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心療整形外科

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2010年 10月 10日

日本の保険制度そのものが過剰検査・過剰診療の温床

筋骨格系の痛みの診断において、MRI、CT,レントゲンなどの画像診断は

痛みを伴うことのある特異的な病理所見を有する疾患の有無を調べるものです。

それは、「悪性腫瘍、感染症、骨折など明らかな損傷、リウマチ及びその周辺の炎症性疾患」

これらがあるからといって痛いとは限りません。痛みの治療と並行してこれらの疾患の治療が必要なことがあります。

なぜそう言い切れるかということですが、痛みは電気現象です。電気現象が画像に写ることはありません。

また、痛みは「experience、体験」と定義されています。他人の体験が画像に写ることはないのです。

ただし、痛みは防衛的に筋肉を緊張させますから、筋肉の緊張が続くと画像上に変化が現れてきます。

変形している、軟骨が減っている、ヘルニア、狭窄になっているから痛いのではなく、これらは痛みの結果と考えたほうが理屈にあっています。

日本の保険制度そのものが過剰検査・過剰診療の温床_b0052170_11271945.jpg


ところが、慢性痛の患者さんは袋に入り切れないほどのフイルムを持ってきます。

この問題は、誤診につながるだけでなく、患者さんにまちがったイメージを植え付け一層治りにくくしています。

タクちゃんが掲示板に貼ってくれましたので転載しておきます。

雑誌新医療 2008年4月号

金沢大学院医学系径血管診療学
放射線医学講座 教授
第67回日本医学放射線学会会長
松井修氏インタビュー

==以下引用==
日本の放射線診療は、現在商業主義に走りすぎているのではないでしょうか。PET/CTなどに代表される最新の高性能な画像診断機器が、大病院から市中のクリニックにまで導入され、なんの制限もなく使用されています。専門医の数が少ないと言われる中、機器ばかりが普及し、医療現場の受け入れ態勢がその動きについていけていないのが現状です。そのために、被爆や、専門医不足、過剰検査など、現在では様々な問題や課題が噴出しています。

=中略=

日本の保険制度そのものが過剰検査・過剰診療の温床
-過剰検査過剰診療の背景について、お聞かせください。
 
日本でCTの台数か多いのは何故か。それは我が国の保険制度のためです。これまで放射線検査は、患者の自己負担は少なく、保険によって検査費が賄われてきたため、医師はある面では好き勝手に検査してきました。放射線科はCTやMRIなどの高額医療機器を次々に導入し、医療に貢献してきましたが、それを支えていたのは保険制度です。

日本は出来高による診療報酬制度によって、患者が来院したら、とにかく網羅的に検査をする傾向があります。特に内科や外科はそうです。

欧米では、保険制度の違いから、自己負担する患者や、民間の保険会社などが必要以上の検査をしないよう、医療者側に常に働きかけています。

欧米の放射線関係の論文には、費用対効果に関する・記事か多いのですが、日本ではほとんど見られません、保険制度は、日本の医療を支えてきた優れた制度です。しかし、現在保険が医療全体を支えきれなくなり、様々な問題点や矛盾が噴出してきているのが現状です。


by junk_2004jp | 2010-10-10 11:34 | 医療不審


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