心療整形外科

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2014年 10月 31日

慢性痛問題

http://junk2004.exblog.jp/10322167/

2009年2月8日の中日新聞の記事をもう一度読んでください。

【慢性痛】急性痛が治まった後、痛覚神経系が何らかの原因で“誤作動”し続けている状態。原因である傷病が治っても痛みが続き、鎮痛薬などが効かない。急性痛が長引いている状態とは違い、決定的な治療法、治療薬はない。研究先進国のアメリカでは、患者数は約7500万人と推計されている。

九州大医学研究院の吉村恵教授(神経生理学)の話 慢性痛は、神経損傷ではなく筋肉からくる痛みのケースが多い。実態に近いモデルは極めて珍しく、治療法や薬物開発に有効な研究成果だ。


慢性痛はアメリカで7500万人、日本で2300万人いると言われています。

最近「慢性痛」という言葉が流行しつつあります。

これは従来の整形外科的痛みのモデル(損傷モデル;軟骨が減っている、ヘルニアが神経を圧迫しているなど)では説明できないということです。

慢性痛は複雑系といわれます。

損傷が治れば(断端が閉鎖すれば)痛みも治ればいいのですが、脳はそのように進化しなかったのです。

慢性痛に対して現代医学は決定的な治療法はありません。

他人の脳に染み付いた癖を治すということは困難なことです。

不安、うつ、とらわれ、孤独、小児時のトラウマ、アダルト・チルドレン、親の死、親の離婚、伴侶の死、職場家庭のトラブル、これらのことは慢性痛と無関係ではありません。

つまり、治るのはいつの場合もたまたまなのです。患者さん同士の会話や励ましが有効なのかもしれません。

あるいは、私の所まで旅行してきたことがきっかけになり快方にむかったのかもしれません。

転地や転職がよかったのかもしれません。

本を読んだだけでよくなる人だっているのです。

もし、慢性痛をすべて治せると言う人がいたとすれば、話は簡単なのです。その人のやり方でこの問題は解決するのです。

「腰痛は脳の勘違いだった」の著者、戸澤洋二氏はトリガーポイントブロックと認知行動療法で7年間続いた腰痛、坐骨神経痛が3ヶ月で治ったと書いています。スーパー患者さんです。

私は自分の考えを押し付けようとは思いません。それほど自信家ではありません。

よくなるのを待とう、あるいは、寄り添ってやろうと思っています。

確実に言えることは痛みは独立した系で、早期に介入して治すべきだということです。

次はある慢性痛の患者さんからいただいたメールです。この方は痛みの本態に気づいたのでしょう。そして老後を生きていく自信がついたのだろうと思います。

あらためまして省みますと、加茂先生にはまことに筆舌に尽くし難い素晴らしい治療をしていただきました。只今の日本では最高峰の心療整形外科に入院させていただいたと思います。

Aさん、Bさん、Cさんにもどれほど助けられ支えられ教えていただいたことか感謝の思いでいっぱいです。私もわずかにはお返しもできたかなという、思いもこざいます。

わが息子、わが娘の年頃の人たちが、痛い痛いと叫ぶこともせずにじっと痛みに耐えている様子は、この子たちの親になったような気持ちでとても、辛いものでした。

痛みの治療はもとより、これからの老後を生きていく心構えといいますか、自らの取扱い説明書の作り方を懇切丁寧にご教授いただいたと感じております。

もう、たぶん大丈夫だと思いますが、お顔拝見したくなったらうかがいます。素晴らしいスタッフの皆様にもよろしくお伝えくださいませ。



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by junk_2004jp | 2014-10-31 13:49 | 慢性痛 | Comments(0)
2014年 10月 31日

医師がMPSを知らないと起こる弊害

医師がMPSを知らないと起こる弊害は

① やたらと検査をする。

② 誤診をする。

③ 診断ができない。

④ 治療が遅れる。

⑤ 患者さんに不安感、絶望感をあたえる。

昨日の症例を紹介しましょう。

① 70歳、男性、ゴールデンウィークのころ山登りをしたあと、右膝が痛くなる。病院を受診してレントゲン、MRIの検査を受け、「半月板がぼろぼろで手術をするしかない」といわれました。
知人の紹介で当院を受診しました。

内側広筋に強い圧痛がいくつもありました。トリガーポイントブロックをすると、すぐに痛くなくなりました。

内側広筋のMPSだったのです。山を下るときなどに傷めます。伸張性収縮があぶない。


② 20歳代、女性、1週間前、立ち上がろうとした時、急に腰痛、右太ももの前面の痛み。下肢をまっすぐに伸ばせない。MRI検査を受けているときに右ひざも痛くなりました。

MRIの結果、椎間板ヘルニアと診断されました。投薬で様子見、よくならなければ神経ブロックといわれました。

ネット検索で当院受診。腸腰筋、中臀筋、内側広筋などのMPSでした。もちろんその場で痛みがなくなりました。早期手当がよかったのでしょう。

立ち上がる動作は腸腰筋にとって伸張性収縮ですね。


このような症例は検査をしなくても話を聞いただけでMPSだと診断できます。あとは治療的診断をすればいいのです。

多くの医師はこの現実を知りません。

MPSを知っていたとしても羽生結弦さんのときの説明のように誤解しているのです。MPSはヘルニアなどがなかったときの診断名だと誤解しているのです。

医師数が増え、MRIが増えて容易に検査できる現状ではますます慢性痛が増えます。

患者さんも専門医が詳しく検査した結果ですから真に受けてしまいます。


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by junk_2004jp | 2014-10-31 01:25 | MPS | Comments(0)
2014年 10月 29日

大学でMPSを教えれば疼痛難民は減る

大学の整形外科、リウマチ内科、循環器内科やある病院の脊椎外科で診断のつかなかった症例です。

80歳代、女性。昨年末より背痛、両下肢痛で歩行困難。

MPSは筋骨格系の痛みの中で最もありふれたものです。

診断は簡単です。まず、除外診断(悪性腫瘍、感染症、リウマチ・痛風、帯状疱疹後神経痛)

圧痛点が1個以上あればMPSです。

骨折や腱や靭帯の断裂に合併していることもあります。構造の治療と痛み(MPS)の治療は別問題です。

変形性股関節症に合併したMPS、脊髄麻痺に合併したMPSもあります。

家族や患者さん本人の積極的努力がいい結果をもたらしたのでしょう。

4ヶ月の入院からの退院翌日、初めて加茂先生に診ていただいた後、ゴールデンウイークの休みに入るまでの5日間連続で通い、その後は9月までで合計10回受診しました。

ゆっくりですが徐々に痛みが減り、始めの頃は車椅子で診察室まで入っていたのが杖になり、今では近所のスーパーマーケットをカートを押しながらゆっくり一周、一緒に買い物に行けるようになりました。

9月に受診した直後は、まだ時々痛みが出るようで、もう一回診てもらいたいと言っておりましたが、とうとう「卒業かな?」という言葉が本人から出るようになりました。

痛みはほぼなくなったそうです。加茂先生に診ていただけて本当に感謝しております。こんな短い文章では伝わらない思いですが、この言葉に尽きます。

また母と買い物に行けるようになったことは、先生にたどり着くまでの日々を考えると夢のようです。

何度目かの受診の時、母が「痛みが出た時にはトリガーポイントの位置を親指でぐーっと指圧すると痛みが治まるんです。」という話をした時に、先生が嬉しそうに「医者いらずだなぁ。」とにこにこしてらしたのがとても印象的で、先生に診ていただけて本当によかったと心から思いました。

お一人お一人、治り方は違っていると思いますが、母の場合、

① 7月頃まで、毎朝、膝上内側のトリガーポイントと思われる所(先生が注射されていた箇所)を蒸しタオルで温めました。温めた方が痛みが楽になるとのことでした。

② 痛みが出たり、出そうになったときは自分でトリガーポイントと思われる所を親指で5秒位押して3秒位休むというのを何度か繰り返して、自分の出来る範囲で痛みをコントロールしていました。

③ 始めの頃は注射直後に痛みが楽になっていましたが、家に着いて車から降りる頃にはまた痛みがぶり返していました。ゴールデンウイーク以降は注射直後より、注射翌日や翌々日くらいから調子が良くなることが多かったようです。

④ 40年以上看護士をしていた母にとっては、トリガーポイント注射によって自分の状態が改善するのか半信半疑の初診でした。初めてのトリガーポイント注射の直後、先生に立ってごらんと言われて、恐る恐る立ち上がった時に「痛くない!」4ヶ月ぶりに痛みのない状態を実際に体験し自力で立つ事が出来、通うたびにゆるやかながら、右下がりの折れ線グラフのように痛みが減っていきました。痛みが出たら加茂先生の所に行けば大丈夫という安心感はとても心強いようで、デイケアでのリハビリも、先生がいつも仰る「あせらず、ゆっくり。」を自分に言い聞かせながらを頑張りました。

まだ以前の歩きっぷりと比べると不安定ですが、日を追うごとに足取りがしっかりしてきているようです。デイケアのスタッフさんや、入院時にお世話になったリハビリのスタッフさん達にも半年前の状態からの変わり様を喜んでいただいてます。もし、また痛みが出た時には伺いますのでどうぞ宜しくお願いします。

冬に向かって徐々に気温も下がってきております。たくさんの患者さんをかかえられ、お忙しい毎日をお過ごしと思いますが、お身体ご自愛下さいませ。

ほんとうにありがとうございました。

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by junk_2004jp | 2014-10-29 02:24 | MPS | Comments(0)
2014年 10月 03日

中枢性感作について

福岡市の山田歯科のブログより
http://www.yamadasika.jp/tmdfms3.html

1965年に、通常は痛みと感じない程度の刺激を皮膚に連続的に加えると、徐々に痛みを感じるという現象を研究していたMendellとWallは、皮膚の感覚受容器から脊髄に送られる信号は増加しないにもかかわらず、脳に送られる信号は増加していることを見いだしました。

この現象はtemporal summation of second painまたは簡単にwind upと呼ばれ、中枢が疼痛の感度を増大する機能を持っていること示すものです。健康な人でもこのwind upは起きるのですが、顎関節症、線維筋痛症、慢性疲労症候群、原発性月経困難症、過敏性大腸炎では異常な痛み感度の増大が起きることが報告されています。そして、この異常なwind upを中枢感作と呼びます。

これらの疾患では、普通は痛みと感じない程度の体の異常でも、強い痛みと感じられるようになるわけです。痛みの感覚は命を維持する上でとても重要な感覚です。緊急時には生命の維持に不必要な痛みの信号はカットされ、微細でも危険な信号は増強され、不安な精神状態では痛みは増強されます。このような中枢の機能は、下降性疼痛抑制系と呼ばれています。この機能は多くの部位が関係した非常に複雑な系によって制御されていますが、青斑核のノルアドレナリンニューロン、中脳中心灰白質および延髄大縫線核のセロトニンニューロンが主要な働きをしていると言われています。

 近年、抑制ばかりでなく興奮性の系もあることが発見されました。興奮性の系は中脳中心灰白質や三叉神経中脳路核などの中脳深部の核にコントロールされて延髄背側網様体がその機能を行っていると言われていますが、まだ、明らかではありません。そして、この中枢の機能は中枢感作に深く関わっているものと考えられています。



急性痛=損傷+痛み

慢性痛=中枢性感作=痛みそのものが治療の対象

痛みの悪循環→中枢性感作→慢性痛

感作を受けやすい脳・・・・不安脳、こだわり脳、抑うつ脳、怒り脳

慢性痛を作るのに医師が一枚かんでいます。

「ヘルニア、脊柱管狭窄、軟骨がぼろぼろ、椎間板が狭くなっている、半月板が悪い、腱板がきれている」

などの変化があたかも痛みの原因のように説明することは慢性痛の出発点になるでしょう。

医師数の増加、MRIの増加は当然ながら慢性痛患者を増やすことになるでしょう。

医師は慢性痛を勉強することは自らの仕事をなくすること、権威をなくすることにつながりますのでたぶん否定的になるでしょう。

患者さんが自ら勉強しなさい。

厚労省は古い医学の病名を未だに保険診療の病名に使っているのを見直ししてください。

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の手術を保険診療からはずすべきです。

それだけで医療費はかなりたすかりますし、慢性痛も少なくなるでしょう。

慢性痛の治療がうまく行くということは治療者が役者だということです。

患者さんと波長があったということです。

私の指導医は「医者は役者であれ」といいました。ドクターズ ルール 10

今から40年ほど前のことです。今でも十分通用しますね。偉大な指導医だったと思います。


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by junk_2004jp | 2014-10-03 13:38 | 慢性痛 | Comments(1)