慢性痛は心身症

心身症とは環境などの変化によって症状の強弱などが変化する身体の病気の総称だ。

Functional Somatic Syndrome（機能性身体症候群）

心身一如、心身相関

慢性痛は代表的な心身症だ。

国際疼痛学会は痛みの分類において、明らかな組織や神経の損傷を伴わずに生じる痛みを「痛覚変調性疼」痛と定義した。

殆どの慢性痛はこれに当たる。

これ以外の慢性痛は「神経障害性疼痛」で帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経痛、幻肢痛に代表されるCRPSタイプ２だ。

日本心身医学会総会（2023）シンポジウム「中枢性感作」の資料を頂いた。中枢性感作「上行性の刺激に対する中枢神経内における侵害受容ニューロンの興奮性が増強され，痛みの感受性が上昇する現象」

中枢性感作とは異なるメカニズムとして「社会的痛み，身体化，痛みへの不適切な認知行動的反応，精神疾患に由来するもの」がある。

●社会的痛み：疎外感、孤独感、喪失感、不公平感

●身体化somatization:精神的ストレスや葛藤を身体症状へと変換する防衛機構。精神症状ではなく身体症状で反応する過程を指す。

●疼痛行動pain behavior:痛みを言葉で訴える、痛そうな表情や姿勢をする、鎮痛薬などの要求をするなど、言語的、非言語的に痛みの存在を表現する。

●痛みに対する認知行動的反応（痛みの破局化）：Fear Avoidance Model

●うつ病などの精神医学的問題：仮面うつ病、軽症うつ病、統合失調症

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整形外科医の形態的診断「軟骨、椎間板がすり減っている」「ヘルニア、脊柱管狭窄症、すべり症」は全く痛みとの関係は説明できず、時代遅れと言わざるを得ない。慢性痛に悩んでいる人は心療内科医が書いた本を読んでみることだ。