心療整形外科

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2016年 03月 03日

「モントリオール宣言」

訳:北原雅樹先生(慈恵・ペインクリニック)

北原雅樹先生のFaceBookより

「モントリオール宣言」についてのお願い

日本は痛みの治療では先進国の中でも極めておくれており、最近ではアジア諸国の中でもおくれを取り始めています。

その最大の原因の一つは、痛みに関する重要な情報が国内に入ってきていないため、人々は自分たちの権利が侵害されていることを知らず、また行政や医療者はなすべきことを知らないことにあります。

今回視察したオーストラリアだけでなく、欧米諸国の多くから、「モントリオール宣言をもととしていろいろな施策をとっている」という話を聞きました。

日本でも、痛みに無用に苦しむ人を少しでも減らすため、是非、このような宣言が世界的に(しかも6年も前に!)出されていることを一般市民、医療者、行政が知る必要があります。

そこで、この宣言をできるだけ多くの方に伝えてください。特に、今現在痛みに苦しんでいる方、医療関係者、行政・立法関係者(≒官僚や政治家)に、一人でも多く伝えてください。数が力となります。

よろしくお願いいたします。(もちろん。『意見には個人差があります』)


「モントリオール宣言」

[患者が痛みに対する適切な診療を受けることは、基本的人権であるという宣言]

我々、国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain: IASP。64の国及び、129国の会員から構成される)の中心メンバーによる会議は、世界中で痛みが十分に治療されていないことに対し、重大な注意を喚起する。

今日においても、ほとんどの国において、未だ、疼痛に関する治療は、不十分なままである。なぜなら:

・外傷、疾病、末期状態の疾患などに起因する急性痛に対しては、いまだ不十分な治療しか行われていない。また、慢性痛は深刻な健康問題であり、糖尿病や、慢性心臓疾患と同様の治療が必要である、という認識が欠けている。

・医療専門職が、痛みのメカニズムや、痛みに対する対処法についての知識をほとんど持っていない。

・診断名の有無にかかわらず、慢性痛は不当に取り扱われている。

・痛みの治療を健康問題ととらえて国策として適切に位置付けている国はほとんどなく、したがって、研究や教育のレベルも不十分である。

・疼痛治療学は、研究と包括的な教育プログラムに基づいた独自の知識体系と明確な臨床的視野を備えた独立した専門分野である、と認識されていない。

・おおよそ世界で50億人の患者が、激しい痛みに有効な薬剤(医療用麻薬)をほとんどあるいはまったく使用できない状況にあり、中程度~強度の痛みの治療が不十分である、とWHOは推定している。

・痛みの緩和に有効なオピオイドやその他の非常に重要な薬剤に対する様々な強い規制が存在している。

そして、すべての人々の固有の尊厳を認め、かつ、痛みの治療を差し控えることは由々しき間違った行為であって不必要で有害な苦痛を招くことになるという認識のもとに、我々は下記のことを患者の基本的人権として世界中が認めなければならない、と宣言する。

第1条 すべての人々は、差別なく、痛みに対する治療を受ける権利を有する。(付記:1-4)

第2条 痛みを有する人々は、自分の痛みを認めてもらい、かつ、痛みの評価や治療がどのように行われるかについて知ることができる権利を有する。(付記:5)

第3条 痛みを有するすべての人々は、適切な訓練を受けた医療専門職により、過不足のない評価と治療をを受ける権利を有する。(付記:6-8)

これらの権利を確実にするため、つぎのような責務を認めるものである。

1. すべての政府および医療機関は、各組織の法的責任および医療資源の許す範囲において、痛みを有する人々が適切な痛み診療を受けられるよう促し、ましてや妨げないよう、法律、政策、システムを構築する責務を有する。このような法律、政策、システムの構築を行わないということは、非倫理的であり、結果として人々を傷つける人権の蹂躙である。

2. 十分な知識と技量を備えた医療専門職によって痛みのある患者が適切な治療を受けられるようにする責務を有する。そのような診療がなされない場合、それは患者の基本的人権の蹂躙である。

注;この宣言は、先進および発展途上国における昨今の保健衛生状況を踏まえて、用意されたものである。しかしながら、すべての政府、保健医療に携わるすべての人々、および医療専門職は、本宣言の条項を実行していくことで、痛み診療の新しいフレームワークを作り上げる責務を有する。

原文:
http://www.iasp-pain.org/DeclarationofMontreal

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by junk_2004jp | 2016-03-03 03:23 | Comments(0)


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