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心療整形外科

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2005年 11月 29日

読売新聞より

ヘルニアとかじゃないですよねぇ。

「原因不明85%」の現実

患者の話に耳を傾ける紺野さん。コミュニケーションが重要だ(福島県立医大で) 5年前、左足のしびれがひどかった仙台市の主婦A子さん(56)は、地元の病院で椎間板(ついかんばん)ヘルニアと診断された。「手術しかない」と言われ、体に負担が少ない内視鏡手術の実績がある福島県立医大病院(福島市)の整形外科を受診した。

ところが助教授の紺野慎一さんの説明は、拍子抜けするものだった。「画像上ヘルニアはあるが、手術をしなくても良くなる。痛みはそれだけが原因とは限らない」と説明した。

椎間板ヘルニアが腰痛の原因ではない?

Aさんは、歩くのもつらいので入院したが、その間に医師の説明の意味が少しずつわかってきた。

腰痛の病名は様々だ。原因により椎間板ヘルニアのほか、脊柱(せきちゅう)管狭さく、腰椎すべり症などの診断がつく。

日本腰痛学会会長で同大教授の菊地臣一さんは「画像や問診から病名がつけられるが、実は、画像と原因が明快に一致する例は少ない」と言う。だから、漠然と「腰痛症」とされることも多い。

無症状の人でも、腰の画像診断をすると、3割にヘルニアが見つかる。逆に痛みを訴えていても、半数近くは画像上の異常が見つからないという報告もある。

「原因が特定できる腰痛は15%未満」と欧州の診療ガイドラインは明記する。腰痛はありふれた症状ながら、実はよくわかっていない。

入院したA子さんは麻酔薬を注射し痛みの伝達経路を遮断する神経ブロック療法を受けた。それだけではなく同病院では、「仕事や家庭での悩み事、ストレスなど心理的な苦痛も、肉体的な痛みを増幅させる」という観点からも治療に取り組んでいる。

腰痛の入院患者には、心理的なストレスを測るため、400項目の問診テストを実施し、心理状態に応じた対応を考える。腰痛での入院患者の1~2割は精神的な問題が影響しているという。

激しい痛みを訴えるA子さんも、入院中に精神科でカウンセリングを受けた。忙しい夫とのすれ違い、子供のけがなど生活での心配や不安を抱えていた。

1か月の入院中に痛みは徐々に和らぎ、左足のしびれも消えた。退院後も痛みは時折出るが、以前のように歩けないほどの強い症状はなくなった。現在も痛みが出ると受診する。A子さんは「悩み事が痛みを強めることもあるんですね。私の場合、手術せずに済んでよかった」と話している。

腰痛の多くは、手術で治るというものではない。痛みをいかに和らげるかというケアの視点が求められている。

椎間板ヘルニア 背骨を構成する椎骨(ついこつ)の間でクッションの役目を果たしている椎間板がつぶれ、中の髄核(ずいかく)が飛び出した状態。神経を圧迫すると、腰痛や足のしびれが起きる。ただし、ヘルニアがあっても無症状の人もいる。

(2005年11月29日 読売新聞)


ヘルニアは痛みやしびれの原因になり得ないのです。そう言い切るべきなのです。なぜかというと、痛みの生理学に矛盾するからです。痛みの生理学の根底から覆さなければいけなくなるのです。

MRIのない、痛みの生理学が未発達な、昔の仮定なのです。下肢挙上テスト(ラセーグテスト)にしても圧迫を受けた神経がなお強く緊張するために、下肢が挙上できないという全くお笑いの理論なのです。

痛みの本態は筋痛です。これしかありえません。だから、どのような治療でもよくなる可能性があります。

世紀の大チョンボが「椎間板ヘルニア」です。

もうそろそろ、「画像上ヘルニアはあるが、手術をしなくても良くなる。痛みはそれだけが原因とは限らない」というような、曖昧な表現はやめにしませんか。

「すみませんでした、今まではヘルニアが原因だと思っていたのですが、よう考えたら間違っていました。」ってね!

by junk_2004jp | 2005-11-29 23:19 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾


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