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2007年 11月 30日

痛みを診ることのできない医師たち③

先生の苦しんでいる者への治療、研究、そして尽力により多くの報われない方々が救われ、酷い矛盾だらけの医学医療がよい方向に向いてくれる事を心から願うばかりです。

絶望的な中心部の深部筋腱病で生活の質QOLをすべて奪われた・・・・・・
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このような出だしで始まるA4版60枚を超える書簡をいただきました。ありがとうございました。

現代医学に失望し怒りを抱いていらっしゃることが書かれています。ご同情申し上げるとともにどうか快方に向かわれることをお祈りします。

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図は書簡から

この図のように、レントゲンやMRIで異常がない場合は、医療の対象にされないか、精神的な問題とされ精神科に回される。そこではうつ病や神経症という診断がされて抗うつ薬や抗不安薬が処方される。しかし一向によくならない。厄介者の患者というレッテルが貼られる。

しかし、これとは逆のケースも多くある。レントゲンやMRIで見つかった健常人でも見られるような異常を痛みの原因だと誤認されることだ。いつのまにかそれは世間ではあたりまえのことのように思われるようになってしまう。その代表的なものが椎間板ヘルニアであり、変形性膝関節症だ。

ブログの推奨本等から「椅子が怖い」・・・神経症・・・フィルムの骨がなんともなければ、とどのつまりはこういう解釈なのですか。これではフィルムの骨さえよければそれでよしの何々外科(整形外科や口腔外科)の概念と結局同じではないでしょうか。・・・・・・

「腰痛は脳の勘違いだった」「椅子が怖い」・・・等々を私が送った長文に出てくる顎関節症の第一人者***歯科医師や***精神科大学教授がみれば大喜びするでしょう。・・・・・・


このあたりは誤解があるようです。痛みは筋肉にspasm(攣縮)をおこし、筋肉は次第に短縮していきます。
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神経回路は可塑的変化が生じます。
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愛知医科大痛み学講座ホームページより


慢性痛の治療にあたっては、筋肉にだけの介入ではうまくいかないことも多いものです。時間的、経済的にも自ずと制限があるわけですから。抗うつ薬や抗不安薬は痛みの回路に介入する薬です。うつ病や神経症だから処方するのではありません。とにかく慢性化した痛み、難治な痛みには多角的に治療にあたる必要があります。
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by junk_2004jp | 2007-11-30 23:56 | 慢性痛 | Comments(1)
2007年 11月 29日

ANA

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BGMは定番
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by junk_2004jp | 2007-11-29 19:45 | Comments(6)
2007年 11月 29日

痛みを診ることのできない医師たち②

痛みはexperience(体験)と定義されている。個人的な体験なのだ。他人がそれを否定できる性質のものではない。また逆にそれを客観的に証明できるという性質のものでもない。

医師はそれを診断しなくてはいけない。診断がさせなければ保険診療が行われない。

それをふまえて、画像診断とは何であろうか。それは痛みを伴うことがある特異的な疾患の有無を検査するということである。それは、悪性腫瘍、感染症、骨折などの明らかな損傷である。

これらがある場合でも痛みがあるかどうかは分かるわけではない。痛みを伴って以上のような特異的な疾患が見つかれば、痛みの治療とは別途にこれらに対して治療を行う必要がでてくる。画像診断はあくまでも除外診断なのだ。

除外診断の次は、どのような時に痛みが強くなり、また弱くなるか、心理的な背景はどのように影響を及ぼすかといった機能的要因や心理的要因を積極的に診断していかなくてはならない(積極的診断)。

痛みの診断において重要なのは治療的診断だ。治療の効果を見て推理していくわけだ。といっても闇雲に治療するわけではない。

痛みのメカニズムに沿って行われる。

もしすべてのポリモーダル侵害受容器にシリアルナンバーが付いていて、脳が完全にそのナンバー(部位)を識別できるとしたら誤診は生まれない。残念ながら脳は漠然としか識別できない。ときには違った部位に痛みを感じることがある(関連痛)。

医師は長年の経験で症状からどのへんのポリモーダル受容器が活性化しているかは分かっている。画像からは分からない。まずは圧痛点を調べることだ。そこは痛覚が過敏になっている。筋肉は緊張して硬くなっている。

そのポリモーダル受容器に対して局所麻酔をうつ。痛みが消えるか軽減すれば、そこのポリモーダル受容器が活性化していたという根拠の一つとなる。急性痛の場合はこのような治療でよくなる。

なぜそこのポリモーダル受容器が活性化していたのか。内因性の発痛物質が産生遊離されていたことによる。ではなぜ内因性の発痛物質が産生遊離されたのか。

構造的欠陥が内因性の発痛物質を産生するという生理学的な根拠はない。それは交感神経の緊張による微小血管の収縮による酸欠によると言われている。

ではなぜ交感神経が緊張するのか。一つは、外力が引き金、もう一つは心理的な緊張がある。

このようにして推理して「診断」するわけだ。

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痛みの悪循環が続くと神経回路に可塑的変化が生じるといわれている。それを慢性痛症という。治療は急性痛と違ってなかなか難しいものだ。

痛みは急性痛のうちに消してしまうこと。慢性化した場合は多面的に治療が必要となってくる。
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by junk_2004jp | 2007-11-29 17:47 | 痛みの生理学 | Comments(0)
2007年 11月 28日

痛みを診ることのできない医師たち①

今回は、脊柱管狭窄症の痛み?

神経根性疼痛、根症状、根刺激症状、nerve root pain、 radicular pain これらの言葉で定義されている痛みを根底から払拭しなければならない。

神経根には痛覚受容器(ポリモーダル受容器)がない。そこを刺激したところで、そこに炎症が起きたとしても痛覚は生じない。それは生理学が教えるところである。

神経根に注射針をさしたときに痛みが再現するのを根拠にすることもあるが、これは無茶な話だ。針を刺せば穴があき一過性に脱分極が生じる。圧迫とは全く異なる。

根性疼痛という間違った概念をなんとかしないかぎり、誤診が続くことになり、患者の痛みは救われない。

私は、少なからずの症例を診てきた。私が診たところではいずれも筋痛症だった。

エリーさんの闘病記より
ややしばらくして、
「まあ、反射がちょっとおかしいかな、とか脈も多少は弱いかな、とかさ、全然異常がないかといわれれば多少はあるけど。こんなの肩こりもちの中年なら誰でもあるってレベルじゃないの。こういうのを僕たちは神経障害とはいわないからね。これくらいのヘルニアでオペしていたらリスクとリターンのバランスが取れないよね。もっといろいろ痛みや障害のスコアが高い人でも、大丈夫です、って保存治療して愚痴のひとつも言わずにリハビリしてる人たくさんいるんだよ。僕にどうしろっていうの?」


エリーさんは痛みの診察にいったのだが、医師は麻痺の検査をしていてその説明をしているわけだ。しかし本人はそれさえも気がつかない。痛みを診察する技術もノウハウも持ち合わせていないのだ。
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先日の症例(60歳代):4年前、左下腿が痛くてしびれていた。脊柱管狭窄症との診断で手術をした。手術は5時間ほどかかった。治癒。

今回、反対側の下肢が痛くなってきた。また同じ診断。私が診たところでは、下肢の筋痛症だ。

5時間も全身麻酔で筋弛緩剤を投与していれば、たいがいの筋痛症(spasm)はリセットされるのかもしれない。
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by junk_2004jp | 2007-11-28 21:51 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(4)
2007年 11月 27日

筋痛症

Aさん(小学生)はスポーツをしている。半年前より、右下腿前側面が痛い。階段の昇降できない。体重をかけると痛い。

整形外科2ヶ所でみてもらう。MRI、レントゲンで、骨膜炎という診断で安静が必要といわれる。現在、整骨院にかかっているが、よくならない。(シンスプリント)

前脛骨筋に圧痛点あり。トリガーポイントブロック(0.5%メピバカイン2ml弱)する。運動はしてもよいという。その後、家人からよくなったと連絡あり。
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Bさん(50歳代)は1ヶ月ほど前より、日課としているウォーキングのあと、右大腿外側に痛みが出てきて続いている。病院でみてもらっているが、しばらく杖を使うようにいわれている。

どうも下り坂を歩いたあと痛み出してきたようだ。

外側広筋に多数の圧痛点あり。トリガーポイントブロックをすると、痛みは軽くなった。たぶん、数回で治癒するだろう。

このように、筋肉の痛みって、本当に不思議なものだ。生じた痛みは安静にすることによって、筋肉のこわばり(短縮)が改善されることはないのだろう。

筋肉に対する積極的な介入は必要だ。
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by junk_2004jp | 2007-11-27 21:55 | 症例 | Comments(2)
2007年 11月 26日

朝日新聞の記事より

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痛みとは?
なぜ慢性化することがあるのか?
それを防ぐにはどうしたらよいか?
一旦慢性化したものに対してどう対応すべきか?

ヘルニア、脊柱管狭窄症、軟骨障害などを痛みの原因だとする20世紀のまちがった医学をはやくさようならすべきです。

それには、厚生労働省の責任が大きい。今の保険診療は壁になっている。保険診療を早急に見直すべきだ。
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by junk_2004jp | 2007-11-26 16:24 | 慢性痛 | Comments(8)
2007年 11月 23日

反対側に症状のある腰椎椎間板ヘルニア

Lumbar disk herniation with contralateral symptoms.

The aim of the study is to determine if leg pain can be caused by contralateral lumbar disk herniation
and if intervention from only the herniation side would suffice in these patients.

この研究の目的は、下肢痛が反対側のヘルニアによって起こるかどうか、また、ヘルニア側からの手術だけで、これらの患者の場合に十分かどうかを決めることだ。

Five patients who had lumbar disk herniations with predominantly contralateral symptoms were operated from the side of disk herniation without exploring or decompressing the symptomatic side.
おもにヘルニアの反対側に症状のある5人がヘルニア側から手術された。症状のある側を調べたり、減圧したりはしなかった。

Patients were evaluated pre- and postoperatively.
術前、術後の評価をした。

To our knowledge, this is the first reported series of such patients who were operated only
from the herniation side.

知る限りでは、このような研究報告は過去にない。

The possible mechanisms of how contralateral symptoms predominate in these patients are
also discussed.

これらのケースでなぜ反対側の症状が強いのか、その可能性のあるメカニズムが議論された。

In all patients, the shape of disk herniations on imaging studies were quite
similar: a broad-based posterior central-paracentral herniated disk with the
apex deviated away from the side of the symptoms.

すべての患者のイメージ(MRI)の形状は酷似していた。それは、基部が広く後方、中央ー傍中央のヘルニアで頂点は症状側から逸れていた。

The symptoms and signs resolved in the immediate postoperative period.
症状は術後速やかに治まった。

Our data clears that sciatica can be caused by contralateral lumbar disk
herniation.

我々のデータから、坐骨神経痛は反対側のヘルニアからでも起きる可能性があることを明らかになった。

When operation is considered, intervention only from the herniation side is
sufficient.

手術をするときはヘルニアのある側だけの介入で十分だ。

It is probable that traction rather than direct compression is responsible from
the emergence of contralateral symptoms.

ヘルニアと反対側の症状は直接的な圧迫よりも牽引によるものと推測される。

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この論文はまともに解釈してはだめですよ。手術という儀式的効果か、全身麻酔のオールリセット効果か。

参考:ヘルニアが見つからなくて手術を中断しても
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by junk_2004jp | 2007-11-23 21:59 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(5)
2007年 11月 23日

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by junk_2004jp | 2007-11-23 17:01 | Comments(0)
2007年 11月 22日

むち打ち

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受傷翌日

左側の胸鎖乳突筋の腫脹がみられます。このような写真が記録としてとても重要です。損保会社は長引くとレントゲンを借りていくことが多いのですが、誰がそれを見て何が分かるというのやら(笑)。

日の暮れるのがはやくなり、雨降りが多い北陸ではこの時期、交通事故が急に多くなります。気をつけましょう。

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疼元庠舎より

伸張性収縮は最大限の力を発揮しているのに筋が伸ばされるため、皆さんご想像しやすいと思いますが筋線維の破壊が起きやすく、非常に危険なためにトレーニングなどではほとんど使用されません。
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by junk_2004jp | 2007-11-22 18:30 | 交通事故診療 | Comments(0)
2007年 11月 20日

ヘルニアによって痛みが起きることはありません

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痛みは一次救心線維に発現する受容体が活性化されることで生じ、脊髄を経由して大脳に伝わり痛みとして認識される。また炎症などの組織損傷のときにはケミカルメディエーターが分泌され興奮性を高める。

一方、痛みの伝達に対して抑制的に働くセロトニン神経系の存在が知られている。


医師がNSAIDを処方するのは、プロスタグランジンの生成を阻害しようとしているのです。
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あなたが痛みを感じているときは、ポリモーダル侵害受容器に生じた電気信号が、このように神経線維を伝わって脳に達しているのです。

ヘルニアと何の関係もありません。
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このような電気現象が長くつづくと、”神経回路の可塑的変容”が生じ慢性痛症となると言われています。
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by junk_2004jp | 2007-11-20 07:52 | 痛みの生理学 | Comments(13)