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心療整形外科

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2023年 12月 11日

画像診断・大流行の日本の痛み医療

①50歳男性(庭師)2か月前より、膝痛、肩痛。はっきりした誘因なし。MRIで肩は腱板損傷で手術が必要、膝は老化のためと診断された。人の紹介で当院受診、肩は上腕二頭筋の長頭腱部に、膝は鵞足部に圧痛があった。圧痛点数か所に局所麻酔を注射したら痛みは消えた。治療的診断。私はもちろんレントゲンやMRIをみていない。

「無症候性の肩においても,50歳台では4人に一人,65歳以上ではほぽ半数と高頻度にいわゆる変性断裂が存在することが示された。」
「いつのまにか腱板損傷」の人が上腕二頭筋長頭腱痛が起きていたのだ。もちろん腱板の修復はしなくてよい。


②60歳男性、スクワットをして膝痛。MRIで半月板損傷で手術が必要と診断された。内側広筋、大腿直筋の膝蓋骨付着部に圧痛があり、局所麻酔を注射したら痛みは消えた。

半月板の損傷は、膝に日々痛み、うずき、こわばりを持つ人々の63%、これらの症状がない人々の60%に見られた。
「いつのまにか半月板損傷」があった人がスクワットで内側広筋や大腿直筋の膝蓋骨付着部に筋筋膜性疼痛症候群がおきたのだ。もちろん、半月板の修復はしなくてよい。


③70歳代女性、もともと腰痛があったが、1週間ほど前より増強し、臀部、股関節部も痛い。MRIですべり症、脊柱管狭窄症と診断された。殿筋や腸腰筋に強い圧痛あり。局所麻酔をその圧痛点に注射したら改善した。ストレスが関係しているように思われた。


④50歳代女性、3か月ほど前より、両手のしびれと睡眠障害。A病院で脳のMRI異状なし。B病院で頚のMRIでわずかにヘルニアがあるもそのせいではないとのこと。胸郭出口症候群、手根管症候群の可能性をいわれ治療を続けているが。

両前腕の屈側の内外の筋肉に圧痛あり。仕事は両手で頻繁に移動させること。圧痛点に数か所に局麻を注射するとしびれは消えた。特に朝強いということで夜間の握り締めが影響しているのか。ストレスが大いに関係あり


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左図はTMSジャパンより、右図はより「9割の病気は自分で治せる」より

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日本人は不安遺伝子を持っている人が多い。
日本人はガマン強い。
MRI、レントゲンの普及。(MRIは維持費がかかり一日10人)
皆保険で医療機関にアクセスが容易。
痛みに対しての医師の知識のアップデートが必要。

これでは慢性痛が増える。

レントゲンが必要なのは骨折と偽痛風のピロリン酸カルシウムが写るときぐらいだ。

ほとんど問診と触診でやっていけるが、専門職の従業員を多く雇用するのはたいへんだ。


by junk_2004jp | 2023-12-11 00:01 | MPS


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