2012年 01月 22日
痛みはそれ自体が増殖することがあります。マッチポンプなんですね。 昨日の症例で説明します。 Aさんは1カ月前に尻もちをついてより、臀部~大腿部痛のため座位、歩行時に痛みが続いています。 MRIで椎間板ヘルニアがあり手術が必要といわれましたが、痛い部位に局所麻酔を注射することによって症状は改善しました。 椎間板ヘルニアは今回の転倒で生じたのか以前よりあったのかはわかりません。今回の転倒によって生じたものとしましょう・・・。 「尻もちをついてヘルニアになり、座位や歩行時に痛みがある。」 この文章は日本語としておかしいところはありません。 しかし、ヘルニアが痛みの直接の原因ではありませんね。 ここが説明の難しいところなのです。文章としては正しいが科学的正確さに欠けるのです。 外力によってヘルニアと同時に筋肉の微小損傷も生じたのです。 ヘルニア(構造)の治療と痛みの治療は別問題なのは理解できるでしょう。 ヘルニアを取ったところで臀部の痛みが治るという保障はありません。 もし骨粗鬆症があったら尻もちをついたときに、ヘルニアになるかわりに圧迫骨折が起きたかもしれません。 「尻もちをついて圧迫骨折になり、座位や歩行時に痛みがある。」 骨折の治療と痛みの治療は別問題です。 尻もちをついてのお尻の痛みは放っておいてもしばらくで治るかもしれません。 しかし1年後も痛みがあって座れないかもしれません。 治療家ならだれでもこのようなケースを知っていますね。 痛みが全身に広がっていることもあるのです。 そのようなケースが極めてまれだとしても。 最初はバケツ1杯の水で消せたものが1年後には手に負えない火の勢い(痛み)になってしまうことだってあるのです。 痛みの治療は時間の要素が大切です。 このようなことがたとえば労災事故や交通事故だった場合、話はとてもややこしくなってきますね。 医師はどの程度の可能性を説明すべきか。
by junk_2004jp
| 2012-01-22 19:35
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