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2011年 05月 31日

これが現実です

borinisi: [下肢の攣り] ほとんどの医師が筋性疼痛について知りません。誰にも教えてもらえないからです。私も3年前に加茂先生の本に出会うまでは知りませんでした。


私のブログをみた整形外科医のリツイートです。

教えてもらえないだけならまだしも・・・・

間違ったことを教えられるのです。

筋骨格系の痛みのほとんどが筋性疼痛であるにもかかわらず、医師がそれを知らないのです。

そんなばかな!と思うでしょうが、これが現実なんです。

それに気付く医師と気付かない医師。

患者の話をよく聞く、触診をしっかりする医師は気づくはずです。

神経が圧迫を受けると痛みやしびれが生じるなんてことはありません。

変形したもの不安定なものが痛むなんてこともありません。そのような生理学が存在しないのです。

間違った説で名声を得てきたた医師はいまさら変えることは困難でしょう。

触診をする整形外科医はとても少ないということはよくいわれることです。

痛みの専門家、ペインクリニックも基本的なところでだめなのです。

日本ペインクリニック学会の治療指針には、「頸椎症性神経根症」は神経根の絞扼性障害だと書かれています。そしてそれが保存的治療が有効だと記載されています。

本当の専門家ならこの文章がおかしいのはわかりますね。

もうなにいってるんだかさっぱりわかりません。

絞扼性神経障害とはなにか。

痛みとはなにか、しびれとは?

整形外科にしてもペインクリニックにしても基本的なところからリ・教育です。


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by junk_2004jp | 2011-05-31 01:00 | MPS | Comments(9)
2011年 05月 28日

下肢の攣り

Aさん(50歳代、女性)は昨年12月、ぎっくり腰から右下肢に強い痛みが生じるようになりました。

それはまさに筋肉が強く攣っているという感じでした。

いくつかの整形外科を受診しました。診断名はばらばらでした。

「椎間板ヘルニア」「腰椎すべり症」「脊柱管狭窄症」これがAさんにつけられた診断です。

これらによって坐骨神経痛が生じているというわけです。

Aさんは診断に納得がいきませんでした。インターネットで検索して私のHPにたどりつき、「これだ!」と確信したそうです。

先日受診されて、1回のトリガーポイントブロックで痛みは大きく改善しました。

レントゲンもMRIもいりません。筋性疼痛でしかあり得ないのです。

悲しいかな多くの医師は受けた教育に間違いがあります。

早く間違いを正さないと大変なことになりますよ。

筋性疼痛の症状はとてもバラェティーがあります。

激痛からしびれまではば広いのです。

昨日の2症例は二人とも救急車で受診しています。

「椅子が怖い」の夏樹静子さんは、・・・

http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_68.htm

筋肉痛の恐怖

いずれも激しい痛みがうかがえます。

こんなに激しい痛みが筋肉痛であるはずがないと思うでしょうが、筋肉痛なのです。

こむら返りを経験したことがあるでしょう。激しい痛みですね。あれも筋肉痛です。

狭心症も心臓の筋肉痛ですね。激しい痛みだそうです。

2chの書き込みより

最初のあの激痛も筋肉、筋膜痛? ヘルニアが原因で始まったあの激痛がただの筋肉痛か? 医者も説明出来るヤツが少ないのに筋肉痛で済ますなよな 。MPSだの筋膜痛だのなんだの言ってごまかしていられるのは終わり。

可能性ねぇよ 。いきなり下肢が筋肉痛であの激痛になる訳ねぇだろがボケ 。ぎっくり腰とヘルニアを一緒にすんなボケ。


気持ちは分かるが筋肉痛なんだよね。

筋肉痛というと運動会の翌日の痛みを想像するからなんだろう。

筋性疼痛という言葉がいいかもね。

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by junk_2004jp | 2011-05-28 06:42 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(2)
2011年 05月 24日

ヘルニアの手術をしたがよくならない

本日、ヘルニアの手術をしたがよくならない、似たような2症例を診ました。2人ともTPB後はとても改善しました。

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Aさん(60代、男性)は2カ月前、朝起きたら、左臀部~下肢に激痛があり、救急車でB県立病院へ担送されました。

MRIで外側ヘルニアと診断されました。しばらく保存的治療(神経根ブロックなど)を試みましたが改善せず。

3W後に手術をしました。

術後、激しい痛みはなくなりました。5割ほどの改善がありましたが、また最近、痛みが復活してきました。とくに左足背に強い痛み・しびれがあります。

コルセットをして杖を使って歩行しています。歩行はかなりつらそうです。知人に勧められて当院を受診しました。

図のような圧痛点がありましたのでTPB(トリガーポイントブロック)をしました。合計20mlの0.5%メピバカイン。

施行後すぐに痛みがとれて、杖なし、コルセットなしで歩行が可能となりました。

そもそも、ヘルニアが原因だったのではないと思います。筋肉の強い攣りだったのです。

_____________

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Cさん(50歳代、男性)、昨年春、朝起きたとき急に左下肢痛で救急車。某大学病院でヘルニアの手術をうける。

改善せず。

今年はじめ、再度、手術をうける。(ヘルニア+脊柱管狭窄症)

現在も歩行はやっとできる状態。夜間痛みのために目が覚めることがある。

TPB後、痛みは著名に改善しました。

とくに、足首はよく動くようになりました。

痛みの原因はヘルニアや脊柱管狭窄にあるのではありません。

筋肉の攣りが原因なのです。

県立病院や大学病院では、最近は手術をしたら、すぐに退院させて、開業医に任せることが多いようです。

開業医は「オレがした手術ではない」と思い、案外、気楽なんでしょう。リハビリを漫然と行っているものと思われます。

大病院の医師は最後まで見届けることは少ないのではないでしょうか。

手術をしたらすぐに改善した症例だけが強く印象に残るのでしょう。

Aさんが言っていました。「同じ病室の人は手術をしたらすぐに良くなって退院した。」

私「貴方は今、すぐによくなったでしょ(笑)。それと同じことなのですよ。筋肉の攣りが取れれば治るのです。ヘルニアは放置してもかまいません。」

Aさん「70万円も使ったのに・・。医師が逃げているのが分かりました。」

私「今日の診察費は初診料込みで2000円ぐらいです。」

Aさんは私の本を買ってくださいました。

2症例とも知人の紹介で来院されました。

二人とも朝起きたら急に激痛に襲われたのです。そもそもそんな状況でヘルニアが飛び出ますかね。

当初、セルシンなどマイナートランキライザーを注射して眠らせても治った可能性は十分あります。

しかし、ほかの病態を否定できない状況では無理かも。ヘルニアでそういうことにはなりません。

神経が圧迫を受けると痛みが生じるという理論が間違っているのです。だから説明には矛盾がいっぱいあります。素人の患者さんはその矛盾が分からないのです。

なぜプロの医師が分からないのかって?それは私にもわかりません。業界全体の問題ですね。


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by junk_2004jp | 2011-05-24 23:57 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(2)
2011年 05月 18日

ilihpli 03 「頭痛と腰痛」痛みの最新科学

b0052170_18202518.jpg出版社から、私の書いた部分をブログに載せてもよいとの承諾をえました。

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「損傷モデル」は過去のもの

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症あるいは腰椎すべり症や分離症など脊椎の構造異常が腰痛の原因であるといわれてきました。この考え方を「損傷モデル」といいます。「神経が押さえられると痛い」「背骨の老化や変形で痛い」という考え方です。しかしこの損傷モデルは間違っていると私は思っています。

「神経が押さえられると痛い」の代表的なものとして椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症があります。

痛みの生理学で神経が圧迫されると痛みやしびれが生じるという根拠は示されていません。また健常者にもヘルニアや脊柱管狭窄がよくみられることが分かってきました。すべり症や分離症も同様に健常者にもみられます。その反対に痛みがあっても特に構造異常がないこともあります。

手術で満足する結果が得られない症例はしばしば経験します。頻回手術によって泥沼化していくケースさえあります。手術による治療もそれ以外の治療も結果に差がないという研究報告がいくつもあります。

「決まり切った画像検査(レントゲン、MRI、CT)は患者を不安に陥れ、的外れの治療へと導く結果となる。」これは最近の海外の文献からですが痛みを画像診断することはできないばかりか治療に悪影響を及ぼすという内容です。

痛みの画像検査は痛みを伴うことのある特異的な病理所見を示す疾患、すなわち、悪性腫瘍、感染症、骨折などのあきらかな損傷、リウマチ関係の炎症性疾患の有無を調べるものであってそれ以上の意味があるものではありません。

ヘルニアや脊柱管狭窄は痛みの原因ではなく結果とみるほうが理屈にあいます。つまり筋肉のこわばり短縮の結果なのです。筋肉の短縮はO脚変形や前方へ突き出た丸まった肩などをきたし、それが軟骨や椎間板の変性をおこす要因の一つとなっているのです。

損傷モデルで痛みを説明することは矛盾に満ちています。そこで「生物・心理・社会的医学モデル」という古くて新しい概念が登場してきました。

痛みを全人的に診る

「痛みの生物・心理・社会的医学モデル」とは痛みを全人的にみることです。どのような痛みも環境や心理状態によって変化します。損傷モデルではこれは説明し難く、環境や心理状態によって変化しうる筋肉の緊張が痛みの現場と考える方が妥当なのです。

筋性疼痛は機能的トラブルです。ストレス反応として肩こり、胃痛、血圧上昇、咳などさまざまなものがありますが慢性化した筋骨格系の痛みも一種のストレス反応とみることができます。不安やうつ、睡眠障害、パニック障害と慢性の痛みは関係しているように思われます。

筋肉の痙攣が痛みの原因

筋肉は意外と繊細です。転倒など身構えることができないケガ、度を超えたトレーニングや労働など繰り返えされる動作、あるいは悪い姿勢を続けることによって筋肉に微小損傷が生じます。すると筋線維内にあるカルシウムを蓄えている筋小胞体が破れてカルシウムイオンが放出され筋肉が収縮します。運動会の翌日に体中が痛むことを経験したことがあると思いますが、これを遅発性筋痛といいます。

筋肉が収縮しても数日で治ることが多いのですが、休息がとれなかったり心理的ストレスが大きかったり寒冷にさらされたりすると血液の流れの悪い状態が続いて筋肉の収縮が元に戻らなくなってしまいます。この状態を「筋拘縮」といいます。

このようにして出来た硬いしこりのある筋肉を私は「ワケあり筋」と呼んでいます。生活暦が長くなると誰でも一つや二つの「ワケあり筋」を持つようになるものです。「ワケあり筋」が必ずしも人を苦しめるわけではありませんが、心理的ストレス、物理的ストレス、疲労、寒冷などが引き金となってワケあり筋が騒ぎ出すことがあるのです。

ワケあり筋のなかには硬いしこりがあります。これを「筋硬結」、「策状硬結」といいます。筋硬結を押すと痛みを感じます。なかにはほかの部位に痛みが放散するものがありますが、この放散痛を関連痛といいます。関連痛が生じる圧痛点を「トリガーポイント」といいます。

トリガーポイントは痛覚過敏になっていて動作痛の原因になっているのです。重症となると安静時にも痛みを感じます。このような病態を「筋筋膜性疼痛症候群(myofascial pain syndrome)以下MPS」と呼んでいます。

MPSは1980年代にアメリカで『Travell & Simons’ Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual (筋筋膜性疼痛と機能障害: トリガーポイントマニュアル)』(Janet G. Travell 医師とDavid G.Simons医師の共著)という医学書にて発表されました。

MPSはあらゆる部位の痛みの原因となります。腰痛をはじめとする筋骨格系の痛みのほとんどはMPSだと私は考えています。悪性腫瘍、感染症などの特異的疾患、幻肢痛などの神経障害性疼痛はMPSではありません。

骨折の痛みは骨折に合併したMPSです。骨折の治療と痛みの治療は別問題で当初より二本立てで行うべきなのです。捻挫にも同じことがいえます。そうでないと損傷は治癒したが痛みが続いているということになりかねません。

顎関節症、肩関節周囲炎(五十肩)、変形性膝関節症、テニス肘、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛、肋間神経痛、手根管症候群の一部、腱鞘炎、半月板損傷、腱板損傷、変形性股関節症なども痛みやしびれそのものはMPSです。

神経性麻痺と痛み・しびれについて

気になる誤解の一つに「麻痺」と「痛み・しびれ」があります。神経性の麻痺は神経の電気活動が起きていないということです。「痛み・しびれ」は電気活動が起きているということです。つまり神経生理学では逆の現象なのです。

神経性麻痺では知覚鈍麻、知覚脱失になりますが、これを「しびれている」と表現されることがあります。一方、MPSでは「ジンジンする」感覚が生じますが、これも「しびれている」と表現されます。患者さんが「しびれている」というときはMPSを考えるべきなのですが、医師はどうも麻痺と考えることがあるのです。しかもMPSでは知覚鈍麻も生じますので神経性麻痺なのかMPSなのかの診断には注意を要します。

さて椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症で麻痺が生じることがあるかという問題です。もしあったとしてもこの稿の「腰痛などの痛み」とは別のカテゴリの病態ですのでここで論じることはありません。ヘルニアや脊柱管狭窄という構造異常ではきわめてまれですが「麻痺」が生じることがありますのでちょっと書きとめておきます。

腰椎ヘルニアで麻痺が生じるのは馬尾症候群といわれているものです。尿閉などの膀胱直腸障害をきたしますので緊急手術が必要です。これはたぶん急激激烈な腰の筋肉の痙攣がおこり(すごい痛みなのでしょう)、その結果、大量の髄核が絞り出されて馬尾神経を絞扼して麻痺が生じるものと思います。腰椎ヘルニアで唯一の絶対的な手術の適応といわれています。

そのほかの腰椎ヘルニアでは麻痺が生じるようなことはないと思います。坐骨神経麻痺になったという患者さんは聞きませんね。拇指の背屈力の低下は神経麻痺ではなくて、拇指伸筋のMPSのせいです。MPSの回復とともに改善します。

頚のヘルニアでは脊髄麻痺(脊髄症)が生じることがあります。これは痙性歩行や手指の巧緻運動障害で発見されることがあります。脊髄症にMPSが合併していることは珍しくありませんが別問題です。腰椎には脊髄がありませんので脊髄症の心配はいりません。

腰部脊柱管狭窄ではきわめてまれに膀胱直腸障害などの麻痺症状が現れることがあります。これは脊柱管狭窄症の馬尾型といわれているものです。頸部脊柱管狭窄では脊髄症が起きる可能性はありますがこれもきわめて稀です。

痛みの悪循環をいかに早期に遮断するか

痛みとは脳と筋肉の間の電気信号のアップロード、ダウンロードなのです。痛みは痛覚神経の先端にある侵害受容器(ポリモーダル侵害受容器)が強い外力や内因性の発痛物質(ブラジキニンなど)により感作されることによって生じます。ここが第一現場です。

第一現場で生じた痛みの電気信号は脊髄を通り脳に達します。脳はその電気信号を読み解き反応するのです。脳が第二現場です。反応は交感神経の緊張やホルモン分泌を介して行われます。

また痛みの電気信号は脊髄で反射的に筋肉を攣縮(スパズム)させます。交感神経の緊張や筋肉の攣縮は局所の血流障害を起こして酸欠状態になります。これに対して血漿から発痛物質(ブラジキニン)が放出されます。この発痛物質がまたポリモーダル侵害受容器を刺激して痛みが生じるのです。

このようにして痛みの悪循環が収まらなくなってしまうことがあるのです。痛みはいったん勢いがつくと燃え盛る火のようだと例えられています。悪条件が重なると全身的に広がり線維筋痛症という状態になることがあります。痛みは可能なかぎり早く止めてしまうことです。

トリガーポイントブロックの効果

筋骨格系の痛みが特異的疾患に伴っていないことが確認できたら私は痛みの治療にトリガーポイントブロックを用いています。

これは圧痛点(痛覚過敏点)に局所麻酔を注射するものです。トリガーポイントブロックの効果は次の4つです。これらは一時押さえをしているのではなくて、痛みの現場をリセットしているのです。①発痛物質を洗い流す②運動神経をブロックして筋肉のスパズムを止める③痛覚神経をブロックして痛みが脳に伝わるのを止める④交感神経をブロックして血流を改善する。

医師は痛みの治療だけではなく痛みの病態を説明しないといけません。トリガーポイントブロックは患者さんがその場で痛みの消失が確認できるので都合がいいのです。これを痛みの治療的診断といいます。

急性痛の場合は1回から数回のトリガーポイントブロックで治癒します。ちょうどパソコンの調子が悪いときに一度電源を切ってつけ直すとよくなることがありますが、あのようなイメージなのです。

トリガーポイントブロックに使う針は細く、患者さんが注射の痛みを訴えることはほとんどありません。また局所麻酔は安全性の高い薬剤で妊婦でも高齢者でも使うことができます。

痛みの悪循環が続くと中枢性過敏、神経回路の可塑的変化が生じて慢性痛症という新たな病態になることがあります。この場合はトリガーポイントブロックだけでは困難です。あらゆる手段で痛みの治療をしなければなりません。慢性痛症に対して抗うつ薬や抗けいれん薬あるいは漢方薬が用いられます。

慢性痛症に欠かせないのは認知行動療法です。「私は腰が悪いのでスポーツはできない。」という誤った認知を「私の腰は大丈夫だ。スポーツを再開しよう。」というように行動を再開して認知を変え慢性痛症を克服するのです。この誤った認知が形成されるのに医師がかかわっていることが多いのは残念なことです。

痛み治療のさまざまな選択肢

痛みについて全てが分かっているわけではありません。しかし現在の医療水準では筋骨格系の痛みの多くは筋性疼痛=MPSだと考えるのがよいと思います。その方が経済的にも心理的にも患者さんにとってよい影響が期待できます。

筋肉のスパズムはいろんな方法で治る可能性があるのです。鍼灸、マッサージなど伝統的方法も効果が期待できます。あるいは儀式的な効果や安心感で治っても不思議ではないのです。私のトリガーポイントブロックも多くの治療法の一つなのですが有効かつ安全で時間的経済的にも優れていると思っています。

筋肉を鍛えるのではなくてほぐすことが重要です。強いストレッチは逆効果のことがあります。

患者が治るのをじゃまするな

私が入局した30数年前、金沢大学整形外科の高瀬武平教授はよくおっしゃっていらっしゃいました。「キミ、患者が治るのを邪魔するな。邪魔しなくなれば名医だ。」

画像診断機器の発達は目を見張るものがあります。しかし痛みの治療に恩恵をもたらすどころか、かえって進歩を妨げているようです。画像で確認できるのは老化変形した骨格や椎間板です。それが痛みの原因だと思い込んだところから悲劇がはじまります。

痛み医療の原点に戻るとトリガーポイントブロックに行き着きます。痛みは機能的な身体疾患なのですから。

最近、75歳の女性の患者さんからお礼の手紙をいただきました。A県在住のこの患者さんは「すべり症」と診断され手術を受けたのですが、結局足腰の痛みはとれず2年間も車椅子暮らしでモルヒネなど薬を飲み続けていました。B県に住んでいる息子さんが私の本を読んで、お母様を連れて来られました。

ビジネスホテルに泊まって3日間、私の治療を受けました。2年間も車椅子暮らしだった患者さんを3日間の治療で治せるはずがありません。でもこの患者さんの痛みはとても改善したのです。お母様を心配する息子さんが遠方から連れて来られたという行為が、母親の治癒力に影響を与えたのだと思います。痛みとはこのように不思議なものなのだというエピソードです。

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by junk_2004jp | 2011-05-18 18:26 | MPS | Comments(3)
2011年 05月 17日

手術しなくてもいいです

b0052170_22244951.jpgAさん(70歳代、男性)は2月に石油カンを持ち上げたとき、左のお尻にいやな痛みを感じました。次の日より、痛みが強くなり、下肢までいたくなりました。

歩行困難になり、病院を受診。

脊柱管狭窄症と診断。硬膜外ブロックを5回受けましたが、改善しませんでした。そこで手術を勧められました。

雑誌「わかさ」をみて当院受診。

小臀筋やヒラメ筋に強い圧痛がありましたので、その圧痛点に局所麻酔を注射しました。

Aさんの痛みはすぐに楽になりました。

典型的なMPSです。

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b0052170_22322287.jpgBさん(50歳代、男性)は1年前より、朝方、しばらくの間、両手の指が強ばって伸びません。しばらくすると伸びるようになるのですが。

また、両足底も砂地を踏んでいるようないやな感じがあります。

病院で膠原病などいろいろ検査しましたが診断がつきませんでした。

ある病院では頚からきているとのことで手術を勧められました。

行きつけのカイロの先生から「それはないでしょ」とのことで当院を紹介されました。

朝方、こわばって痛くて、しばらくたつと治るのですから、筋肉性のものということに気がつかなくてはいけません。

睡眠障害もあるということですから、ストレスが関係あるのでしょう。

手指を握り締めて寝ているのかもしれません。

前腕にあった圧痛点と足底の圧痛点に局所麻酔を注射しました。

数時間後に再診したところ、症状は改善していました。

この症例はストレスが大いに関係したMPS(筋筋膜性疼痛症候群)だと思います。

MPSの概念を知らないので検査をどれだけしてもだめなのです。

ほとんどの医師はMPSの存在をしりません。もっとも普通の痛みの原因であるにも関わらずです。

そのために誤診をしてしまうのです。

MPSの概念を普及することが急務です。

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by junk_2004jp | 2011-05-17 22:44 | MPS | Comments(0)
2011年 05月 14日

急性痛と慢性痛

トラムセットのパンフレットより

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急性痛、慢性痛は単に痛みの続いている期間の問題ではありません。

末梢性感作、中枢性感作がおきているかどうかということなのです。

リウマチはどれだけ長くても、炎症性疾患ですから、急性痛が繰り返して起きているのです。だからNSAID(非ス性消炎鎮痛剤)、ステロイドが効きます。

急性痛は損傷に対する警告です。

慢性痛は損傷が治癒(創が閉鎖)したあとも続いている痛みです。つまり、火が鎮火したのに鳴り止まない火災報知機です。

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この写真は靭帯断裂があり、創は不完全に閉鎖したのです。痛みはありません。

骨折が癒合しなかったものを仮関節といいますが、痛みがないことも多いのです。その逆に骨折が完全に癒合したのに痛みが続いていることもあります。

損傷はほとんどの場合積極的治療は必要ないのです。しばらくの間、安静にするということでしょうか。骨折でも手術が必要なものはそんなに多くはありません。

急性痛の場合、痛みの治療と損傷(構造)の治療は別問題で、同時に並行してやればいいのです。多くの場合、痛みの治療を積極的に行えばいいのです。

慢性痛の場合は痛みそのものが治療の対象となってきます。

わが国の医療ではこの概念がありませんでした。だからうまくいかないのです。

痛み疾患に対してヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性関節症など意味のない病名をつけているのです。

急性痛なのか慢性痛なのかが問題なのです。並存していることが多いのですが。

どの部位の急性痛で、損傷の程度はどうなのか・・・・

どの部位の慢性痛で、今後、どのような治療法でいくか・・・・

とにかく早く痛みを止めることです。治すべき構造があるのなら治せばいいのですが、殆どの場合、不必要です。

こういうことはたぶん、生物界では本能的に行われているのでしょう。傷ついた動物は安静にしていますね。

人間ももっと素朴な時代にはそうしていたのでしょう。湯治、指圧、マッサージ、鍼など伝統的な治療法です。

ところが現在は完全にまちがっているのです。構造破綻が痛みの原因だと信じて、筋力をつけようとして失敗しているのです。傷んだ筋肉を無理につかって深みにはまっているのです。

ヘルニアを取ったところで何の意味もありません。

脊柱管が狭くても痛みの原因になることはありません。

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by junk_2004jp | 2011-05-14 18:27 | 痛みの生理学 | Comments(6)
2011年 05月 14日

わかさ7月号

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わかさ7月号で「トリガーポイント注射」につて書きました。
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by junk_2004jp | 2011-05-14 02:31 | MPS | Comments(0)
2011年 05月 13日

現代整形外科事情

私、この業界にもう30数年います。

どの業界でも30年もやれば超ベテラン。

農業、漁業、家電、自動車、建築、家具、パソコン、工芸、料理、教師、いろんな業種がありますが、その道一筋に30年もやれば、たいがいのことは分かるものです。

最近の掲示板に、現代整形外科の陥っている典型的な問題を含んでいるものがありました。

半年前から上腕痛で整形に通院しています。症状は右上腕部の痛みですが、簡単に申しますと筋肉痛の酷いものというか、疼くように常時痛みます。

それと腕が上がりません。最近主治医に勧められ、肩のMRIをとりましたが「腱板断裂」と言われました。

てっきり原因は腱板断裂にあると思っていたのですが、本日、別の総合病院で診断を仰ぐと、腱板断裂からの痛みではなく、首の6,7番からくる痛みではないか?と診断を受け、治療法としては痛み止めの薬かブロック注射と聞き、何だか計り知れない不安のようなものを感じております。


半年前より、常時、上腕部に痛みがあり、腕が挙がらない

これ、棘下筋などのMPSの症状ですね。患者さんは「筋肉痛の酷いもの」と答えを出しています。

腱板断裂で半年間も痛みが続くことはありません。何回もいっていますが、構造の治療と痛みの治療は別問題です。

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この写真は靭帯断裂ですが痛みはありません。

腱板損傷が半年も続く痛みの原因になることはありません。

頚の6番7番からくる痛みなんていうのは全く論外です。いわゆる根性疼痛のことだろうと思いますが、生理学的には全く説明がつきません。

はじめまして。山口県在住の40代、仕事は日本料理屋で仲居をしています。

仕事柄、ビールケースを一人で抱えたり、お座敷団体客の接客・配膳は、立ったり正座したりの連続で足腰に負担をかけていたと思います。

週一回の休み以外は、毎日仕事に出て6年経った、今年の1月末くらいから、くしゃみや咳をすると右のお尻のあたりがキュンとひびいたり、痛むので小走りすら出来なくなっていました。

腰痛は以前から悩みではありましたが、右足がしびれるし、まだ我慢できるくらいの痛みでしたが、整形外科を受診しました。レントゲンをとり「変形性脊椎症」「坐骨神経痛」とのことで、鎮痛剤と湿布を頂きコルセットも作りました。

そのうち、夜寝て2,3時間経つと、右側だけお尻の筋肉や、足のつけねや、太ももなどが尋常でない引きつりで目が覚め、自分でほぐしながら、でもあちこちがつっての繰り返し・・・。

気が狂いそうになりながら、ボルタレンを飲んで、寝不足な毎日を過ごしておりました。主治医に話しても、痙攣を止める薬はないと言われました。漢方薬を飲みましたが、効果は分かりませんでした。

とうとう、痙攣が怖くて、右足を使う車の運転がトラウマになってしまいました。今は、仕事を休んでいます。困り果てて、藁をもつかむ思いで、鍼灸院に通い始めました。調子のいい日もありますが、なかなか完治できずにいます。


臀筋などのMPSですね。読んですぐにわかりますね。患者さんが丁寧に説明しています。立ったり座ったりの仕事をしている。お尻や太ももの筋肉が攣る。

私のブログをみている方々にとってはいずれも簡単な練習問題ですね。

しかし、現代整形外科事情はこれが現実なんです。

同業者としてとても残念です。

30年もやっている鍼師やマッサージ師にとっては簡単な問題でしょ。30年も必要ないですね。

筋骨格系の痛みに関して、どうして医師はこうもだめなんでしょうか。

医師の教育の問題

保険制度の問題

画像機器(MRI、関節鏡)・・・見える異常が原因だと思いこむ。・・・高価な機械の購入、検査をしないと経営が成り立たない。


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by junk_2004jp | 2011-05-13 01:07 | Comments(4)
2011年 05月 12日

美女エッセイ「腰痛でお困りの皆さん!」

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西野真理先生の「美女エッセイ」から・・・

先生は中学校の音楽の先生です。今ごろは修学旅行中でしょうか。

先生のエッセイはユーモア、ウィットに富んでいます。音楽の先生だけあってリズムよく読めます。

西野先生はいつも車に舞台衣装を乗せてあって、老人ホームなどでアポなしでボランティア演奏を行っていらっしゃいます。

http://www.c-able.ne.jp/~migitaes/kouka/dokusyo.html

http://ameblo.jp/kei-harada/page-7.html
_____________________

 
<きっかけ>

それは47歳の冬、2009年2月1日のこと。

NHKの教育テレビ「趣味の園芸」を特に見るともなしに見ていたら、「寒おこし」という畑作業を紹介していた。これはまだ寒いうちに地面を掘り返しておくと、地面の水分が凍ったり溶けたりを繰り返し、春には地面がとても良い状態になるというものだ。

掘り返すといってもスコップを地面に突っ込んでは持ち上げ、突っ込んでは持ち上げを繰り返すだけで、特にコツもいらない。暇な日曜日の午後を過ごしていた私は、すぐに作業着に着替えて庭に出て「寒おこし」にとりかかった。

大して広くもない庭だが、実働時間1時間半。充実感いっぱいで作業を終えた。寒い日だったが汗だくになったので、夕方からお風呂に入った。

翌日。

学校の階段を上がるのがやっと。車を運転するとき座っているのが苦痛。私の腰痛との戦いの日々が始まった。

痛み止め。接骨院。湿布。腰痛に効くという薬。鍼治療(1回だけ)ストレッチ。腰に巻くベルト・・・・。

<情報>

・・・・で、49歳になった。

もちろん最初のような激痛ではなくなったが「あ~この痛みがなければな~」といつも思っていたそんなある日、**中学校の同僚、Aさんから次のような話を聞いた。

「とても肩こりがひどいんだけど、あんまりひどいときは、小松にある外科に行って注射を打ってもらうと治る」

その時はそれが腰痛にも有効だと思っておらず、一時的にごまかす強力な痛み止めを打っていただくのだろうくらいにしか捉えていなかった。

それからしばらくしたある日、やはり同僚のBさんが肩の激痛に苦しんでおり、それを見たAさんが、以前話してくれた外科を強く勧めていた。

そして、前回より詳しくその外科のことを話してくれた。

「痛みって神経が何かにぶつかっておこるなんてことじゃなくて、筋肉の強ばりでおこるから、軽い麻酔を打って、痛みを脳に送らせないようにするってことらしいですよ」

その話を聞いて私は興味津々・半信半疑。仕事を終えて家に帰ると早速その外科をネットで検索してみた。

<加茂整形外科>

石川県小松市にある「加茂整形外科」のホームページはすぐに見つかった。

結論から言えば、私は加茂淳先生のお考え(っていうか、加茂先生をはじめ、多くの外科医の皆さんの理論)に納得し、いつか治療を受けようと決めたのだった。

以下は加茂先生のホームページで勉強した、腰痛についての考え方や治療法についてである。が、何しろ西野真理の勉強なので、詳しくお知りになりたい方は「加茂整形外科」で検索して、ご自分でご確認くださいね。

~「ヘルニア」が原因で腰痛は起こらない~

「背骨と背骨の間に、無理な作業をしたために神経が飛び出し、それが挟まって痛い」という具合に私は解釈してきた。だから接骨院に通って牽引治療もしたのだ。

しかし、「ヘルニアが原因で神経が炎症を起こして痛みやしびれを感じることはありません。痛みの本態は筋肉の痙攣です。手術で治ることがあるのは、全身麻酔による筋弛緩によって筋肉の痙攣が止まってしまうことがあるからだと思われます。・・・」(※この部分については後述)

と書かれているのを読んだとき、はじめのうち頭の整理がつかなかった。なにか騙されているような気さえした。

そこでホームページ内にある「トリガーポイント研究所」の部分も含めて何度も読んだところ、私の疑問に答えるような内容の文章がたくさん現れた。

・幼児にもヘルニア状態がみられ、もちろん大人にもたくさんいるが、その人が皆痛いわけではない。もしそれが原因なら全員痛いはず。

・痛みやしびれを感じているということは、痛覚を伝える神経が脱分極・再分極を繰り返しているということ。神経が圧迫されたり炎症を起こしたり、または神経が癒着したり神経の血行が悪くなったりすると脱分極・再分極が繰り返して起きるという生理学的事実は存在しない。

・一般に「ヘルニアでの末梢神経麻痺」だと思われているのは、痛みのための筋力低下。ヘルニアは直接痛みの原因ではない。

・神経線維は通常、その末端にある受容器から信号を伝えるものであって、その途中が興奮を起こしたりするようなことはありません。

~トリガーポイントブロックによる治療~

西野真理の理解した範囲で書けば「トリガー」とは「引き金」のことで、痛みを引き起こしているその部分が「トリガーポイント」。そのポイントに局部麻酔を打つのが具体的な治療らしい。目的は

①発痛物質を洗い流す。
②運動神経をブロックして筋肉の強ばりを取る
③知覚神経をブロックして痛みの信号が脳に到達しないようにする
④交感神経をブロックして血流を改善する

・・・と、ここまで読んで

「あれ、麻酔で痛みを一時的に忘れさせるだけなら、麻酔切れたらまた痛いんじゃないのかな・・・」と思っている私の気持ちを見透かしたように続けてこう書かれていた。

「これらは一時抑えではなく、痛みの悪循環を遮断して、治療へと導くのです」

ここにちゃんとした説明を抜粋で貼りつけておきます。

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↑ここのホームページから抜粋させていただきました。加茂整形外科の加茂淳先生は、この研究会の名誉会長です。

筋肉に対する過負荷により筋肉内部に微小損傷が発生します。通常、この微小損傷は数日で自己回復しますが、自己回復できなかった場合に、その微小損傷が筋肉に痙攣(けいれん)を発生させ、筋肉が収縮、硬直をしてゆき痛みが発生します。

この状態になった筋肉の中には「筋硬結(きんこうけつ)」又は「索状硬結(さくじょうこうけつ」と呼ばれる部位が発生します。これらの中に物理的に力を加えると痛みを強く感じる圧痛点が認められ、その中でも特に周辺を含めた広範囲に痛みを発生させる圧痛点を発痛点(トリガーポイント)と呼びます。

筋筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせいとうつうしょうこうぐん)の治療においては有効な医薬品はまだなく、治療により筋肉内の痙攣(けいれん)を解く治療が一般的です。

筋肉の痙攣(けいれん)部位に局部麻酔注射をすることにより、筋肉の痙攣(けいれん)を解き、血流を改善する方法です。(一般的に痛みの治療で行われる、「硬膜外ブロック注射」「神経根ブロック注射」とは異なります)

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)は以下の病気として、誤った診断をされることがあります。

・顎関節症・五十肩・緊張型頭痛・テニス肘・椎間板ヘルニア
・脊柱管狭窄症・椎間板症・腰椎すべり症・変形性膝関節症
・変形性股関節症・頸肩腕症候群・腱鞘炎・半月板障害 他

<初診>

4月14日。加茂整形外科受診を決意した。先日のBさんが一度の治療で痛みが引き、満面の笑顔で出勤してきたからだ。

1時間の年休を取り高速道路を使って小松へ向かった。

いつものことだが、運転するとき太ももの裏側が痛くて、常に体の方向を変えるためにモゾモゾしている。

病院は心配したほど混雑してない・・っていうか空いていた。ネット情報では、県外からもたくさんの患者さんが来院し混雑しているということだったが、16時ころって狙い目かもしれない。きっと午前中とか土曜日あたりは大変なんだろうな。

診察が始まった。

加茂先生は私の痛い場所を聞くと、次々に注射を打ち始めた。正直注射は49歳になっても怖いが、意外なほど痛くなかった事に驚いた。とっても細い針を使用するかららしい。

そして一番の驚きの時がやってきた。

「それじゃ起き上がって、動いてみてください」

「あれ?・・・」

痛くないのだ。腰、お尻、太ももの裏、足の側面。

その後先生から痛みの仕組みの説明を受けて、その日の治療はあっという間に終わった。そして最後に加茂先生はこうおっしゃった。

「一度の注射で治る人もいれば、なんどもかかる人もいる。でもそれは30数年医者をやっていても判らない」とても信用できると思った。

治療費は初診料込みで1600円。その日の帰りの運転は快適。だってどこも痛くないんだもん。

<2回目の受診>

しかし、2年を経過した慢性の痛みはそう簡単には治ってくれなかった。もちろんそれは想定内だし、腰とお尻の痛みの程度は以前よりはるかに軽くなっており、太もも裏の痛みはゼロに近くなっていた。

毎日の通勤がとても楽になった。ある日全ての痛みがなくなればもちろん嬉しいが、少しずつ軽くなってくれることを期待しつつ、しばらくは通院を続けるつもりである。

2回目の治療費は670円。

近所にある和菓子屋さんで田舎饅頭を買い、普通道で家路についた。高速で帰るより20分以上多く時間がかかったが、モゾモゾはなかった。

<3回目の受診>

このエッセイは2回目受診後から書き始め、受診毎に少しずつ書き加えている。

目的はもちろん次回発売のエッセイ集に載せることではあるが、このエッセイに限っては、この部分だけを腰痛に悩む人に配る気満々。

つまりそれくらいこの治療は効果があったのである。

ただ、このエッセイの内容は「医療」関することであるから、万一間違ったことを書いていると大変だ。また、加茂先生の実名もお出ししているから、加茂先生の許可も取らねばならない・・・というわけで、何としても3回目の受診までにある程度書いておきたかった。

「西野さんどうぞ」

と呼ばれて診察室に入るやいなや、私は封筒に入れたこのエッセイとおまけの「美女エッセイPART9」、写真入りの名刺を渡しながら加茂先生にこう話しかけた。

「先生、わたし趣味でエッセイを書いてて、ここの治療のこと書かせていただいたんです。次に発売するエッセイ集に載せたいと思ってるんですけど、すみませんがお読み頂いて、もし変なところがあれば教えていただけませんか?」

先生は笑顔で受けとりながら

「これ、貴方?」

エッセイより名刺の写真の方に興味を持たれたようだ。

こんな写真だから

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「はい、私歌手なんです(笑)。先生が研究会とか開かれるときがあったら、歌わせてください!」ベッドに腹ばいになり、シャツをたくし上げながら言った。

その後先生はあっという間に読んでくださり(<3回目の受診>の前まで)

「いいよ(笑)」

「エッセイ集に載せてもいいですか?」

「いいよ。でも、ここんとこ・・・全身麻酔のとこに、『儀式的効果』も入れとくといいかな」

先生がおっしゃる事を要約すると、

「『手術までした』ということがその人の痛みを取る効果がある。この病院での治療にもそういう効果がある」

その後痛みのことについて色々教えていただいたが、一度のご教授でそれをきちんと書き留めるのは私には無理。あ~また聞きたい。先生どこかでセミナーでもやってくださらないかな。

その後、いつものように注射を打っていただいて、治療は終わった。

湿布をいただいたので、今回は1020円。

近所の和菓子屋さんで、柏餅といちご大福と地酒飴を買って、普通道で家路についた。痛みは全くなかった。

あまりに快適なので、帰宅後すぐにこのエッセイの<3回目の受診>以降を書き始めたが、運転を1時間したあとなのに、椅子に座っても痛みはなかった。

<終わりに>

4回目の治療の時、ふと思いついて、左手の軽い痺れ(2年ほど前から?)のことをご相談すると、それも原因は腰と同様、筋肉の問題。

腕に注射をしていただいたところ、この1回で完治。久しぶりに両手の体感温度が同じになって感動!

この治療を終え家に帰ると、アマゾンで注文した加茂淳先生の貴著

「トリガーポイントブロックで腰痛は治る!」(風雲舎 1575円)が届いており夕飯の後、一気に読み終えた。

多くの方にこの本を手にとっていただきたいと願い、内容の抜粋を以下に書かせていただき、このエッセイを終わります。(以下にその部分が載せられていたら、加茂先生の許可を得たとご理解ください)

・腰痛など、筋骨格系の痛みの殆どは、筋肉の痙攣から来る「筋痛症」

・一般にいう「麻痺」とは神経麻痺のことで、触っても針で突いても感覚が鈍い、感覚がないもの。一方「しびれ」は「異常知覚」のことで、正座のあとのジンジンがそれ。筋痛症のときの「しびれ」はほとんどが「異常知覚」

・ケネディ大統領は腰の椎間板ヘルニアの手術、続いて固定手術をしたが良くならず、トラベル先生によるトリガーポイントブロック(TpB)の治療と助言により症状が改善され、人生を変えた。

・数えきれないほど医学系学会があるのに筋痛症の学会はない。
(西野補足:先生はご自分で「筋筋膜性疼痛症候群(MPS) 研究会」を立ち上げられています)

・患者さんが痛みを訴えて来院されたら、まずその日のうちに痛みの何割かは必ず軽減させて少しでも楽になってもらう・・・これが整形外科医が行う治療の大原則だと思います。

・私は勤務医時代の臨床経験でこの療法(TpB)に密かに自信を持っていました。何しろその注射が一番効き目があったからです。私は当然他の医師も同じことをやっているのだろうと思っていました。ところが私のような治療をやっている医師は整形医の中には殆どいないことがわかったのです。(中略)こんなに効果があるのに。私が自分の治療法の理論化に取り組んだのは、それからのことです。

・焚き火を消す時でも最初の火(急性痛)は、バケツ1杯の水で消火できますが、次第に火の手が大きくなると手に負えなくなってしまう(慢性痛)ことがあるのです。

・痛みは神経根部で生じているのではないのです。正常な神経線維の途中で痛みの信号が発生することはありません。たとえていうと、マイクのコードに向かっていくら声を出しても音は出ませんよね。

・半月板手術の後いつまでも痛みが消えない人を何人も診てきました。このケースこそ「損傷(外傷)の治療と痛みの治療は別の物」という典型例です。

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by junk_2004jp | 2011-05-12 02:33 | 慢性痛 | Comments(2)