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心療整形外科

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2011年 03月 21日

身体表現性障害という診断の危うさ

痛みに対して「身体表現性障害」と診断されるときがあります。

身体表現性障害の中の「疼痛性障害」にあたるのでしょうか。

<どのように診断するのでしょうか>

患者さんの訴える身体症状を引き起こすような身体的な病気が存在しないことが診断の大前提となりますので、内科や整形外科といったほかの科を受診していただき、本当に症状の元となるような病気がないことを確認する必要があることがあります。身体的な疾患がないことが確認できたにも関わらず、さまざまな身体症状が持続するとき初めて身体表現性障害と診断されます。


つまり身体科の疾患ではなく精神科の疾患ということになります。

筋筋膜性疼痛症候群という疾患の存在は多くの医師は知らないのですから、安易に「身体表現性障害」と診断されるケースがあるものと思われます。

50歳代女性、2年前より前胸部~腹部痛。整体で背中を強く押され一気に悪化。

いろいろ病院を回ったが、「線維筋痛症ではない」といったようなことで積極的な病名はつけられなかった。

結局、身体表現性障害という診断に落ち着き、精神科に入院するも、悪化し、下肢の痛みやしびれも出現。当然、精神科の薬が大量に処方される。つまり、医師には薬に頼るしか、患者さんの痛みを緩和する手立てがない。

昨年9月、当院初診。車いす。震えが止まらない。胸部に圧痛点が多数あり。

筋痛症として治療して薬を徐々に減らしていくことを提案。

現在は震えも止まり、痛みも大幅に軽減している。もちろん歩行なども可能。

この症例からの反省として・・・

医師には筋痛という概念がない。

痛みは検査で積極的な異常がみつからない。

ヘルニア、脊柱管狭窄症、軟骨変性、半月板障害などがみつかるとそれがスケープゴートにされてとりあえずは痛みの原因が分かったと錯覚されて「身体表現性障害」という診断は避けられるわけだ。


by junk_2004jp | 2011-03-21 09:12 | うつ・不安・ストレス


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