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心療整形外科

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2005年 09月 10日

神経ブロックとRCT

整形外科医は硬膜外ブロックなどにステロイドを使うのをよくみかける。

●p145 ただし、保存療法に反応しない神経根症状のある患者にかぎり、手術を避ける手段としてステロイド剤による硬膜外ブロックを一時的に用いてもかまわないとしています。

●坐骨神経痛を有する腰椎椎間板ヘルニアに対する硬膜外副腎皮質ステロイド薬の注入療法は保存療法の1つの選択肢として、治療開始後早期での疼痛軽減に効果がある。(GradeA)

それに引き替え、ペインクリニック(麻酔科)では局所麻酔が一般的だ。ステロイド+局痲というのもよく行われる。

●腰椎椎間板ヘルニアについては,神経ブロックの適応を急性期および慢性期の下肢痛、急性期の腰痛とし、神経ブロック療法のRCTありが腰部硬膜外ブロック(有効率42~74%)、神経根ブロック(同27~80%)、RCTなしがトリガーポイント注射(同60~80%)、大腰筋筋溝ブロック(同50%)、椎間板内あるいはヘルニア腫瘤内加圧注入(同44~75%)で、追加されたのは経皮的髄核摘出術(同72%)、経皮的レーザー椎間板除圧術(同75~89%)であった。

これはおそらく思考がちがうのかなと思う。麻酔科の場合、ステロイドを使うにしても、主役は局痲で、ステロイドは脇役、つまり針を刺すという行為に対する予防薬のようなつもりかもしれない。

整形外科医は「炎症」という考えが根強い。だからステロイドをつかいたくなる。局痲を使うとしても、あくまでも脇役だ。神経根炎という考えがあるのだ。「炎症→ベッドでの安静」という従来の治療法につながる。最近の文献はこれに対して否定的だ。

RCTは医師の立場によってかなりちがってくるものと思う。信用できそうでできない。それは疾患の前提となる病態のとらえ方がちがうからだ。

硬膜外や神経根ブロックをするにあたって、(医師が科学的根拠の乏しいのにもかかわらずかたくなに信じている)病態を患者に説明しないはずがないと思われる。そこでもう調査にはバイアス(かたより)が生じているのではないか?

神経根症状の生理学的意味が曖昧な上に行われたRCTはあてにならない。



by junk_2004jp | 2005-09-10 01:51 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾


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