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心療整形外科

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2016年 06月 17日

わかさ2016・8月号「脊柱管狭窄症」

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私も名医10名にいれていただき光栄なことです。

ザーッと読んで見ました。内容は残念です。

残念なことに私が同調できる医師がいませんでした。

私はそもそも「脊柱管狭窄症で痛みやしびれが生じることはない。」と思っています。理論的に破綻しています。

・神経を圧迫すると痛みやしびれが生じるという生理学はない。
・無症状中高年の6〜7割に脊柱管狭窄がある。
・手術をしても良くならない、再発。
・手術をしなくてもよくなる。



悪性腫瘍、感染症、リウマチ・痛風、幻肢痛を除いた筋骨格系の痛みのメカニズムは皆同じです。

その痛みをMPS(筋筋膜性疼痛症候群)とします。

火事と痛みは初期対応がとても重要です。

・痛みの治療と構造破綻の治療は別問題で優先されるのは多くの場合、「痛みの治療」です。


慢性痛(3ヶ月以上)の本態は「中枢性の痛覚過敏」です。

・生物・心理・社会的疼痛症候群
・集学的医療
・認知行動療法


慢性のMPS、線維筋痛症、CRPSタイプ1、これらは同じ範疇の病態で「中枢性の痛覚過敏症」です。

付随する症状として、睡眠障害、頻尿、目や口の乾燥、ムズムズ脚、めまい、耳鳴り、しびれなど。

中枢性の痛覚過敏症=火災報知器の不具合=脳内の疼痛抑制系の機能低下

① 正常な脳機能を持っていた人に痛みが生じて、痛みの悪循環の結果、中枢性の痛覚過敏になった。

② もともと不安障害やうつ状態を有し脳内の疼痛抑制系の機能低下状態であった。


外傷で強い痛みは数時間で中枢性の痛覚過敏になると言われています。(CRPSタイプ1)

この状態を避けるには即、圧痛点に局所麻酔を数日間打つこと。強固な固定をしないこと。

先取り鎮痛=全身麻酔で手術するときでさえ切開する部位に局所麻酔をうつ。全麻のときでも切開(怪我)の痛みの情報は脳に入力されるが、それを防ぐ。

急性痛の段階で積極的に圧痛点(痛覚が過敏になっている点)に局所麻酔を数日間、打つことによって多くの慢性痛を防ぐことができると確信します。長期間動かさないことを避ける。

慢性痛=中枢性の痛覚過敏症

脳(扁桃体、視床、海馬、大脳皮質前頭前野)の萎縮が見られるとも言われています。詳しくは知りません。

慢性痛の治療方針:集学的治療(チーム医療)、認知行動療法。必要最小限の薬物(弱オピオイド、抗うつ薬など)

「わかさ」には筋膜リリース(筋膜はがし)も載っていますが、「慢性痛は中枢性の痛覚過敏状態である。」という概念、心理・社会的疼痛症候群、集学的治療、認知行動療法にはその表現は、ふさわしくないように思います。

現に、もともと不安障害を有していた人で悪化した例も数例知っています。

もちろん、慢性の痛みは暗示効果、儀式的効果がありますから効果が期待できることもあります。



by junk_2004jp | 2016-06-17 04:43 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾


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