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心療整形外科

junk2004.exblog.jp
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2024年 07月 16日

「軟骨がすり減っているから痛い」は間違い

  • 軟骨が高度にすり減っている人の5割程度は痛くない。という事実がある。
  • 軟骨、半月板、椎間板には痛覚神経がない。(椎間板も椎体間の関節という見方がある)
  • 骨折が癒合しなかったのを偽関節というが、そこには軟骨はないが痛みはない。
関節炎と関節症のちがい

リウマチ、痛風、偽痛風は炎症でステロイド、NSAIDがよく効く。関節粘膜が炎症している。関節液は黄白色。

所謂、変形性の関節症は筋筋膜性疼痛症候群(MPS)でとくに内側広筋と鵞足の3筋(薄筋、縫工筋、半腱様筋)が多い。関節にたまる水は薄茶色でサラサラしている。滑液包にたまる水と同じ。

鵞足炎はnee-in toe-outといわれる場合におこりやすい。

痛みがあると筋肉の短縮が生じ、関節の上下に歪が生じて歯車が欠けてくるように軟骨障害が生じる。軟骨障害が痛みの原因ではなく、MPSの結果と見た方が説明がつく。




# by junk_2004jp | 2024-07-16 17:51 | MPS
2024年 07月 12日

慢性痛にならないために、慢性痛になったら


痛みの定義

2020 改訂

組織損傷が実際に起こった時あるいはおこりそうな時に付随する不快な感覚および情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験

慢性痛の定義

治癒に要すると期待される時間の枠組みを超えて持続する痛み、あるいは進行性の非癌性疾患に関する痛みである。



日本では成人の4~5人に一人、2315万人が慢性痛を持っている。

組織損傷が治癒した後も痛みが続くことがある。それを慢性痛という。

組織損傷の程度はさまざまだ。組織損傷が今回の出来事で起きたのか、古い物なのか、あるいはいつの間にか起きたものなのかは問診や触診で判断するしかない。今のことで起きたと推認できることだけが治療の対象となる。

組織損傷の治癒には3か月を要するとみて、それ以上続く痛みを慢性痛という。。

組織損傷の治癒とは断端が閉鎖した状態のことで必ずしも元通りに整復されていなくてもよい。

骨折の癒合しなかったものを偽関節というが、そこには関節軟骨などないが痛みがないことが多い。

股関節の骨頭下骨折は癒合しにくいので人工骨頭を挿入することが多いが、私は35年ほど前にそこが偽関節になっていても何の不便もなく生活をしている老人を診たことがある。

椎体の圧迫骨折はセメントで固めても痛みが続くことがある。ぺしゃんこに潰れても痛みがないことがある。

下の図は靭帯が損傷して整復されなかったが痛みはない。マレットフィンガーのそのようなことが多い。
慢性痛にならないために、慢性痛になったら_b0052170_00351552.jpg

組織損傷の治療(整形外科医が専門家)
痛みの治療(ペインクリニック医が専門家)
不安・ストレスの治療(心療内科医が専門家)


慢性痛にならないようにするには痛みの治療をしっかりすることです。「痛みの悪循環」をしっかり止めることです。

「組織損傷の治療」は「痛みの治療」とは別のことで、必要があればする。

慢性痛になったら

  • 効く薬を見つける(トラマドール系、サインバルタ、リリカ、タリージェ、ノルスパンテープ、ノイロトロピン、アセトアミノフェンなど)
  • 適度な運動
  • リラックス
  • 鍼、マッサージなど
過度な検査を受けて「壊れた部品仮説」を思い込まされないこと。



# by junk_2004jp | 2024-07-12 00:32 | 慢性痛
2024年 07月 10日

ハネムーン麻痺

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ハネムーン麻痺_b0052170_15365704.png
花嫁の頭を上腕に載せて寝ていて、朝に手首が起こせなくなった。これをハネムーン麻痺という。

先日診た患者さんはこの図のような恰好で寝ていたとのこと。

橈骨神経が上腕骨を横切っている。この部分で圧迫されるわけだ。

下肢では膝裏でギプスによる腓骨神経麻痺だ。下垂足となる。

いずれも時間がかかるが改善することが多い。

神経が圧迫(絞扼)されると「痛み」や「しびれ」が起きるのではない。「運動マヒ」「知覚マヒ」が起きる。

「知覚マヒ」は知覚鈍麻から知覚脱失まで、その程度による。

「知覚鈍麻・脱失」を「しびれ」と表現することもあるので注意が必要だ。これの混同が多く診断をややこしくしている。

「知覚鈍麻・脱失」は神経症状、「しびれ」は神経症状ではない正座をした後しびれる。綱引きをした後指や腕がしびれる」は神経症状ではない。

「運動・知覚マヒ」と「痛み・しびれ」は真逆の生理現象だ。
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神経線維を電気現象(分極・脱分極)が起きて知覚神経なら末梢→中枢へ進んでいく。マヒはこれが遮断されること。

脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアが末梢神経を圧迫して痛みやしびれが起きることはない。これで手術した人で痛みが続く人や困っている人は毎日診ている。

神経根を圧迫するとなぜ下肢に痛みやしびれが生じるのか?ハネムーン麻痺とはどう違うのか?説明できるかな。


初歩的な間違いだと思うが。










# by junk_2004jp | 2024-07-10 17:37 | 痛みの生理学
2024年 07月 06日

過剰検査で壊れた部品仮説を信じ込ませる「損傷モデル」から「心理・社会的モデル」へ変換せよ

過剰検査で壊れた部品仮説を信じ込ませる「損傷モデル」から「心理・社会的モデル」へ変換せよ_b0052170_01183782.jpg

【腰痛を慢性化させる治療者】

✅腰痛みに対する視野の狭い医学モデルに固執し、一時的な鎮痛処置に重点を置く。
✅セルフケアの意欲を失わせ、自己管理のアドバイスができない。
✅患者の機能回復へ向けた介入を行なわない。
✅過剰検査で壊れた部品仮説を信じ込ませる。

















これは急性腰痛の話だが、痛みの治療と構造の治療を分けて考える必要がある。
損傷が治癒したと思われる3か月を過ぎても痛みが続くことがある。これを慢性痛という。

「Back Pain: Don't Take It Lying Down (腰痛に屈するな)」と名付けられたキャンペーンでは、腰痛に対する伝統的な考え方に挑戦し、腰痛があっても活動的な生活や仕事を続け安静や活動障害を最小限にすべきだとの主張がなされた。ビクトリア州の住民と医師に、腰痛を過度に医療対象にすることや診断のための不必要な検査や治療を避けるように勧めた。

腰痛のX線検査が腰痛の診断に役立たない


病態生理に関する事実無根の概念を患者に押しつけ、治療に携わる医師の私的見解を患者に披露する複雑な治療行為の1要素である。患者はこれらの診断によって永遠に変えられるが、良いほうに変えられることはあまりにも少ないと博士は主張した。

「病態生理に関する事実無根の概念」とは「神経が圧迫を受けると痛みやしびれが生じる」あるいは「老化した部品は痛みの原因になる」といったことを指すと思う。

Bogduk博士によれば、椎間板変性、脊椎症および脊椎の変形性関節症は適切な分類ではない。それらは加齢による変化であり、疼痛と相関するとは限らない。

「過去百年間の腰痛にまつわる話題のほとんどは、実のところ整形外科的な理解および治療の話です。解剖的損傷を探すこと、そしてそれを治す方法を見つけようとしてきました。これは、非常に機械的な(mechanical)治療方法であり、多くの問題点を無視しています。そして実際のところ、この方法は効果がありませんでした」。

これは2000年の英国やオーストラリアの文献だ。日本が20~30年遅れているといわれている。




# by junk_2004jp | 2024-07-06 01:51 | 慢性痛
2024年 07月 03日

日本の痛みの医療の現実

Aさん(60歳代)は1年半ほど前より右下肢痛としびれに悩まされている。知人に勧められて他県より来院。
日本の痛みの医療の現実_b0052170_00523480.jpg

これまで6軒ほどの病院を受診し、その都度レントゲンやMRIを撮った。

どの医師も同じ診断だった。「脊柱管狭窄症だが手術するほどではない。」
「手術してみましょうか?」という医師が一人いた。

図の圧痛点(肩を除いて)に局所麻酔を数mlずつ注射し、筋膜リリースガンで振動を与えた。

Aさんの表情は明るくなり「軽くなりました!」

「診断は簡単でレントゲンやMRIは必要ありません。問診と触診でできます。慢性化した筋肉のコリです。私は脊柱管狭窄が痛みやしびれを起こすと思いません。診断名は下肢の慢性痛、筋筋膜性疼痛症候群です。」

A「肩も半年前から痛いのですが」
私「はい、それも同じメカニズムです。そこも注射しましょうか。」

「痛みの起きるキッカケはフィジカルとメンタルの両方がありますが今となっては特定できません。」
痛みは早く治療しないと悪循環し、広がっていくことがある。そして慢性痛という厄介な状態になる。

慢性痛とは中枢性感作で脳が痛みに敏感になる。痛みそのものが治療の対象となる。

運動がよいことと、慢性痛用の薬を処方した。

このようなケースは何も珍しくはない。痛みは早期治療が大事だといっても医師にその能力があるか?

膝痛の本態も筋筋膜性疼痛症候群なのだが、多くの医師は治療できないだろう。「軟骨は減っているがまだ手術するほどではない。」とかいって。

厚労省は痛み問題に本腰をいれて対応してほしい。

NHKのプロジェクトXで日本の優秀な技術者、科学者をみるにつけ、痛み治療業界のお粗末さにがっかりする。(私のやっていることは誰でもできる)







# by junk_2004jp | 2024-07-03 01:49 | 慢性痛