心療整形外科

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2004年 12月 05日

X線検査のガイドラインの実地試験結果

X線検査のガイドラインの実地試験結果

経済効率を考えたアメリカならではのガイドラインですね。腰痛の画像診断は骨折、骨腫瘍、感染 を除外さえできればあとはどうでもいいことなんです。

椎間板がつぶれていようが、分離症やすべり症があろうがどうでもいいことなんです。そういうことと痛みは無関係です。

病名は「非特異的腰痛症」「腰痛症」「腰部の筋筋膜性疼痛症候群」なんかでいいんです。治療には画像は何の役にもたちません。唯一、圧痛点とどういう動作で痛みが再現するかということが決め手です。

MRIも同じことがいえます。ヘルニアがあろうがなかろうが治療にかわりがあるわけでもありません。かえって治療のじゃまになります。
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# by junk_2004jp | 2004-12-05 00:06 | 慢性痛 | Comments(2)
2004年 12月 03日

痛みの定義

痛みの定義   国際疼痛学会   1986年

不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある。

痛みとは組織の実質的あるいは、潜在的な障害に結びつくか、このような障害をあらわす言葉を使って述べられる不快な感覚、情動体験である。


痛みは個人の感覚・情動体験なのだから、Evidenceがあろうはずがありません。さっき、ふとそれに気づき私のサイトのトップページを直しました。

Evidence based medicine →Mechanism based medicine,  Narrative based medicine

つまり患者さんが「痛い」といえばそれが「痛み」なのです。

この証拠、根拠のない「痛み」に対して医師はなにをよりどころにして治療すればよいでしょうか。

まず、痛みを訴える疾患で痛みの治療以外に特別な手当をしなければいけないか、鑑別しなければいけません。つまり除外診断です。それは悪性腫瘍、感染症、安静固定をすべきほどの明らかな損傷(骨折、肉離れ、靱帯損傷)がないということをまず確認します。除外診断をしたらつぎは痛みの治療ですが、何を根拠に治療すべきでしょうか。

まず痛みのメカニズムに基づいた治療(Mechanism based medicine)です。これは痛みの生理学者に教えを請うべきです。

次に痛みは「不快な感覚、情動体験」なのですから「個人個人の体験narrative」に基づいた治療です。(narrative based medicine)これは心療内科的な観点です。

医師は(私も含めて)痛みに対してほとんど学んでいません。
神経が圧迫されているから痛い、軟骨がすり減っているから痛い、椎間板が傷んでいるから痛い、すべりがあるから痛い、これらはその証拠で、いずれもOmoikomi based medicine でした。 
 
悲しいことに医療従事者の多くも知りません。痛みの取り扱いの無知さから、莫大な医療費の損失をもたらしていることも明かです。

若かったらここで学んでくるのですが・・・・
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# by junk_2004jp | 2004-12-03 15:25 | 慢性痛 | Comments(2)
2004年 12月 02日

脊柱管狭窄症

私が医師になったころは脊柱管狭窄症はマイナーな病名でした。あまり使われなかったと記憶しています。ところが今ではしばしば使われる病名になりました。病名の仕掛け人がいるのでしょうか?

脊柱管狭窄症の適応症の認可のおりた薬剤が開発されると、製薬会社は力を入れてピーアールに努めるわけです。

ところがその脊柱管狭窄症の診断基準がはっきりしていないのです。狭窄症というぐらいですから、画像所見は大いに参考になることと思われるでしょうが、実はそうではありません。

脊柱管狭窄症の画像:画像所見は症状とほとんど関連性がない

脊柱管狭窄症の回復は面像診断上の変化と相関するか?

構造との因果関係が不明なわけですからこの病名は不適切だと思いませんか。しばらく歩くと下腿に痛みが生じて腰をかがめなくてはいけない、一服するとまた歩けるようになるという状態で血行障害がなければ脊柱管狭窄症というレッテルが貼られることになります。それならば、「間歇跛行症候群」ぐらいの病名が適当かと思います。

神経性間歇跛行といわれていますが、私にはとうてい「神経症状」とは思えません。習慣化した筋痛症だと思っています。だから保存的治療でもよくなる人がいるのです。脊柱管狭窄症というレッテルを貼られなければもっと改善するのではないかとさえ感じています。

坐骨神経痛や脊柱管狭窄症に対する外科的治療は保存療法より有効か?

手術を受けた患者のうち約20%は全く改善がみられなかった。Atlas医師らによると、「ほとんどの患者は短期間で有意な改善が得られますが、改善しない患者もいます。さらに患者の中には初期に症状が軽快しても、時間が経つと再発する場合もあることを、手術を考えている患者に知らせなければなりません」。著明な改善は非常に早い時期にみられる。「手術の効果が最も大きかったのは3ヵ月後の時点でした」と彼らは述べている。

症状との因果関係が明確でないのだから当然のことですね。
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# by junk_2004jp | 2004-12-02 12:01 | 慢性痛 | Comments(0)
2004年 12月 01日

坐骨神経痛や脊柱管狭窄症に対する外科的治療は保存療法より有効か?

坐骨神経痛や脊柱管狭窄症に対する外科的治療は保存療法より有効か?

このような議論をするときSciatica(坐骨神経痛と訳します)とはなんぞや、というところから始めないと意味がありません。

整形外科医のくせに坐骨神経痛も知らないのかと思われるでしょうが、一般的に言われていることが本当に正しいのかどうか・・・つまり研究の大前提に問題があるのです。

「坐骨神経痛とはヘルニアによって坐骨神経が圧迫されておきる痛み」このような科学的に証明されていない、矛盾の多い考え方を前提に予断をもたれればおのずと検査結果は違ってくるでしょう。医師も患者もあらゆるものからフリーな立場でなくてはいけません。

「ヘルニアによって神経が押さえられているので痛い。」と思うならば、医師も患者もその言葉の呪縛を受ける可能性はあります。

手術の効果を論ずるときは「全身麻酔効果+手術そのものの効果+プラセボ効果」に分ける必要があります。

全身麻酔は筋弛緩剤の投与で筋肉は完全に弛緩します。またも脳も深い眠りになります。パソコンでいうと「購入時の状態に戻す=リカバリ」ということでしょうか。痛みの悪循環は絶たれる可能性はありますよ。その上、ヘルニアがなくなったという安心感はなにものにもまして大きいことでしょう。

真に手術そのものの効果を調べるには偽手術(全身麻酔をかけて切開だけをする)をしてヘルニアを取ったと告げることをするべきでしょうが、人道上問題があります。

変形性膝関節症への関節鏡下デブリドマンはプラセボ効果しかない
これは私たちの業界で有名になった偽手術の話です。
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# by junk_2004jp | 2004-12-01 21:29 | 慢性痛 | Comments(0)
2004年 11月 30日

船越栄一郎さんのヘルニア

今日の朝のテレビで知りました。もともと時々腰痛があったそうですが、出勤前にストレッチ体操をした後、急に腰痛をきたし身動きが出来なくなり入院されたそうです。入院後1W、まだ強い痛みと闘っているそうです。

船越さんは2時間ドラマの帝王と言われていて超過密なスケジュールをこなしていたということでした。その日は新しいドラマの撮影の初日だったそうです。

コメンテーターや病気の解説の医師は「ヘルニアが神経を押さえるので激痛が起きる」という昔ながらの説をいっていました。

生理学では正常な神経根を圧迫しても痛みは起きません。これ常識です。

アナウンサーの方は「私もなりましたが、病院へ行かずに治しました。あの激痛はなったものにしかわかりません。」(入院しないで治したという意味かもしれません?)といっていました。

痛みの本体はmyalgia(筋痛症)ですから早かれ遅かれ、麻痺を起こすことなく治ることでしょう。

myalgiaをneuralgiaのごとく説明することから矛盾が生じると思います。
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# by junk_2004jp | 2004-11-30 23:58 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(0)
2004年 11月 29日

ヘルニアで手術をすすめられたが

他県の柔道整復師A先生からの紹介の患者さんです。たぶんこれを見ていらっしゃると思います。ご紹介ありがとうございました。患者さんはよろこんで納得してお帰りになりました。

Bさん(60歳代、男性)は以前より時々腰痛になりますがそのつどA先生のところへ行き治っていました。今回、約1ヶ月前に右臀部痛が出現する。出現1W後に急に痛みが強くなり動きが困難となる。公立病院に入院する。MRIで4/5のヘルニアがあり強く神経を押さえているとのことでいずれ手術が必要となるだろうとの診断を受ける。

約1Wの入院でブロック注射などで改善したのでとりあえず退院する。(入院中2度強い腹痛に襲われる。:これはストレスが臀部にでたり腹部にでたりしているのです。)

b0052170_19575868.jpg図のような強い圧痛点がありました。下腿の痛みは足首の所の関連痛のような感じでした。軽く前屈の姿勢です。

圧痛点をブロックすると、痛みは取れて姿勢もまっすぐになりました。もともと現在はそれほど痛みは強くなかったのですが医師の「呪いの言葉」の解除のために来られたようです。

丁度その時に春より右の肩胛骨部に痛みがある同年配の男性Cさんがいましたので、同時に診察室でお話ししました。


Cさんは妻が脳梗塞で倒れて介護をはじめたころから痛みが出てきました。Cさんも圧痛点をブロックするとよくなりました。

「BさんもCさんも同じ病態なんですよ。だから同じ治療法でよくなるのです。圧痛点が肩にでたら五十肩、お尻に出たら坐骨神経痛と言っているだけのことです。いずれもストレスが関係していますが、なぜその部位を選んで表れるのかはよく分かっていません。」
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# by junk_2004jp | 2004-11-29 20:30 | 症例 | Comments(2)
2004年 11月 28日

ストレス前後の痛み

清原選手が2000本ヒットを打った、たしか次の日、背筋痛で、それが終わったら腹痛で試合を休みました。

緊張した仕事が終わったとたんにどーっと疲れや痛みが出るというパターンではなかったかと思います。そうでないかもしれませんが。

先日72歳の男性が左大腿部の裏側が急に痛くなり出して跛行を呈して来院されました。何も原因と思われることがない、過去にこのようなことがない、とのことでした。

大腿部の裏側の圧痛点3ヶ所をブロックすると治りました。「ホンコサン」(報恩講)というこの地方の仏事の役が終わったところでした。

痛みの出現は物理的外力的な出来事よりも、このようにストレス的なことと関係しているものです。

掲示板にお礼を書いてくださいましたヨッシーさんが先日ぎっくり腰で来院されました。大阪、東京と出張があるそうです。
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# by junk_2004jp | 2004-11-28 18:17 | うつ・不安・ストレス | Comments(4)
2004年 11月 26日

あたりまえ感の見直し

圧痛点が痛みの起きている場所です。あたりまえのことなのに、根性痛とか、根由来の関連痛とか、仙腸関節由来の疼痛とか、椎間板性疼痛とか空想上のことを考え出すから迷路にはまり、結局は説明に矛盾を来すのです。

最新の疼痛治療戦略
これはH16年5月第77回日本整形外科学会学術集会LUNCHEON LECTURE(昼弁当を食べながら受けるレクチャー)のもので、東京大学大学院医学系研究科 生体管理医学講座麻酔学教授 花岡一雄先生の講演です。

神経根やヘルニアやその他の構造上の破綻の話題は出てきません。最新の疼痛治療戦略にはそのようなファクターは含まれていないわけです。これはもっともなことで、痛みとそれらの関係はないということです。

交感神経ブロックや硬膜外ブロックなどでインパルスの入力を抑制する、上位中枢へのルートを切断する、痛みの認知を抑制するといったことが必要となる

神経ブロックの意味はこういうことです。痛みの悪循環を遮断することによって痛みを終息させようとするのです。

トリガーポイントブロックしらみつぶしゲリラ一掃作戦、簡単、痛くない。発痛物質の物理的な洗い流しも期待できる。
神経根ブロック一ヶ所集中待ち伏せ作戦、ABCDE点で起きた痛みが全部その神経根を通るとはかぎらないので確率わるい。透視をしながら行う。ブロック治療に痛みや恐怖感を伴うことが多いと聞く。発痛物質の荒い流しは期待できない。私はなぜわざわざするのかわからない。
硬膜外ブロック広範囲待ち伏せ作戦、広範囲に神経根に薬液がいきわたるのでその量やブロックする時の体位が影響か。発痛物質の荒い流しは期待できない。

医師は神経根に原因があると思っているので神経根ブロックや硬膜外ブロックを行うことが多いが期待するほど効果があがっていないようだ。わざわざ、痛みの通るであろう神経根に待ち伏せして攻撃しなくてもよさそうなものに。
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# by junk_2004jp | 2004-11-26 17:20 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(0)
2004年 11月 24日

本日の症例

Aさん(50歳代、男性、会社員)はぎっくり腰のたびに来院されます。今回は昨日(勤労感謝の日、休日)家で庭仕事をしていて急にギクッと腰にきました。これで十数回目だそうです。不思議なことにいつも休みの日に家にいるときに起こるそうです。会社で仕事をしているときにはなったことがありません。このようなことも、物理的な原因というよりか心理的な原因を示唆します。ストレスから解放されたときが危険な時間帯です。

Bさん(70歳代、女性)は1ヶ月前より左膝が痛くなりました。正座はできません。「前に右膝が痛くなって頭がパーになって計算もできなくなった時、先生になおしてもらいました。」(本人談)私は忘れていましたのでカルテを探してみました。
H12年5月来院。1月に右膝をひねってより痛む。右膝には水が溜まっていました。眠れない、食欲ない、疲れる、外出したくない、といった症状がありました。「うつ状態」に伴う関節炎と診断し、抗うつ薬投与とともに関節炎の治療をして約4ヶ月でほぼ治癒。
今回は右は全く痛みはない、左膝内側に圧痛点、水はたまっていない。圧痛点をブロックするとすぐに膝痛はとれてしまい正座ができるようになりました。

病名は前回も今回も「変形性膝関節症」とつけましたが、前回と今回とでは大きな違いがあります。大きなストレス(情動的)が関節炎を起こし水がたまるのではないかと考えています。今回は膝周辺の筋筋膜痛(心身症レベル)ですぐによくなると思われます。

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# by junk_2004jp | 2004-11-24 18:17 | 症例 | Comments(1)
2004年 11月 23日

矛盾に気づくには

ヘルニアや腰痛の従来の説明に対して疑問をもつには、ある程度の基礎的な知識が必要です。患者さんが基礎的な知識を持っていることは少ないので患者さんが疑問を持つことはあまりないでしょう。

整形外科医や医療従事者には基礎的知識はあります。整形外科医で従来の説明に何の疑問も持たない人がいるはずはありません。

神経根部にいかなる理由を付けて責任を求めても、圧痛点の説明はできないし、本を読んだだけで治る人がいたり、手術をしても治らない人がいたりする事実をうまく説明できないのです。

インターネットの掲示板をみているとよく言われる言葉は「ヘルニアはいろいろな治療がある。自分にあった治療法をみつけよう。」これは一見バランスのとれた意見のように見えますが、医師が診察室で患者さんに言ったとしたらどう思われますか。

次のようなメールをいただいたことがあります。私がすべてをクリアカットに説明できるはずもありませんが、臨床経験、臨床所見、文献検索、生理学的考察、体験談、民間療法などを総合的に考えると現在のところ私の主張とならざるを得ないのです。

http://junk2004.exblog.jp/d2003-12-12

先生のホームページをみて大変参考になったばかりかいままでもやもやしていた事柄がすっきりいたしました。特にMRI所見と症状・病態との関係が必ずしも一対一対応しない点につき、やはりそうであったか!と気が楽になりました。さまざまな書籍、先生方のお話を聞くよりも勉強になりました。どうもありがとうございました。

先生のHPを拝見していままですっきりしなかったことがよく理解できるようになりました。大学で教えられることと実地の現場があまりに乖離していて何をよりどころに治療していけばいいのか迷っていたところでした。 

はじめまして。当方、B県のC整形外科医院の理学療法士をしております、Aと申します。先生のHPを拝見させていただきまして、普段疑問に思っているところを洗いざらい解決するように感じ、うれしさでメールを送らせていただいた次第であります。先生の集められた文献は、ぜひとも多くの痛みに悩む方々に参考にしていただきたいと考えております。
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# by junk_2004jp | 2004-11-23 01:42 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(0)