2018年 06月 17日
2011年と古いが「神経障害性疼痛」に関しての有名な先生方の座談会がありましたので要点をまとめてみます。 千葉氏 痛みは侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、非器質性疼痛に分類される。 侵害受容性疼痛は生態防御反応としての痛み。 神経障害性疼痛は現在では「体性感覚系に生じる損傷や疾患の直接的な結果として引き起こされる疼痛」に再定義された。 山下氏 神経障害性疼痛には末梢性のものと中枢性のものがある。整形外科医、特に脊椎専門医がかかわるのは末梢性では神経根性疼痛、中枢性では脊髄性疼痛が主になる。 末梢性の神経障害性疼痛のメカニズムは神経細胞の異所性発火。 中枢性の神経障害性疼痛のメカニズムとしては脊髄後角の過敏化。下行性疼痛抑制系の機能低下。 慢性化してくると脱髄が起きる。 川上氏 神経障害性疼痛の臨床的特徴の最たるものは、適切な治療に反応せず痛みが慢性化すること。 神経障害性疼痛の臨床的特徴あるいは定義に関して留意すべきは、ペインクリニックで扱っている神経障害性疼痛と整形外科領域で扱っているものとが少し違っていることで、国際疼痛学会やペインクリニック領域では、慢性で異常感覚を伴ったものと定義されている。整形外科領域では、ヘルニアや狭窄に起因する可逆的な下肢痛、極端な場合は正座で足がしびれる痛みなどもneurogenic painであるわけで、私見としましては、臨床的に一筋縄ではいかない難治性の痛み、あるいは刺激依存性の誘発痛や発作性の痛みなどが神経障害性痛みと考えている。 加藤氏 下肢痛を伴う腰痛の場合、それがdermatomeに一致しているか、疼痛に誘発性があるか、どのように反応するのか、さらには姿勢、筋力、筋緊張などを丁寧にみていく。 紺野氏 腰痛をきたす代表的疾患である非特異的腰痛、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などは、病態的には神経が障害されて痛みがでてくることから、ある程度神経障害性疼痛の要素を含んでいます。しかし、ほとんどの腰椎椎間板ヘルニアは自然に改善しますし、脊柱管狭窄の神経根型も90%が自然治癒します。 一方、非特異的腰痛のほとんどは腰部に原因がありますが、慢性化してくると神経障害性疼痛の要素や慢性炎症も惹き起こされ、そこに心理社会的要因も加わって非常に複雑な病態を呈してくることもあります。 今後、治療に直結する診断法の確立、そして、さまざまな患者さんへのニーズに対応できるような幅広い治療法の確立が望まれる。 私の意見 私は神経障害性疼痛は神経線維の実質的障害ああるもの(たとえば幻肢痛)と機能的障害=中枢性の痛覚過敏状態、と思う。 急性痛が神経成長因子(NGF)などの影響で遷延化して慢性痛になる。 神経障害性疼痛=慢性痛 整形とペインクリニック、国際疼痛学会と神経障害性疼痛の定義が違う? 統一しなくてはいけない。 70歳以上の健常者でも60%以上に脊柱管狭窄がある。90%が自然治癒する。 これで、どうして「脊柱管狭窄症」という診断になるのだろうか。不思議でならない。 対談では「筋筋膜性疼痛症候群」が全くでてこなかった。 近日の外来症例 症例1 12月タイヤ交換のためか腰、下肢痛。某病院受診、同月、椎間板ヘルニアの手術を受ける。改善なし、3月、同病院で脊柱管狭窄の手術を受ける。6月、善なく当院受診。 症例2 60歳代、男性、自動車関係の仕事。2年前より、腰下肢痛、脊柱管狭窄症の診断を得ている。雑誌「わかさ」を見て遠方より来院。3日間治療し、とても改善した。 腰、下肢の圧痛点多数に局麻剤を少量ずつ細い注射針で注射(トリガーポイント注射)した。小松市内の日本自動車博物館へ行く。同伴の奥様がびっくりするほどの健脚だった。趣味を生かした認知行動療法になったわけだ。トリガーポイント注射+認知行動療法 つまり、どちらも腰や下肢の筋痛症と思う。五十肩と同じこと。そう考えれば、異所性発火や脱髄など考えなくてもすむ。C線維は無髄線維。 レントゲンやMRIなど不必要。圧痛点を探せばよいだけだ。 慢性化しないうちに治療するのがよい。
by junk_2004jp
| 2018-06-17 02:09
| 痛みの生理学
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