
「痛みを知る」 痛み学の第一人者 熊澤孝朗先生の本を読んでみようではないか。
構造の勉強から医師の道をスタートした人(整形外科医)にとって、「85%の腰痛はよく分からない」が本音のところだ。
分かっている15%はいったいどういうものなのだろうか。
そもそも構造と痛みの間に関係がないのだから。そのことに気づくのはなかなか難しい。過去の知識を否定しなければならないからだ。
痛みのメカニズムから研究を始めた人(痛みの生理学者)にとって、「痛みはますます分かってきた。」ということだ。
私たちは誰から痛みを学ぶべきかはもうお分かりだろう。痛みを知っている人から学ばなくてはならない。それでこの本を是非お薦めする。
神経が押さえられて痛みが生じるなんて書いてない。
神経線維は通常、その末端にある受容器からの信号を伝えるものであって、その途中が興奮を起こしたりすることはありません。
筋肉が痛みに大きく影響する
運動器の痛みは慢性痛症と深く関係しています。このことは筋肉の痛みが、皮膚からの痛みよりも中枢神経に及ぼす影響が大きいということに関係していると考えられます。
第二回線維筋痛症研究会の抄録集
特別講演で熊澤孝朗教授の「痛みのメカニズム:急性痛と慢性痛」から
慢性痛は従来、時間経過のみで分類されていたために、発生機序の違う二つの痛み、つまり、反復する急性痛と慢性痛症が無秩序に含まれていた。
発生機序の異なるこれらの二つの痛みでは、治療法が全く異なり、国際的には「区別すべきは時間経過ではなく、メカニズムである」と言われるようになった。
医療者はこの点を認識し、急性痛の概念のみで痛みに対処してはならないし、また、臨床的には二つの痛みが混在している場合が多いため、鑑別して治療にあたる必要がある。
「区別すべきは時間経過ではなく、メカニズムである」
痛みのメカニズムを知ってそれに沿って治療する必要があるのだ。分からないと言っている場合ではない。