人気ブログランキング | 話題のタグを見る

心療整形外科

junk2004.exblog.jp
ブログトップ
2005年 04月 12日

診断とはレッテルを貼ること?

医師の仕事に「診断する」ということがあります。特に、保険診療では診断しなければ保険が適応されません。

診断するということは「レッテルを貼る」ということになりかねません。気にしない人もいるでしょうがとても気になる人もいます。

痛みという目に見えないものを診断するということは、表現に気を使います。それを言葉を使って説明したり、議論したりしなければいけないのですから、言葉の定義が違っては議論にならないのです。

ある方が、腰や下肢が痛くなり、近所の整形外科で、心理的なことと言われたことに不信を感じ、大きな病院に変わりました。そこで、MRIで「脊柱管狭窄症」という診断で手術をしましたが改善せず再度手術をすすめられました。それで、当院を受診しました。

もちろん、最初の整形外科医の意見が正しいのです。それをいかに説明し理解していただくかということです。

診断とはレッテルを貼ること?_b0052170_13195529.gif手術をする医師の頭脳はたぶん左図のようになっていると思うのです。器質的な痛み(脊柱管狭窄症、ヘルニア、すべり症など)は手術で解決できるが、それでも痛みがあるのならそれは心因性の痛みで「心療内科で診てもらってください。私のすることはもう終わりました。」

「心因性の痛み=TMS」と誤解しています。


これは間違いです。器質的な痛みがあるとすれば、それは、骨折など明らかな外傷、悪性腫瘍、感染症という器質的疾患に伴った痛み、ということです。

診断とはレッテルを貼ること?_b0052170_19492786.gif私は左図のように痛みを分類しています。異論があるかもしれませんが・・。

分類しないと、診断、議論、治療ができないからです。痛みという測れないもの、写らないものを分類するのですから、医師の独断と偏見かもしれませんがね・・・。

ほとんどの筋骨格系の痛みは心身症圏内(図は拡大して見てください)で、それがTMSです。心療内科の守備範囲です。

人の痛みが器質的な疾患に伴っているかは除外診断です。これは画像診断などで可能ですが、上図のどのへんにあるのかは、しばらく経過をみないとわかりません。もっともどう表現すべきか分からない痛みもあります。

不安神経症傾向の人に「意味のない構造病名」を付けることで、なかなか立ち直れなくなることもあります。それが不安の種になるのですから。

最初の図と思っている人と後の図と思っている人の議論はかみあいません。また、後の図のなかでも、心身症圏内の人とうつ状態や神経症傾向の人では治療に対する反応や経過にも違いがあることでしょう。

慢性化とともに神経症傾向、うつ傾向になることもありますし、最初からそのような傾向が思われることもあります。

by junk_2004jp | 2005-04-12 13:42 | うつ・不安・ストレス


<< 再びプラセボについて      神経症 >>