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2007年 12月 31日

古くて新しい筋痛症

ほとんどの痛みは筋痛症であるにもかかわらず、整形外科医は筋肉に関してほとんど知識がないといってもよいだろう。それはそのような教育を受けてこなかったためもある。私自身も知らないことが少なくないので、日々勉強である。

長年この仕事をしているとそれを痛切に感ずる。腓腹筋の筋痛症を腰からきていると診断されるのはごく普通のことだ。

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性膝関節症などと言われている痛みも結局は筋痛症なのだ。筋痛症は鑑別疾患にも取り上げられていない。なにかそれについて触れてはいけないかのようである。

今の整形外科で受ける説明には矛盾がいっぱいある。それはこのブログで繰り返し述べてきたところだ。私はプロだからすぐにそれに気づくが、気づく患者さんもいれば、気づかない患者さんもいる。

「信じてしまうけれど、説明聞くたびになんとなく矛盾を感じるし、どこか釈然としていないから、「面倒な患者」になって見放されてしまい、さらに惑う。」teruさんがコメントで述べておられる。

他の掲示板では、2度目、3度目の患者さん、オリンピックの年たびに手術をしているかたもみられる。早く筋痛症という観点から症状を見直してほしいと願うのみだ。大切な人生だから。

手足がしびれていて頚にヘルニアがあれば頚部脊髄症と診断するぐらいのレベルなんだ。これが現実なのだ。

筋痛症は罹患した筋によっていろいろな症状をおこす。痛み、しびれ、冷感、むくみ、筋力低下、疲労、睡眠障害、うつ、耳鳴り、頭痛、息苦しさ、喉つまり、めまい感。

医師は画像診断、血液診断ばかりで、また最近は電子カルテの普及で、キーボードをうつのに一生懸命で、触診はほとんどしないことが多いと聞く。筋痛症は触診がとても大切だ。触診すればわかる。

画像や血液では筋痛症は異常がみられない。画像所見はどちらかというと筋痛症の結果なのだ。そのために異常なしといわれたり、誤診されたりしている。

筋痛症がどうして発症するのか。

繰り返される動作や外傷(手術)によって筋肉に微小損傷が発生して、筋硬結をつくる。わけあり筋になってしまうのだ。

筋痛症は不安や抑うつととても深い関係がある。筋痛症が不安や抑うつを生じさせるのか、不安や抑うつが筋痛症を持続させるのか。

筋痛症の概念がない整形外科医によって作られたガイドラインは信用できない。そもそも腰という臓器はない。どこからどこまでを腰というかきまりがあるわけではない。腰回りというとベルトのあたりのことでお腹もはいる。お尻は腰に入るのか。

同じ事で関節という臓器もない。骨、軟骨、靱帯、筋腱、半月板、粘膜、滑液包というパーツからなっていてその範囲も漠然としたものだ。

膝(関節)痛というと「関節が痛い」と思うが、関節とは何なんだ。隙間のことか?emoticon-0124-worried.gif隙間が痛いわけはないし。どのパーツが痛みの発信地になっているか追求すべきだ。まず半月板、軟骨、骨のポリモーダル侵害受容器が存在しないパーツは除外することだ。そう考えるとほとんどが筋腱などだ(滑膜のこともあるが)。

この概念を早く普及させるべきなのだが、「適切な言葉」がない。筋筋膜性疼痛症候群では長すぎる。

「筋肉痛だからほっておいたら治ると思っていた。」五十肩でこのように言って受診される方がとても多い。筋肉痛はあっているのだが、あとが違うのだ。筋肉痛は決してそういうものではないのだ。短縮し始めた筋肉はほっておいたら元にもどることはないのだ。

筋肉を鍛えるのではない。できれば筋硬結を取り去りもとの長さに戻すことだ。ワケあり筋を鍛えてもだめなのだ。治療しないでいると29日のブログのように体は伸びなくなり歩行に支障をきたすようになることもある。
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by junk_2004jp | 2007-12-31 14:44 | 痛みの生理学 | Comments(7)
2007年 12月 29日

腸腰筋

O先生、いつもご紹介ありがとうございます。ここで所見を述べます。

本日、Aさん(80才代、女性)がお見えになりました。先生のご親戚だとか。

Aさんはご高齢ですが、いまでも現役で、かなり重いものを車で配達していらっしゃいます。
長年の腰痛で、腰が伸びきりません。

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第一腰椎は古い圧迫骨折で楔状変形をしていますが、今の症状にはあまり影響しているとは思いません。

最も影響しているのは両側の腸腰筋のこわばりだと思われます。そこ(股関節前面)を伸ばすのが困難なもので、やや前屈みになっています。

トリガーポイントブロックをして、マッサージをすると伸びるようになりましたが、長年のものですので、根気よく治療する必要があると思います。

これは腰痛疾患でしょうか、股関節疾患でしょうか。そのような分類がはたして的をえたものでしょうか。早期から適切な介入をしたほうがよいのではないでしょうか。
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by junk_2004jp | 2007-12-29 21:09 | 症例 | Comments(0)
2007年 12月 26日

仮説(間歇性跛行)

間歇性跛行の一般的仮説

①神経性間歇性跛行・・・・・腰部脊柱管狭窄症
②血管性間歇性跛行・・・・・閉塞性動脈硬化症


間歇性跛行についての解説は一般的にこのようなことになっている。私は是非③筋肉性間歇性跛行を付け加えたい。

そしてほとんどが(②を除いて)③筋肉性間歇性跛行だと思っている。中高年に多いのは長い人生のうちに、殿筋や下肢の筋肉に「わけあり筋」「劣化筋」「硬結筋」を持ってしまうためだと思っている。

硬くしこりを持った筋肉は血行も悪く冷たくなる。②と診断されたものの中にもじつは③があると思われる。しこりのある硬い筋肉は劣化した状態なので長時間の運動には耐えられないのだろう。そのために間歇性跛行が生じるのだろうと思われる。

①神経性間歇性跛行は腰部脊柱管狭窄症の症状だということになっているが、はたしてそうだろうか。

反証:
画像で脊柱管の狭窄があっても無症状のことが少なくない。
神経を栄養する血管の血行が悪くなると痛みやしびれが生じるという生理学的な裏付けがない。
手術の成績は必ずしもよいとはいえない。
ほとんどの患者に筋硬結があり、圧痛がある。
馬尾型では麻痺、神経根型では痛み、という説明は「なぜ生理学的に反対のことが起きるのか」説得力にかける。
神経根型では自然緩解が少なからず存在する。
慢性痛となることがある。
心理・社会的な要因と関連があるようにおもわれる。
ケンプ徴候が神経を圧迫するサインだというのはいかにも怪しげemoticon-0136-giggle.gif


わたしはほとんどの間歇性跛行は筋肉性間歇性跛行だと思い、そのような観点から治療している。
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by junk_2004jp | 2007-12-26 17:26 | Comments(2)
2007年 12月 25日

仮説(椎間板ヘルニア)

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科学の反証可能性。(宗教は反証できない)

仮説を倒すのは仮説だけである。

我々の常識は仮説にすぎない。


仮説:ヘルニアが神経を圧迫したり、炎症を起こして痛みが生じている。

反証:

①ヘルニアがあっても痛くない人や、デルマトームに一致しない痛みの人が相当いる。
②手術をしてもよくなるとはかぎらない。
③手術をしてもしなくても2年後の成績はかわりがない。
④生理学で神経を圧迫すると痛みが生じるということが言われていない。
⑤ヘルニアを放置したので障害をきたしたという例がない。(馬尾症候群と頚椎の脊髄症は除く)
⑥筋硬結を触知できる。
⑦神経根ブロックが効かないこともある。
⑧圧痛がある。
⑨心理・社会的要因によって痛みが左右される。
⑩慢性痛になることがある。
⑪ラセーグテストが神経圧迫のサインというのはいかにも怪しげemoticon-0136-giggle.gif

仮説:筋肉の強いspasmが痛みの原因である。ヘルニアは筋肉の短縮や疼痛回避動作の結果かもしれない。

このような仮説をたてることによって上記の反証はとりあえずクリアできる。手術後よくなることがあるのは、
全身麻酔によってspasmがおさまったのかもしれない。

どちらの仮説を信じようと自由なのだ。宗教ではないので反証が可能だ。このようにして科学は進歩していくのだろう。

私は当然、spasm説を信じて治療している。こちらの方が費用や危険が伴わないし、治療効果もよいと思っている。
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by junk_2004jp | 2007-12-25 18:32 | 痛みの生理学 | Comments(9)
2007年 12月 24日

リモデリング

筋粗鬆症

脳と筋肉のリモデリング

脳のリモデリング・・・・・・・・認知行動療法、たぶんセロトニンを増やすことなのだろう。

筋肉のリモデリング・・・・・・筋硬結をなくする、ほぐす、血行改善。トリガーポイントブロック、鍼、マッサージ、指圧、ストレッチ、電気治療。

この二つのリモデリングができればよいわけだ。
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by junk_2004jp | 2007-12-24 19:57 | 痛みの生理学 | Comments(1)
2007年 12月 23日

受傷早期に起きる重要な出来事は筋肉の攣縮だ。

Muscle Knots (筋硬結)

初期の段階においてもとの損傷が治されないと、筋攣縮は筋硬結をつくる。通常、これは最初の怪我のおよそ2週後に起こる。

筋肉の攣縮が継続的に”on"になっていると、筋硬結が生じる。

筋硬結の治療法はいくつかある。どの治療法を選ぶかは、あなたにとって最も身近なヘルスケア開業医の仕事だ。
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筋硬結を生じないようにするには、どうすればいいのか。

ぎっくり腰や寝違えは筋肉の急激な強いspasmだ。

もともとknotsのあった筋肉がspasmをおこしたのか、正常な筋肉がspasmをおこしたのか?

もともとknotsのあった筋肉(わけあり筋)はちょっとした動作や、疲労、ストレスでspasmをおこしやすいのかもしれない。

むち打ちは筋肉の微小損傷なら、spasmが続きknotsを作らないようにするにはどのような対応が必要なのか、knotsを形成してしまった場合、どのような補償があるのか。

五十肩も変形性膝関節症といわれている膝痛も、ヘルニアの坐骨神経痛も本態は筋痛症なのだが、knotsのある筋肉がspasmを起こしているように思われる。

となると、ふだんよりknotsができないような心がけが必要だ。

筋肉を鍛えるのではなくて、「ほぐす」ということが重要なのかもしれない。

頚が凝っていたので、整骨院で施術を受けていて、激痛になり、病院を受診して頚のヘルニアを指摘されて手術を受けたが、激痛は治まったが痛みが続いている。

施術によって筋肉のspasmが生じた。医師はそれが理解できないで、ヘルニアをみつけ、それが原因だと思い込んだ。激痛は強いspasmだったのだが、それは全身麻酔で治まったのだろう。

手技療法家は筋肉の「ほぐし」に重点をおくべきだと思う。急激な頚の動きは筋肉に微小損傷を起こすことがあるのだろう。

私は手技療法はとても大切だと思っている。
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by junk_2004jp | 2007-12-23 20:52 | 痛みの生理学 | Comments(2)
2007年 12月 20日

中枢性感作

中枢性感作の過程(Woolf 1994)は、損傷による侵害受容系のアップレギユレーションに関与する神経可塑性の重要な一面である

この過程は、痛みを体験した患者で、痛みの存在と感覚運動・自律神経機能異常との間に一定の相関があることを表すものであろう。

中枢性感作は細胞レベルでの変化が生じていることを表し、侵害受容系の活性化であるがゆえに、脊髄とさらに上位中枢の侵害受容系ニユーロンで神経可塑性が生じていることの裏付けとなる(Woolf 1994)。

中枢性感作の過程は末梢侵害受容器、特に無髄求心性神経に関係する侵害受容器の活性化によって始まるが、末梢侵害受容器からの入力がなくなっても維持すると考えられる (Coderre & Melzack 1987, Woolf 1983)。

「臨床痛み学テキスト」より
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侵害受容器の活性化からはじまる。
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by junk_2004jp | 2007-12-20 22:19 | 痛みの生理学 | Comments(1)
2007年 12月 19日

紀子さんの症状と似ている?

Aさん(40歳代、女性)は1ヶ月ほど前より、頚部痛、右肩~上腕部痛、右第3指のしびれが続いています。洗濯物を干すような動作が困難です。

夫に「紀子さんと同じようだから診察してもらえ。」と言われて受診されました。

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図のような圧痛点と筋肉の凝りがありました。圧痛点に1~2mlの局所麻酔を注射して(27G)軽くマッサージして低出力レーザーを照射しました。

それで症状は取れました。

レントゲンは撮りませんでしたが、40歳代の頚椎は5/6あたりの椎間板が老化しているのは普通にみられることです。

症状は筋肉の凝りなのです。前腕の凝りでは指にしびれをきたすことがあります(関連痛)。

筋肉の凝りと頚椎の老化の関係は認められていません。

「椎間板の老化や、ヘルニアでこのような症状が起きるとは思いません。関係あるとすればストレスです。なにか・・。」

「夫の仕事の転勤で最近引っ越してきたので、ストレスは感じていました。」

「そうですか。もし今のような治療をしても繰り返すようならばうつ状態も考慮にいれて診るべきだと思います。経過をみてください。」
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by junk_2004jp | 2007-12-19 17:05 | 症例 | Comments(0)
2007年 12月 18日

筋痛症

「臨床痛み学テキスト」より

近年、線維筋痛症と筋・筋膜痛症候群が、長い経過をたどり、広範囲に広がるうずきと痛みの徴候と症状の大まかな二つのグループについて説明する言葉として使用されている。

CantuとGrodin(1992)は、そのような複合した痛みの状態の連続について詳述することにより、筋痛を詳しく分類した。彼らのシェーマでは、線維筋痛症候群は非常に複雑な病態の最終型であり(Carli et al.,2000)、力学的あるいは急性の筋痛は最も単純なもの、筋・筋膜痛症候群はその中間であるとしている。

これらの痛みの管理の最もよいアプローチは、その痛みの症候群の複雑さがどの程度の位置にあるかを考えることであると言及している。


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たとえば「むち打ち」

筋肉の急性の捻挫(微小損傷)→筋・筋膜性疼痛症候群→線維筋痛症
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by junk_2004jp | 2007-12-18 22:10 | 痛みの生理学 | Comments(8)
2007年 12月 17日

慢性痛の治療薬

慢性痛に悩む多くの人を救う新治療法につながるものと期待される。

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C線維の先端についているポリモーダル侵害受容器のバニロイド受容体から局所麻酔の誘導体を入れて、C線維だけをブロックしようとするものだ。

局所麻酔の誘導体は神経細胞の中に入って初めて局所麻酔としての働きをしめす。

バニロイド受容体は唐辛子エキスのカプサイシンの受容体で、痛覚神経のポリモーダル侵害受容器だけにある。
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この発想はトリガーポイントブロックと似ている。TpBは、局所麻酔をポリモーダル侵害受容器の付近にばらまくということだ。

急性痛ならすぐに効くでしょう。(効くのを急性痛という、といってもよいか)

慢性痛は介入ポイントの一つで、改善の糸口になるでしょう。
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by junk_2004jp | 2007-12-17 15:30 | 慢性痛 | Comments(1)