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心療整形外科

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2023年 02月 18日

ヒューマニエンス(NHK・2022・5・24)

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痛みの生理学が大きく発展したのは1980年代で、「ここ10年でさらに研究がさかんになってきた」とのことだ。

最初に腰椎椎間板の突出が坐骨神経痛を引き起こし得ると考えたのは、1911年のはGoldthwaitにさかのぼる。1934年、MixterとBarrの発表から腰椎椎間板ヘルニアの手術が徐々に世の中に広まっていったことは周知の事実である。

「神経を圧迫するとその神経の支配領域に痛みやしびれが生じる」つまり椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の根拠となっている説は100年以上前のものだ。

今ではこのことに対して議論、討論さえされない。それほどバカげているのだ。

中高年になると健常者でも60%以上にヘルニアや脊柱管狭窄が見られる。生理学的にもどう考えても正当化できない。

痛みは脳(心)が大きく関係している。これが最近の趨勢だ。

症例

70歳代、女性。3W前、特に誘因と思われることがなく、右腰、右臀部、右下肢に痛みがでた。雪かきが関係しているかもしれない。痛みは徐々に広がった。

某医受診「椎間板ヘルニアで、神経を巻き込んでいる。痛みはガマンするしかない。」

当院受診、車いすでこられた。10か所ぐらいの圧痛点に局所麻酔を打ち、説明して治癒を保証した。

歩いて帰られた。

翌日、苦悶顔貌で腰を曲げて杖歩行。前日と同じ治療をして、また痛み軽減して帰られた。

夫は2年前死別。現在家族は、息子夫婦とその子(患者のお孫さんで付き添いしている)の4人。

「前日、家に帰ってまた強い痛みになりました」

息子夫婦に迷惑かけることが心配で心配で。

先先を読んで、不安でおれないのだ。

前医の非科学的な言葉が影響していることが想像できる。

しかしこれが現在の日本の痛み医療の縮図なのかもしれない。



by junk_2004jp | 2023-02-18 02:15


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