2006年 01月 06日
用語の統一が必要 もし,異なった教育を受けた医師が,同種の症状に対して異なった評価基準を用い,異なった診断を行うならば,転帰を正確に評価することはできない。統一的な身体検査法と患者の機能に関するデータの標準的報告法がなければ,治療法の成否を正しく評価することは不可能である。診断と治療の焦点を筋肉に置いた結果,患者の多くは転帰が大きく改善した。なかには30年続いていた疼痛から解放された患者もいる。 同部長は「疼痛の医学的管理において筋肉系の重要性が軽視されているのは,医師が大学で学ぶ内容に関係があるようだ。基礎解剖学が終わると,疼痛の診断および治療に関する教育に筋肉はほとんど出てこない。つまり,われわれは診断アルゴリズムにおいて全身の70%を無視しているのだ」と述べた。 MPSについて教育を受けていない医学部生は、卒業後もその存在を知ることなく診療を行うため、現実には多数存在しているMPSの患者たちを前にしながら、正しい診断、治療が行えないのである。 まず大きな原因に、医学部およびコメディカル教育に痛みの教育が含まれていないことがあげられる。このことから、医療の原点であるとも言える痛みについて、医療者側の理解度が諾外国に比較して遙かに低い。医療者の理解が低ければ、もちろん患者側の理解も低くなり、日本の社会全般の痛みに対する理解が低くなるのは当然のことである。特に、この十数年の間に痛みの概念が変革した(前述)ことは、全ての科に関係のあることであり、現場の医療者は再教育されるべきである。 ____________________ 用語を統一して、再教育することが、痛み問題の解決には重要だというメッセージです。痛みという見えない、数値化できないものを考えるのですから、用語の統一は重要です。 たとえば、「心因性の痛み」・・・ 私は転換性障害や身体化障害などの精神科領域の痛みと理解しています。だから「心因性の痛み」は心身症ではありません。 ここで、心身症という言葉の定義も誤解が多いですから、また説明が必要となります。 精神疾患は心身症とはいわないことが多いのです。軽症うつ病を、心身症領域のうつ病ということもあります。脳という臓器の心身症ととらえるのです。そのほうがよいと思います。 転換性障害や身体化障害などの心因性の痛みの経過の中に、あるいは合併して心身症としての痛み(侵害受容性疼痛)があっても不思議ではないと思います。だから実際には典型的なもの以外はその判断は微妙なこともあります。 一方、会社へ行くと頭痛がするとか、休日になると腰痛がおきるといったよくある痛みを心因性の疼痛という人もいます。これは明らかに「侵害受容性」疼痛なのですが・・・。 侵害受容性疼痛はこの図で表されます。 心身症も誤解が多い言葉ですね。痛風や高血圧、リウマチ、なども心身症です。この言葉を嫌う患者さんは多いものです。私もいくつかの心身症をを持っています。 変形性膝関節症は心身症か? 変形性膝関節症といわれている膝の痛みは心身症だといえます。しかし、変形性膝関節症のO脚変形や可動域制限は心身症ではありません。 このように言葉は難しいものです。 そのほか、関連痛、放散痛、根性痛などの言葉の定義と徹底は必要です。
by junk_2004jp
| 2006-01-06 01:46
| 医療不審
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