷市長地小萩2の「オサチ」(小松勝社長)は、痛みの大きさを数値化して客観的に判断する世界初の医療機器「閾(いき)値・痛覚測定システム(仮称)」を開発し、商品化に向けた量産体制を整えた。2006年3月に厚生労働省の承認を得る予定で、同年4月の発売を目指している。

痛みは主観的な感覚量のため、正しく他人に伝えることが困難で、医療現場でも患者自身の申告に基づいて医師が痛みの大きさを判断し、治療や投薬が行われている。

こうした状況を踏まえて、同社は感じている痛みの大きさと同程度の強度を感じる電気刺激を測定し、痛みを客観的に定量化する計測器を開発した。

パソコンを付属する大型タイプと計測装置を内蔵した小型タイプの2種類を製品化する計画で、どちらも腕に取り付けた電極パットから肩こりなどのリハビリで使う痛みを伴わない弱い低周波を流し、徐々にその量を増やしながら、刺激を感じた段階と、痛みと同程度の刺激を感じた時点を測定。3回繰り返して平均値を算出する。

同社は1998年に同システムを試作。2000年9月に米国、05年7月には日本でそれぞれ特許を取得した。現在、信州大学大学院医学研究科加齢病態制御学の橋爪潔志教授と共同研究を進めており、同大学と国立松本病院、東京大学医学部付属病院で臨床評価が行われている。

橋爪教授は報告書の中で、痛みが定量化できれば予防医学や治療現場の診療支援になるとしている。同社も「薬の投与が適正になるなどの診断の指標になる」と話す。大手医療機器メーカーと進めている市場調査では、糖尿病治療などに用いられる閾値評価のほか、治療効果の判断などの医療現場に市場を確認した。

価格設定は20万円から50万円を予定しており、岡谷市の本社工場で生産する計画だ。


それにしても、自己申告の域のようですね。買うべきなのかな?


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by junk_2004jp | 2005-08-26 01:55 | 痛みの生理学 | Comments(2)
2005年 08月 25日

神経ブロック ・ 教育TV

昨日、教育TVで、神経ブロックについて有名なペインクリニックの教授が解説していました。
内容は従来のごとく、椎間板ヘルニアや脊椎管狭窄症では、神経が圧迫されて、あるいは癒着で痛みが起きるという内容でした。

これは生理学的には証明できません。なぜ、このような間違いが繰り返して言われるのか不思議です。

痛みは突き詰めれば、電気現象です。”どこで、何がエネルギーになって起電され、どのようなルートを通って伝えられ、その電気情報がどこでどのように解読されるか”ということです。

電気系統の異常なのです。それを大工さん的な頭脳(整形外科医)でみるのではうまくいかなかったのです。ペインクリニック医も整形外科医と同じ発想なのはがっかりです。

ペインクリニックで治るということは、電気生理学的な現象だからなのです。構造的なことが原因なら、ペインクリニックで治ることはないのでしょうが・・・。それをなぜ強調しないのか?I.T.(Information Technology)的な頭脳(発想)が必要なのです。

局所麻酔は情報伝達の遮断に最大の武器になります。


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by junk_2004jp | 2005-08-25 10:57 | 痛みの生理学 | Comments(2)
2005年 08月 24日

脊柱管狭窄症といわれた痛みが治った!

今、喜びの電話をいただきました。

長年、苦しんだ、腰痛、下肢痛(いわゆる坐骨神経痛)で一時は車椅子状態でした。病院では「脊柱管狭窄症」という診断でした。

妻から、「痛みと自分自身を分けて!」というアドバイスを受けて、ある日、急にひらめいて、腰の後反り(正座位で)をやり始めたそうです。このような運動は悪化させるので禁止される可能性があります。

そうすると次第に、痛みがやわらいでいったとのことです。

私は、「必ず治ります」というようなアドバイスをしたのですが、彼は半信半疑だったのですが、それを信じてよかったという電話でした。

「神経が圧迫を受けると痛い」というのは間違いですから、原因は脊椎にはないのです。

脊柱管狭窄症の画像:画像所見は症状とほとんど関連性がない

痛みの原因は「生物・心理・社会 Bio-psycho-social 」的なことなのです。

私のアドバイスは宗教的な感じがしたそうですが、とんでもない、科学に基づいています。


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by junk_2004jp | 2005-08-24 18:00 | 慢性痛 | Comments(1)
2005年 08月 23日

「獲得体験」を愛おしむ    夏樹静子

<ラジオ深夜便>に出演させていただいてから、ちょうど一年半が経ちました。

番組では、私が原因不明の激しい腰痛に三年間苦しみ、最後に心療内科で心身症と診断され、二か月の治療で劇的に快癒した体験をお話しさせていただきました。痛み続ける腰には指一本触れられず、心の持ち方を変え、身体と心の深い繋がりに目を開いたことで治ったのです。

無知なまま走り続けてきたような私も、この経験から多くのことを学びました。自分の中には自分の知らない自分がいるーのですね。人はとかく、意識していることだけを自分の本心と考えがちですが、その下には自分の気づかない潜在意識があります。私の場合、意識はひたすら仕事に没頭していたのですが、潜在意識はもう疲れきって悲鳴をあげていました。二つが乖離したあげく、潜在意識が幻の病気を作り出し、私は身動きもままならない病人になりました。潜在意識の「休みたい」という「本音」の声が聞こえていなかったのです。以来私は、「どんなに元気なつもりでも、時には立ち止まって、潜在意識のかそけき声に耳を傾けましょう」とお話ししています。・・・・・・・

__________

ヘルニアや辷り症が原因と言われている痛みも、夏樹静子さんと同じことなのです。症状の強弱はありますが、その延長上のことです。

ヘルニアで痛みを説明できません。構造破綻で痛みを説明できません。生物・心理・社会的要素が原因で筋筋膜性疼痛がおきているのです。


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by junk_2004jp | 2005-08-23 20:29 | 慢性痛 | Comments(2)
2005年 08月 22日

慢性疼痛患者は、基本的に医療不信におちいり、

慢性疼痛患者は、基本的に医療不信におちいり、さまざまな心理社会的反応を起こし、疎外感に満たされている
現代医療にはいくつか日の当たらない部分があるが、慢性疼痛もその一つである。先に述べた1)~3)の理由で、患者は、まず自らの疼痛が現代医療をもってしても解決されないことに怒りを感じ、ひよっとしたらと思い何らかの民間療法を試みたり、名医を求めてドクター・ショッピングを繰り返したりする。そのうち、時間の経過とともにさまざまな心理社会的反応をひき起こすことを余儀なくされ、患者の人生の質的レベル(QOL)はみるみる低下してゆく。そこにいくつもの悪循環が生じてゆく。

医療不信を抱いたまま、しかし、それでも医療にすがらざるをえないという矛盾が彼らを一層苦しめる。それは、あきらめか疎外感すら生じさせる結果となる。

こうした状況の中で、治療者の総合的な医療能力(疼痛に関する包括的な知識・技術・態度)を患者は冷徹に見抜いてゆく。こうした場合、バリント(Balint,M.)の言う「薬としての医師」の薬理作用の果す役割は何にもまして大きい。

バリント療法ー全人的医療入門   監修:池見酉次郎  編集:永田勝太郎
                       医歯薬出版株式会社



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by junk_2004jp | 2005-08-22 19:59 | 慢性痛 | Comments(2)