2008年 07月 03日
症例はいくつでもありますが、最近の4例を提示します。 筋骨格系の痛みやしびれを診る医師にとって、MPS(筋筋膜性疼痛症候群)の概念は絶対必要です。 医師は診断しなくてはいけないし、説明しなくてはいけないし、また治療しなくてはいけないのです。それも短時間で。 ①Aさん(20歳代、男性)は調理のしごとです。約2Wまえより、右頚~上肢にかけて痛みがあり、小指側の3本がしびれています。握力も落ちています。 ある病院で頚のヘルニアの可能性があるといわれ手術も念頭に治療をしていますがよくなる気配がありません。 友人(手根管症候群といわれていた)が当院で治療を受けよかったそうで、当院を受診しました。 「仕事でどういう動作をすることが多いのですか?」 「右腕でフライパンを振ることをやっています。」 「それが原因でしょう。」 ということで、小胸筋と、前腕屈筋に調べましたら強い圧痛がありました。そこにトリガーポイントブロックをしましたところたちどころに痛みやしびれが取れて力も入るようになりました。 レントゲンもMRIもなにも撮りませんでした。小胸筋や前腕屈筋のMPSだったのです。フライパンの仕事が原因だったのでしょう。 「診断は確定したと思います。今後の仕事との兼ね合いをどうするかはよく考えてみましょうね。」 小胸筋は大胸筋と共に、美容師など腕を挙げた位置の仕事で傷めることが多い。赤ちゃんをだっこしているお母さんは今みてきました。すぐになおりましたよ。小指側がしびれるんです。 ②Bさん(30歳代、男性)は6月27日の朝起きたときより、右肩~上肢にかけて痛みがはしる。夕方になると腕が挙がらない。30日、痛みは軽減するもしびれが強くなる。握力がない。中指が特にしびれている。1日受診。 「お仕事は痛みの起きる前日はどのようなことをしましたか?」 「おおきなネジを締めるようなことをしました。」 「ドライバーではなくて、腕全体を使うような仕事ですね。」 「はい」 棘下筋と前腕伸筋に強い圧痛がありましたので、トリガーポイントブロックをしましたら、すぐにしびれが取れて握力ももどりました。 これらの筋肉のMPSだったのです。レントゲンやMRIは撮りませんでした。消炎鎮痛剤を3日分処方しました。 ③Cさん(60歳代、女性)は昨日から、右の股関節部の痛みで跛行を呈しています。 「3日前、引っ越しの手伝いでタンスを運びました。昨日あたりから右の股関節部が痛くなりました。」 2ヶ所の圧痛点をブロックするとすぐに痛みがとれて跛行もなくなりました。モーラステープを貼りました。 ④Dさん(70歳代、男性)は2W前、脚立にのって木の剪定をしました。翌日より、右の臀部~下肢にかけて痛みが生じ、歩行がしずらくなりました。 すぐに当院にきて、小臀筋や前脛骨筋のトリガーポイントブロックをしましたら、すぐにお尻の痛みはとれました。現在は普通にあるかれますが、前脛骨筋部に軽度の痛み(しびれ)が残っています。 ここに挙げた症例はめずらしくはありません。開業医はだいたいこのような急性痛をみていることが多いのです。 注射は一時押さえだとか、体によくないとか、トリガーポイントブロックはエビデンスがないとか言われることがあります。 結局、MPSの概念がないのです。筋肉が急にスパズムを起こしているのですから、それを解除してやればいいのです。 私は保険診療の枠内、時間的制約がありますから、局所麻酔薬を使ってトリガーポイントブロックをすることを得意ワザにしています。 鍼でもいいでしょうし、手技療法でもいいと思います。どんな方法でもいいですから筋肉のスパズムを早く解除してやればいいのです。 しかし、一般的には、頚から手が痺れるといったら、頚のMRIを撮って見当違いなヘルニア説とか、脊柱管狭窄とか言われるものです。 2000円たらずで、正しい知識を得て、早くよくなる人、何十万、何百万使って、手術して迷路にはまる人、この差は多きすぎませんか。 医師に徹底的にMPSの概念を教えるべきなのです。
by junk_2004jp
| 2008-07-03 08:38
| MPS
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