心療整形外科

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2009年 02月 07日

急性腰痛の予後は予想以上に悪い

オーストラリアのプライマリケアにおいて最近腰痛を発症した患者の予後:発端コホート研究

Prognosis in patients with reGent onset low back pain in Australian primary care:inception
cohort study

<目的>最近腰痛を発症しプライマリケアで診療を受けた患者の1年予後を予測し、予後予測因子を特定する。

<研究デザイン>対象患者を1年間追跡したコホート研究。

<設定>オーストラリア・シド二ーのプライマリケア施設。

<参加者>一般医(general practitioner)、理学療法士、力イロプラクタ一170人が診療しているクリニックにおいて、特定の原因がない腰痛を発症してから2週間以内にプライマリケアを受診した連続患者973人(平均年齢43.3歳、男性54.8%)を発端コホートとして登録した。

<主要評価項目>参加者は登録時に質問票調査に回答し、最初の診察から6週間、3ヶ月、12ヶ月後に問診を受けた。回復度は職場復帰、生活上の機能回復、腰痛の軽減(消失)をもとに評価した。潜在的な予後予測因子と回復に要する期間の関連はCox回帰モデルにより解析した。

<結果>12ヶ月間の追跡率は97%以上であつた。試験登録時に就労日数・時間が減少したと答えた参加者の半数は14日(95%信頼区間[Cl],11~17日)以内に発症前の就労状況レベルに回復し、83%は3ヶ月以内にはもとの就労状況に回復していた

それに比べ、機能障害(回復日数の中央値31日;95%Cl, 25~37日)、腰痛(中央値58日 ;95%Cl,52~63 日)は軽快するまでにかなり長い時間が必要であった。

初回診察時から12ヶ月以内に完全に回復した参加者は72%のみであつた。回復までに要する時間が長くなる要因として以下が特定された;高齢、保険などから補償を受けている患者、疼痛がより重度、受診するまでの腰痛有症期間が長い、受診するまで腰痛のため身体をあまり動かさないでいた日数が長い、落ち込んだ気分がある、腰痛が治らず続くのではないかと不安を感じている(予後に対するリスク認識)。

<結論>急性腰痛でプライマリケアを受診した患者のコホートにおいて、予後は臨床診療ガイドラインで説明されているほど良好ではなかつた。大部分の患者で回復には時間がかかった。患者の3分の1近くは1年以内に受診時の症状が完全には回復しなかつた。

BMJ 2008 ( MMJ January 2009 Vol.5 No.1)


慢性腰痛の患者さんの話を聞いていると、ぎっくり腰や転落、打撲(飛び箱、鉄棒)などのエピソードがあることがほとんどだ。

筋肉の強烈な痙攣(spasm)がおきてそれがすっきり回復しないのではないだろうか。つまりワケあり筋を持つことになってしまう。

「高齢、保険などから補償を受けている患者、疼痛がより重度、受診するまでの腰痛有症期間が長い、受診するまで腰痛のため身体をあまり動かさないでいた日数が長い、落ち込んだ気分がある、腰痛が治らず続くのではないかと不安を感じている(予後に対するリスク認識)。 」

この考え方には全面的には賛成できない。

spasmを起こした筋肉を早く回復させる治療が必要と思う。それには局所麻酔の注射がもっとも簡単で効果的だと思う。
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by junk_2004jp | 2009-02-07 00:35 | 急性痛 | Comments(2)
Commented by TK(タク) at 2009-02-07 14:38 x
よく医師が処方する非ステロイド系の鎮痛薬、NSAIDは痛みが発生してる場所に、痛み物質(炎症メディエーター)が痛みセンサーにくっつくのを防止してます。痛み物質に作用する薬なのです。なら、痛いの現場が原因の痛みにたいしても、効くように思えますが、実際は効果が薄い。

この臨床症状を説明したものが、

「筋性疼痛メカニズムはどこまでわかってきたか
名古屋大学環境医学研究所神経系分野II 水村和枝先生」
だと思います。

ttp://junk2004.exblog.jp/9898138/
>遅発性筋痛の形成過程には運動中から運動直後に生じるプロスタグランジンやブラジ
>キニンがかかわっているが、維持にはかかわっていない

1.打撲による痛み。殺傷による痛み。ウイルス性の炎症
2.伸張性収縮、遅発性筋肉痛

遅発性筋肉痛に、しかも、運動が終了してるのに痛みがある症状に対してプロスタグランジンやブラジキニンが維持に関与してないのですから、それらを阻害する、NSAIDは効果が薄いのかもしれません。何かもっと根本の原因で炎症メディエータが出てるのかもしれませんせし。例えば、筋Spasm、組織阻血により炎症メディエータの発生。
Commented by TK(タク) at 2009-02-07 15:28 x
我々は急性期の痛みに対しても、同じ痛みとして捕らえてはいけないのです。共通点はありますが、カテゴライズし、適切に判別し、それぞれにあった対応をしなければならない。

伸張性収縮、遅発性筋肉痛には、加茂淳医学博士が述べられてる局所麻酔の注射が1st choiceでしょう。そもそも、spasmはNSAIDは効かないと思う。


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