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心療整形外科

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2010年 05月 19日

痛み医療の大混乱

ないないづくし

あまりにも混乱している。

病態を表す適切な病名がない。

保険治療でどうどうと使える薬がない。

広範囲に広がった慢性疼痛の治療に対して妥当な診療報酬がいただけない。病院は営利企業ではないが、人件費、設備投資、材料費、光熱費などは当然必要だ。

だから意味もない検査を繰り返さなければならない。

このぶんだと、線維筋痛症を診る病院はだんだん少なくなっていくでしょう。(現実にはそうなんです)

検査をしてナンボ、手術をしてナンボの世界なんです。

たとえば・・・・

1W前柔道をしていて、頚をひねりちょっと痛かったが放置でよくなった。しかし、昨日頭を洗っていて激痛。頚が動かない。

これ、なんという病名にしますか?

頚椎ねんざ?

肩甲挙筋、僧帽筋の急性の筋筋膜性疼痛症候群でした。

レントゲンもMRIもいりません。

かなり深いところに局所麻酔を注射したらすぐに改善しました。

頚椎ねんざという病名ではTPBは保険で通らない可能性があります。

数日続けたらいいのかもしれませんが、保険診療ではそうもいかない地域もあるでしょう。

もしこれを安静だけにすると、慢性化して泥沼化してしまう可能性があります。レントゲン、MRI、ヘルニア発見。

慢性痛も殆どの患者さんは多部位に痛みがあります。

頚、腰、膝、肘が痛い。

腰、股関節、肩が痛い。

これに適当な病名をつけないと保険診療で、レセプトに反映できません。

だから、変形性**関節症、頚肩腕症候群、上腕骨上顆炎、肩関節周囲炎など、いみのない病名の羅列になります。

保険診療ではいろいろ工夫しないと、患者さんの辛いのが続きます。

この程度の痛みなら線維筋痛症ではない。

圧痛点が10個だから線維筋痛症ではない。

もう少したったら線維筋痛症になる。

ではなんという病名か?

疼痛性障害(身体表現性障害)?

身体疾患ではないとなるとすぐに精神疾患になってしまう不思議。

医師には筋性疼痛という概念が0なんです。

学校で習わないのです。ほとんどの痛みが筋性疼痛であるにもかかわらず。

筋肉の痛みなんて放っておいてもすぐに治ると思っているのかもしれません。

ヘルニアや脊柱管狭窄で痛みやしびれが生じるはずがありません。これらは筋性疼痛なのです。

筋性疼痛は慢性化、広範囲になると、交感神経の慢性的緊張が起こり、睡眠障害、不安、抑うつ、頻尿、便秘・下痢、乾燥症状、しびれ、脱力、こわばり、ふらつきなどが生じ、たいへんな人生になってしまいます。

痛みの保険診療に対して患者さんサイドがもっと声を挙げるべきです。

適切な保険診療を受ける権利を主張すべきです。

マスコミ、国会議員はこの問題を追及すべきです。

by junk_2004jp | 2010-05-19 13:00 | 医療不審


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