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心療整形外科

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2008年 03月 06日

MPS3例

Aさん(80歳代、男性)は今年にはいり、歩行がうまくいかず、すぐにふらついたり、転んだりするようになりました。1ヶ月前には顕著になり、病院に入院していろいろ検査をしましたが、特に病気を指摘されませんでした。リハビリを目的として当院に入院を希望されて受診されました。

MPS3例_b0052170_1681637.jpg両側の腸腰筋に強い圧痛と緊張がありました。注射の嫌いなAさんを説き伏せて、圧痛点ブロックをしました。効果はすぐにでました。体が前傾していたのがまっすぐになり、歩きやすくなりました。

数日後来院しました。「もう入院の必要はなくなりました。」

高齢者は長時間座位をとることが多いので、腸腰筋を傷めることがあります。この筋肉のMPSではももがあげにくくなるので、ちょっとした段差でもつまづくようになります。体をまっすぐに保てないのでやや前屈みになり歩行がうまくできなくなります。

検査もだいじだが、医療はちょっと小耳にはさんだ知識が生きてきます。このような患者さんがいましたら検査の前にちょっと試してみてください。検査をしなくてすむかもしれません。


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MPS3例_b0052170_1621168.jpgBさん(30歳代女性)は1W前朝より、特に原因がなく頚部痛が生じ、次第に強くなりました。左上肢がしびれていたときもあります。

圧痛点は左上部僧帽筋、肩胛挙筋にありました。MPSです。圧痛点ブロックをしたらすぐに症状は消えました。レントゲンは撮っていません。

「寝ている時に、頚に力が入っていたのでしょう。握り拳を作っていたのかもしれませんよ。それによって腕がしびれることがあります。何か強いストレスや不満はないですか?」

「いいえ、特に思いあたりませんが・・・」
「睡眠は十分に取れますか。夢をみませんか?」

「そういえば、最近怖い夢をみるのです。」
「どんな?」

「足が切断される夢なんです。」
「へー、それは怖い夢ですね。」何か、無意識レベルでの葛藤があるのかもしれません。
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Cさん(20歳代、男性)

1月はじめ、急に頚が痛くなる。翌日整形外科を受診し、レントゲンとMRIを受け「頚椎椎間板ヘルニア」と診断され、牽引と電気治療を受ける。改善せず。

2W後、別の病院で再度MRIを受ける。「ヘルニアではない」とのこと。痛みの原因について明確な説明を受けず。

2W療養休暇をとる。

三番目の病院を受診。2つのMRIを持っていく。ヘルニアではないとの診断を受けるも痛みの原因は分からず。

1ヶ月後、カイロプラクティックを受診する。そこは私のHPと相互リンクしてあるところでした。筋肉に対する治療をうけよくなってきましたが、やはり痛みが出るときもあります。

ということで、当院を紹介されて受診されました。

Cさんは特に原因と思われる出来事がなく急に頚に激痛が起きているのですから、想定されることは、筋肉の急激なspasmです。それ以外にはちょっと思いつきません。何か、緊張、怒りのようなことがあったのだろうと想像します。

私が初診の医師でしたら、上記のBさんと同じように圧痛点ブロックをします。Aさん、Bさんのように筋肉に注目して診察することで、ほとんどの痛みやしびれは解決します。医療費は安上がりですし、患者さんの経済的、身体的負担も軽くてすみます。

むち打ちのような筋肉にある程度の微小損傷があるものは、やはり相当日数かかるものです。
spasmだけなら、TpBで早く治るものです。

Cさんの2番目に訪れた病院はヘルニアで有名な病院だそうです。ヘルニアがあれば得意の(w)説明ができるのでしょうが、なければもう何も説明ができなくて患者さんを納得させ治療することができないのです。これはおかしい。

by junk_2004jp | 2008-03-06 17:25 | 症例


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