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心療整形外科

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2005年 07月 20日

うつと慢性の痛み

丸田俊彦著 「痛みの心理学ー疾患中心から患者中心へー」  中公新書

まず、慢性の痛みは抑うつ(うつ病)の症状であるとする考え方。この考え方が一番はっきり出ているのは、「仮面うつ病」の考え方です。うつ病にかかった患者さんが、意識的、あるいは無意識のうちに、周囲の目や体面を気にして、情緒的な症状を出したり訴えたりするのを避け、その代わりに体の不調や痛みを訴える。その身体的た訴えが「仮面」とたるため、特にその初期には、仮面の下にあるうつ病の診断がつきにくい。
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二つ目は、慢性の痛みが抑うつ症状を招くとする考え方。この考え方を代表しているのは、慢性の痛みに伴う抑うつ症状を、反応性うつ病、あるいは二次的うつ病と呼ぶ場合です。私は、慢性の痛みに伴う抑うつ症状の大部分はこのグループに属すると考えています。少し脱線になりまさすが、私がその考え方に至った経緯を説明しておきましょう。
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三番目は、慢性の痛みと抑うつは、共通した病理の違った表現形であるとする考え方。この考え方をする人に、デトロイトのブループーがいます。

慢性の痛みをうつ病の亜型であると考えるブループーは、うつ病を起こしやすい傾向の人があるように、(慢性の)痛みを起こしやすい傾向の人があると主張、「痛み傾向障害」という用語を提唱しました。そして、「痛み傾向障害」の患者さんとうつ病の患者さんの、家族歴(アルコール中毒、うつ病)、検査所見(内分泌系、特に副腎皮質ホルモソの異常)、精神力動的背景(依存欲求不満、代償性の独立心、罪悪感、怒り、〔精神的間題の〕身体化傾向)に、かなり類似点があると報告しています。

もし彼の仮説が正しいとすれば、慢性の痛みの患者さんの訴えは、うつ病の治療薬である抗うつ剤に反応するはずです。事実、ブルーマーの報告によれぱ、慢性の痛みの患者さんの80%以上が抗うつ剤で良くなるといいます。ただ、他の研究者の報告を見ると、治療成功率は必ずしもブルーマーが報告しているほど高くはありません。



by junk_2004jp | 2005-07-20 15:34 | 慢性痛


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