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心療整形外科

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2005年 09月 06日

痛みのEBM派、痛みのmechanizm派、痛みの治療情報派

掲示板でこの3派は話がかみ合わないことでしょう。治療情報がほしい人は、EBMとかメカニズムといったようなことにはほとんど興味がなくて、どこそこの○○での*療法が効いたというような情報がほしいのです。

私は痛みのメカニズム派です。痛みとは何なのか、どこで起こってどのように伝えられどこで認知するのか、それを止めるにはどうしたらよいのかと考えるわけです。

痛みのEBMは、いろいろな治療法のRCT(Randomized Controlled Trials)から、エビデンスの強さを検討しそれにしたがって医療をするということです。これは一見科学的な印象がありますが、どうもへんてこなことになっているように思うのです。

たとえば、私のHPにある「ヘルニアガイドライン」をみてください。

1 腰椎椎間板ヘルニアに対する硬膜外副腎皮質ステロイド薬注入療法は有効か

坐骨神経痛を有する腰椎椎間板ヘルニアに対する硬膜外副腎皮質ステロイド薬の注入療法は保存療法の1つの選択肢として、治療開始後早期での疼痛軽減に効果がある。(GradeA)


これがGradeA(行うよう強く推奨する、強い根拠に基づいている、質の高いエビデンスが複数ある )だから驚きです。

まず、「坐骨神経痛を有する腰椎椎間板ヘルニア」・・・生理学的メカニズムで説明できるのか?なぜステロイドの硬膜外注入が効くのか、そんなことはお構いなしなのですね。

また、

Medical Tribuneの「慢性腰痛・頸部痛管理にガイドライン」をみてください。一部をコピペします。

(1)椎間関節神経ブロックの精度は,腰椎椎間関節痛と頸椎椎間関節痛の診断では高いが,胸椎椎間関節痛の診断では中等度である。

 (2)椎間板造影検査の有効性に関するエビデンスレベルは,腰椎では「高い」が,頸椎と胸椎では「限定的」である。ガイドラインは,「十分な非外科的治療にもかかわらず,MRIなどの検査により十分な診断上の情報が得られない場合に限り,椎間板造影検査を行うべきである。


ひどいガイドラインだと思いませんか!これがRCTから得られたEBMに基づいたガイドラインの実態なんです。



by junk_2004jp | 2005-09-06 00:19 | 痛みの生理学


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