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心療整形外科

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2011年 11月 11日

思いこみを捨てて痛みの生理学の勉強を!

A市でBというカイロプラクティック院をしているCと申します。

加茂先生の本やHPを興味深く拝見させていただいております。そして、大部分について共感している次第です。しかし、いくつか疑問もありますので、質問させてください。

筋性疼痛が椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症のおもな原因で、神経根の圧迫は痛みに関係ないとされておられますが、ここで一つ疑問があります。

以下、私の考え方を述べさせてください。

坐骨神経痛の病態は、椎間板ヘルニアの場合でいうと、まず神経根にヘルニア部が当たってきて、炎症が起きていると思っています。

実際、急性のヘルニア痛では、この炎症性の痛みが12日前後でおさまってくるケースが多い。

その後、脚の痛みや足裏の違和感の残るケースでは、神経根部、梨状筋下孔(梨状筋・上双子筋)、坐骨結節と大転子の間(内閉鎖筋・大腿方形筋)、膝窩、足裏(足根管など)における坐骨神経の圧迫・癒着が原因で起きると考えています。

つまり、坐骨神経が何か所かで動きを止められるため、動作時に神経が許容範囲を超えて伸長させられるため、圧迫・癒着間で痛みが出るのではと推測しています。

したがって、私はそういった筋骨格の異常による坐骨神経の圧迫癒着部を取り除く施術を行って、痛みを改善させています。

手におけるしびれも、頸椎が原因の患者よりも、胸郭出口症候群や、四角隙部(大小円筋など、)円回内筋、肘部管、手根管などが多いと思います。こういった症状でも、私は坐骨神経痛と同じような考え方で施術しております。

たとえば、手根管症候群は、まさに手根管における正中神経の圧迫で指にしびれが出ていると思うのですがどうでしょうか。

私の勉強不足だとは思いますが、トリガーポイントの放散痛の考え方で、トリガーポイント部ではなくそこから離れた筋肉の異常のない場所で痛みが起こる理由なども教えていただけたら幸いです。

いきなりのぶしつけな質問で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。


このようなメールをいただきました。いちいちメールでもご質問にお答えするのもタイヘンですので、こちらでご返答いたします。

大部分に共感してくださっているわりには基本的で重要なところがちがいますね(笑)。

まず、神経根が炎症を起こすと痛みが生じるという生理学的根拠はありません。

神経線維が圧迫や癒着を起こすと痛みやしびれが生じるという生理学もありません。

ご自分で生理学を作ってはいけません。多くの医師もこのように自分の思いこみを述べていて、生理学上の根拠あることを言ってはいません。

貴方は神経の圧迫・癒着を手技でリリースしていると思い込んでいらっしゃるのですが、客観的にみればそういう事実はなく、筋肉をほぐしていてそのために筋肉の攣りが改善して痛みやしびれがとれているのでしょう。

痛みがどこでどうしてつくられるのか、生理学の本を読んで勉強してください。

関連痛はいろんな説があります。検索してみてください。

>筋性疼痛が椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症のおもな原因で、神経根の圧迫は痛みに関係ないとされておられますが


私はそう言ってはいません。

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症のせいだといわれている痛みは、実は「筋性疼痛」だといっているのです。

そもそも椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄が痛みの原因にはならないといっているのです。

誤解のないようにいうなら・・・

椎間板ヘルニアは「椎間板の圧迫骨折」みたいなものです。次の2通りが考えられます。

①徐々に生じた・・・・たぶん自覚する外傷や痛みはない。

②一過性の大きな外力によって生じた・・・・もちろん強い痛み

ここが説明の難しいところです。

観察されたヘルニアは新鮮なのか以前からあるのかわかりません。

「ヘルニアで痛い」というべきなのか「外力が加わって痛い」というべきなのか。

②の場合は外力によってヘルニアと筋肉のスパズムが同時に起きたと考え、それぞれの治療は別問題で、この場合は痛みの治療だけで十分だということです。

飛び出たヘルニアを除去したところでなんのメリットもありません。放置でいい。


by junk_2004jp | 2011-11-11 02:28 | MPS


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