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心療整形外科

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2011年 06月 02日

椎間板に起因する疼痛に関する懐疑論

Skepticism About Discogenic Pain

脊椎医療の従来からの2つの共通認識、すなわち、(l)腰痛の主な原因は椎間板変性である; (2)疼痛は固定術または椎間板置換術により効果的に軽減できる、 という考えに対して疑問が深まりつつあるようである。

懐疑論が勢いを増している理由は明確ではないが、この状況は、軸性腰痛(すなわち神経根性疼痛がない腰痛)に対する脊椎手術の強引すぎる売り込みや、それらの手術を強く勧めることで高い報酬を得ている脊椎分野のオピニオンリーダーにおける利益相反に対する反発を反映していると考えられる。

さらに、神経根性腰痛に対する手術の利点については合理的エビデンスがあるが、軸性腰痛にはないという統一見解が確立されつつあるようである。

腰痛の原因は依然として謎であるが、おそらく脊椎の可動部分から脳に至る複雑な問題がかかわっている。そして、軸性症状に対する手術を支持するエビデンスについては、いまだに意見がわかれたままである。

最近、Joumal of Bone and JointSurgerに脊椎手術、すなわち神経根性腰痛に対する手術〔例えば、椎間板手術および脊柱管狭窄(症)の手術〕 と軸性腰痛に対する手術(例えば、固定術または椎間板置換術)の両方を評価した興味深い議論の詳細が発表された。シンポジウムの詳細とその結果を報告したのはEdward N. Hanley Jr.博士らである。

そして、シンポジウムの聴衆は米国整形外科学会(フロリダ州ボニ一夕スプリングス、2009年6月)に参加した整形外科医らであった。

神経根性疼痛と神経性跛行

シンポジウムの座長は、最初に神経根性障害と神経性跛行の手術に関するエビデンスについての賛否両論を紹介した。 SPORT(Spine Patient Outcomes Research Trials)から得られた、有痛性椎間板へルニア、脊柱管狭窄(症) (訳者注:国際分類でいうdegenerative type、 日本では変形性脊椎症)および変性性すべり症に対する除圧術の効果に関するエビデンスも紹介された。

出席した外科医の多くがこのエビデンスに強い印象を受けた。大多数の外科医は、腰椎椎間板へルニア(57%が有効、37%がおそらく有効、7%が無効と回答)、腰椎脊柱管狭窄(66%が有効、29%がおそらく有効、5%が無効と回答)、および変性性すべり症(58%が有効、30%がおそらく有効、12%が無効と回答) に対し手術が有効であるというデータに納得した。

しかし、56%の整形外科医は、SPORT の観察研究で得られたデータに無作為比較研究(RCT)の結果ほど重要な意味はないと考えていた。

腰痛に対する手術

座長は、椎間板変性のある軸性腰痛に対する外科治療のエピデンスについての賛否両論も紹介した。エビデンスとされたのは、軸性腰痛に対する腰椎固定術と腰椎椎間板置換に関するさまざまなRCT であった。

出席した外科医らは、この分野のエビデンスについて非常に懐疑的であった。

Hanley博士らによると「椎間板変性が腰痛の主な原因だと考える医師は23%しかいなかった」(Hanley et al.,2010を参照)。

次にシンポジウムの座長が出席した外科医に対して重大な質問をした。自分に1椎間の変性性変化からくる慢性腰痛があったら、どの治療コースを受けたいか?

その回答は衝撃的であった。すなわち、61%が保存療法を受けると回答し、
38% がまったく治療を受けないと回答したのである。


Hanley博士らによると「100名以上の回答者のうち、固定術を受けるだろうと回答したのは1名のみで、さらに椎間板置換術を受ける気があると認めたもの1 名であった」。

参考文献:

Hanley EN et al.,AOA Symposium.Debating the value of spine surgery,Journal of Bone and Joint Surgery(Am.),2010;92:1293-l304.

TheBackLetter25(8):85,94,2010. ■


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(加茂)

神経根性疼痛の概念も間違っているのでいずれそれに気付くことがあるかもしれない。そうすると、脊椎外科医はおそらく失職するだろう。

脊椎外科医は脊椎の悪性腫瘍、感染症、骨折、側わんなど、それに脊髄の圧迫による麻痺、極めてまれな馬尾症候群が手術の対象となる。


by junk_2004jp | 2011-06-02 13:55 | BACKLETTER


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