2008年 04月 06日
痛みやしびれに脊柱管狭窄症と診断するのは止めようじゃないか。生理学的には説明できるものではない。 腰部椎間板ヘルニアによって馬尾症候群がおきることがあるように、脊柱管狭窄症による馬尾型はあると思うが、これは麻痺であって痛みやしびれではない。私の経験ではとても少ない。 馬尾型は、自覚的には下肢、臀部および会陰部の異常感覚、膀胱直腸障害、下肢脱カ感や性機能不全を訴え、疼痛はない。他覚的には多根性障害を特徴とする。たとえぱ、責任高位がL4/5椎間である場合には、第5腰神経根以下の多根性障害を呈する。 腰から下肢にかけて痛みやしびれがあると判で押したようにヘルニアか脊柱管狭窄症と診断される。いわゆる神経根型と言われているものについては私は誤診だと思う。 _____________________ 症例1・40歳代男性(了解済み) 25年前、体育の授業の高飛びで右臀部よりマットの外に落ちる。1年半ほど痛みが続く。現在の臀部の痛みと同じ位置。 2006年 1月ーMRIにてヘルニアと診断される。型をとってのコルセット。改善せず。 2007年 1月ー仕事に復帰。連続歩行での痛みは治まる。 2008年 2月ー右臀部からふくらはぎにかけての痛みで椅子にすわっていられない。MRIで脊柱管狭窄3ヶ所とL4/5のすべり症で手術をすすめられる。硬膜外ブロック2回、全く効果なし。 4月1日ー当院入院。 私の診断・・・・25年前の右臀部の強打によって、臀筋(たぶん大臀筋か梨状筋)がワケあり筋(コリコリ筋)になったことが今回の一連の症状の原因。 過去3回MRIを撮っている。脊椎専門医から手術を勧められている。5日間の治療でとても良好な状態になってしまった。筋痛症を脊椎の病気、神経の病気と誤診されていたのだ。 もし手術をしてもコリコリ筋がなくなるわけでもないので、症状は続くことだろう。そして固定術。 failed back surgery syndromeまでいってもふしぎではない。 そのような運命をとった方はきっといることだろう。高校生のときの高飛びの着地失敗が人生を大きく変えてしまうことだってあるのだ。 ________________________ 症例2・70歳代、男性 当院のご近所の方。2年前より、下肢痛、歩行困難で金沢まで通院していたが、手術をするように言われたがいやなので当院を受診する。 歩きにくい、脚が上がらない。つまずきやすい。ふくらはぎが痛い。前医の診断名は脊柱管狭窄症。 診察室に入って来られる恰好は図のように、軽度前屈み。登り坂を歩くスタイルを想像してください。 大腰筋がこわばっていて前屈みになっている。太ももを上げにくい。そのため膝は軽度屈曲位をとり、足関節は軽度背屈位を強いられる。ふくらはぎの筋肉は突っ張っている。 大腰筋、ヒラメ筋のトリガーポイントブロックをしてから、レントゲンを撮る。 数分後、腰が伸びてあるきやすくなっていて笑顔。 「筋肉がこわばっていたのですよ。治療するときっとよくなりますよ。」 大腰筋、ヒラメ筋がコリコリ状態で、強い圧痛を認めた。このような筋痛症を脊椎、神経の病気と判断されていたわけだ。 現にコリコリ筋の実在や圧痛を確認しているわけだから反論の仕様がない。 脊柱管の手術をしたあと、なにもよくならない人、かえって悪化した人はよくあることだ。 すっかりよくなる人もたまにはいるようだ。これは手術のときの全身麻酔効果や術中の体位と筋痛との関係ではなかろうか。しかし、また痛くなることもあるようだ。
by junk_2004jp
| 2008-04-06 18:21
| 慢性痛
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