心療整形外科

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2004年 12月 12日

痛みとうつ・うつ状態の関係

痛みとうつ・うつ状態の関係

外国の統計ですが、プライマリーケア医(家庭医)を受診した人で、次の愁訴の人をあらためて精神科専門医が診察したときうつと診断できた人の割合は

関節又は四肢痛を訴えた人 の34%
背部痛               38%              
頭痛                40%
胸部痛               46%
腹部痛               43%

これは想像を超える数字ではないでしょうか。うつといっても「軽症うつ病」「うつ状態」がほとんどだろうと思いますが。

たとえば背部痛ですが(Back painの訳で腰背部痛のことでしょう)38%の人がうつの一症状としての腰背部痛であったということです。62%近くの人はうつというほどではないストレス状態や不安による腰背部痛だったということだと思われます。いずれも「筋筋膜痛」という形で表れます。「うつ状態による腰背部の筋筋膜痛」「全般性不安障害による腰背部の筋筋膜痛」「(ストレス状態による)腰背部の筋筋膜痛」

圧迫骨折や悪性腫瘍や感染症はあっても数%でしょう。

分離症がみつかったから、ヘルニアがみつかったから、心に関係(ストレスに関係)していない・・・・これは大きな間違いです。このような構造的なことと痛みは無関係なのですから。痛みに対して構造病名を付けたところで慢性化へのレッテル貼りぐらいの意味しかないのです。

ある意味において民間治療家のほうが医師よりも偶然に有利なのです、構造病名が付けられないわけですから。「骨盤のゆがみ」「背骨のずれ」というのは観念的、抽象的表現で元にもどるというイメージがありますね。そのような根拠のない表現を使って治療(儀式)ができるのですから。(ゆがんでいるから痛いのではなくて痛いから体を曲げる)

もし民間治療家にレントゲンやMRIを使う資格があると仮定したら、どのようになると思いますか。

整形外科医の本棚にどれだけうつや不安やストレスに関係する本があると思いますか?
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# by junk_2004jp | 2004-12-12 21:33 | うつ・不安・ストレス | Comments(4)
2004年 12月 11日

時間外の電話

今ほど、腰痛の診察依頼の電話があり、患者さんを診てきました。

50歳代、男性。

「2Wほど前から風邪を引いてようやく治ったと思ったら3日前から、特に原因なく腰が痛くなりました。治るかと思って家で寝ていたのですが良くならないので注射を打ってもらおうと思いまして・・・。時々腰痛があるほうです。」

風邪は喉がつまる、いがらっぽい、咳き込む、熱は37度ぐらいの微熱のこともあったのですがあまり出なかった、頭痛なし、鼻汁なし、内科で診てもらって「喉はそんなに赤くないが・・・」ということで風邪薬をもらっていたがなかなか治らなかった。

「なにかストレスを感じていませんか。喉のほうもたぶん咽喉頭異常感症とういストレス病だったのだと思いますよ。それが治ったら腰痛ですから、ストレスの現れ方が変化したのでしょう。腰痛もストレスなんですよ。」

患者さんは最初は特に思いあたらないようでしたが、「2W前に職場の4人がいっぺんに辞めるということが分かったのです。これからどうしようかと心配です。それを聞いた後からです。急に喉の調子が悪くなったのは・・・。」

「そうですか。たぶんそういうことでしょう。腰痛が治ったらこんどは下痢が始まるなんてこともあるかもしれませんから^^、ストレスに気をつけるようにしてください。」

「どういうようにしたらいいのでしょうか。」
「とりあえず奥さんに職場のグチを聞いてもらったらどうでしょうか。」

患者さんは注射(トリガーポイントブロック)をして、納得してお帰りになりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私も時間外に患者さんを診るのはやはりストレスですが、ブログに書くことで発散しています。このケースのように腰痛の原因をストレスにすることによってうまく説明、治療ができます。
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# by junk_2004jp | 2004-12-11 18:31 | 症例 | Comments(0)
2004年 12月 11日

慢性疼痛の認知行動療法

ペインマネジメントセンター インタビュー2日目

慢性疼痛への心理・社会的アプローチ

「ヘルニアの痛みだから慢性疼痛ではない。」「軟骨が減っている痛みだから慢性疼痛ではない。」と思う人がいるかもしれませんが、そうではありません。

いずれもそのような生理学的に根拠のない「知識の間違い」を改めていくことです。

表3現病歴この症例にしても急性痛のときに適切な対応をしていればこのような経過をとらなかったかもしれません。ま~結果論ですが・・・。

このようなケースはしばしば耳にしますが、整形外科医はどのように考えるのでしょうか?従来の整形外科的な構造の破綻が痛みの原因だとする考え方は慢性痛をつくる原因のひとつになっているのではないでしょうか。

急性痛も慢性痛も連続しているものですから、基本的な対応は同じです。急性痛は消炎鎮痛剤やブロックがより効果的です。

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12月8日の症例

本日2回目の受診、寝返り、痛くなくなる。前屈みで物をとるのが楽になる。全体として50%の痛み軽減する。

投薬はモーラステープのみです。2年越の腰痛が簡単な検査と治療でよくなることもあります。圧痛点をブロックすることによって痛くない状態にし、思い込みを修正し、自信を持たせればよいのです。

こういうのを心因性とはいいません。ほとんどの痛みはストレス状況のもとに、ちょっとしたこと(洗面所で、靴下をはこうとして)で生じます。侵害受容性疼痛の筋筋膜痛です。

科学的根拠のない構造的異常を痛みの原因と説明して、いろいろな動作を制限するように指導することによって痛みが慢性化する可能性は高くなるものと推測します。
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# by junk_2004jp | 2004-12-11 12:55 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(2)
2004年 12月 10日

下肢のしびれ

昨日、閉店^^まぎわの5時55分に初診。約1ヶ月前より腰痛、左下肢のしびれ、夜間に下肢がつることがある。MRIの検査を受けたが異常なし。内科で血液検査を受けたが異常なし。薬をもらって飲んでいるのだが、よくならない。

閉店まぎわでしたのですぐに臀部、大腿部、下腿部の圧痛点をブロックする。「また明日きてください。」「明日は忘年会がありますので・・・」「忘年会の前にこれませんか?」

ということで本日5時半ごろ、お見えになりました。「とても楽になりました。」とのことでした。

よくなったのはうれしいのですが・・・。医療費の矛盾にむなしさを感じます。
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# by junk_2004jp | 2004-12-10 18:25 | 症例 | Comments(0)
2004年 12月 10日

心療耳鼻科

リウマチで通院中のAさんが先日から風邪をひいたせいか、両耳がボーヮンとして聞きにくくなりました。耳鼻科でみてもらったところ、鼓膜に水がたまっている?ので切開したらよいとのことでしたが、恐いので様子をみることにしました。

このような時は耳の後側の頚部に圧痛点があります。5ヶ所の圧痛点に0.5ccずつブロックしました。簡単な治療でよく聞こえるようになりました。

もう一人の方は昨日いらっしゃいました。頭痛や耳鳴りで、MRIで検査をうけましたが異常なしとのこと。昨日、同じ治療をしたのですが、今日はとてもよくなったとよろこんでいらっしゃいました。

うつやストレスで耳鳴りがすることは知られていますが、ストレス→頚の筋痛→耳鳴り、という図式だろうと思います。鍼灸師は詳しいことと思います。

最初は私の叔母の頚痛を治療して偶然に耳鳴りも治ったことからでした。耳鳴りに関しては耳鼻科の医師に診てもらって危険な病気がないか確認することが大切ですね^^。
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# by junk_2004jp | 2004-12-10 12:45 | うつ・不安・ストレス | Comments(0)
2004年 12月 10日

心療整形外科

心療整形外科というブログのタイトルは次の文献から拝借しました。もちろんそのような診療科は実存しません。

http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_290.htm

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多くの自覚症状はストレス、情動と関係しているので、すべての科で心療ということは重要なことで、すべての医師に基本的に求められていることです。考えてもごらんなさい、心療を抜きにすれば、ほとんどのことはレシピどおりです。ヘルニアの有無なんてMRIを見ればわかります。それを取ることも特殊な技術を要するものではありません。医師は要らないのです。医師の医師たる所以は心療にあります。

個々の症例の特殊性を想像し、どのような方法で、改善できるかを考えることが仕事としてやり甲斐のある点です。
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# by junk_2004jp | 2004-12-10 01:15 | うつ・不安・ストレス | Comments(2)
2004年 12月 09日

製薬会社の研究者

先日、トレドミン(抗うつ薬)の製造発売元の旭化成ファーマの研究をしている方がたまたま私のホームページをみて尋ねて来てくださいました。

いろいろお話しをしてくださいましたが、欧米では慢性疼痛に対して抗うつ薬を使用するのがかなり普及していて、効果をあげているそうです。日本の医薬業界は欧米の10年ぐらい遅れるそうですから、日本で一般的になるにはもう少しかかるみたいです。

トレドミンが「慢性疼痛」の適応症をとればすぐにでも一般的になると思います。医師も患者も痛みをそういう目でみる習慣をつけることが大切なんですが、薬を実際につかうことによって医師の意識改革が行われるように思います。

もはや慢性疼痛は整形外科のあつかう疾患ではなくなってきているのです。急性疼痛にしても明らかな外傷や悪性腫瘍や感染症以外は生物・心理・社会的疼痛症候群モデルとしてとらえるようになってきています。

第33回日本慢性疼痛学会ランチョンセミナー

精神科や心療内科の受診者は腰痛原因の一つに心因的な面があることを,ある程度自覚しているのに対し,整形外科では腰痛は器質的な痛みであり心因的な関与はないと思う患者が多い。すなわち,整形外科などの身体診察科では,精神科や心療内科の受診患者より難しい症例を精神科的治療アプローチの経験が少ない医師が診るという矛盾が生じており,身体科医も心療内科的な対応の必要性を痛感した。

痛みの定義  国際疼痛学会   1986年

痛みとは組織の実質的あるいは、潜在的な障害に結びつくか、このような障害をあらわす言葉を使って述べられる不快な感覚、情動体験である。


痛みとは体験なのです。人の体験がレントゲンやMRIで分かるはずがありません。分かるとするならば、痛みの定義を変えなくてはいけません。
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# by junk_2004jp | 2004-12-09 01:05 | うつ・不安・ストレス | Comments(5)
2004年 12月 08日

腰痛+股関節痛

b0052170_16232189.jpg40歳代、女性、2年前より腰痛、半年前より右股関節部痛。誘因、思い当たらず。

2年前、急に腰痛に襲われ、しばらくは動くのが極めて困難だった。動かれるようになってからマッサージにしばらく通った。

現在、起床時、立ち座り、寝返り、前屈時に痛む。



「2年前、急に腰が痛みだしたとき、なにか大きなストレスはありませんでしたか。」
「母が癌だと知ってショックを受けたときでした。」

圧痛点をブロックすると立ち座り、寝返り、前屈が痛くなくできるようになりました。

このように、なにか強い情動的なストレスがきっかけで強い痛みがおきることがあります。それが一過性で治まることもあれば、今回のように習慣化した痛みになることもあります。その予測はたちません。

痛みが長く続くと中枢神経の各機能が関与して 痛み刺激の伝達がパターン化されます。 それには、経験、記憶、不安、注意集中、性格など、あらゆる要素が関与します。心理的、情動的な葛藤(情動体験)が生理的な身体変化を起こすのはきわめて通常の反応ですが、自覚された身体変化に過度な不安や恐怖をいだくと、こんどはそれが情動刺激になってさらに身体変化を強化してしまうという悪循環をつくりあげ、刺激因子を持続化させてしまうことになるのです。これらは、やがては慢性・習慣化された身体反応として固定してしまい、些細な刺激、ときには本人に気付かれもしないような刺激によって、すぐ生じてしまうようなパターン化された身体反応になってしまうものです。

「心で治すからだの病気・心身症に勝つ・」 片山義郎 慶応大学精神神経科 大和書房 1980



どのような方法でもいいですから、「痛みの悪循環」をストップさせることです。このとき痛みがハードの故障だというまちがった考え方をするとだめです。痛みは生理的(ソフト)の不調なのですから治癒します。

別のケースです。50歳代の女性が、3月頃より左膝痛がおきるようになり、時々水が溜まります。

これを軟骨がすり減ったせいだとすると、なぜ左だけなのか?なぜそのときから始まったのかうまく説明できませんね。また50歳以降はほとんどの人が軟骨がすりへった状態なのですが痛くない人もたくさんいますね。

この方はたぶん愛犬が死んだのがきっかけだろうと思っています。愛犬が死んで毎日の散歩をしなくなってより膝が痛くなってきました。本人は散歩をしなくなった運動不足が原因だろうといっていますが、私は愛犬の死という出来事がきっかけだろうと思っています。

体調に変化が生じたときはこのようにストレス、情動、に目を向けて、それが習慣化しないように気をつけることですね。なぜ人によって違ったことが起きるのかは私には分かりません。
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# by junk_2004jp | 2004-12-08 17:07 | 症例 | Comments(6)
2004年 12月 07日

ブラジルからの労働者

近年、ブラジルからの工場労働者の受診がしばしばあります。かたことの日本語は話せますが通訳がついてきます。日本の健康保険は使えません。何らかの保険はあるようですが窓口では自由診療の診療費で支払いします。(保険診療と同じで請求しています=つまり十割負担)

私は出来るだけ、その場で痛みをとってやります。家族と離れて異国での生活ですから何かとストレスが多いのでしょう。痛みの理由とか治療の意味とかを説明しますが、通訳を介してのことが多いのですが、だいたい通じているように感じています。

ブラジルでもパップ剤を使うそうです。サロンパスという固有名詞がパップ剤を表す一般名詞として使われるそうです。

腰痛のことを「コルム」が「ドイ」というそうです。「ドイ」は痛いです。「コルム」は背骨(脊柱)のことだそうです。英語で円柱のことをcolumnといいますから語源は同じなのだろうと思います。

腰痛だけでなくて「背痛」も「頚痛」も「コルムが痛い」と表現するといっていました。ところかわれば言葉も変わる。言葉がかわれば考え方も影響しますね。
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# by junk_2004jp | 2004-12-07 12:01 | Comments(0)
2004年 12月 06日

ある掲示板より

私もその支部に通っています。週2~3回で1ヶ月だから10回くらい行ったでしょうか?私の場合は骨盤のゆがみが10年以上たった、慢性化したものだっていわれました。だからか・・・状態は変わってきたような気もするんですが、まだまだ不安です。ただ、痛みに対する対処法をていねいに教えてもらってます。

今年52歳になりました。年もあるのでしょうが、まだまだ動かなければいけないので、完治をめざして通っています。一応30分ごとの予約ですが、1時間近く巻き方などを指導してくれます。私の意見ですが、民間療法のいいところは先生がやさしいことですね。で、否定的なことをいわない。

前にいった整形外科では、あんまり調べもしないで、「はい、ヘルニア。年だから切らないと治らないね。」って言われました。おそるおそるブロック注射・・・とか切り出すと、「あれは根本療法じゃないからダメだよ。」って相手にもしてくれなかった・・。それで、この掲示板で○さんたちのやりとりを読んで今の所へ行きだしたのです。私の場合は時間がかかるかもしれないけど、「大丈夫、必ず治る」って言われると勇気がでますよね。がんばりましょう。


ある掲示板からです。この方は治るかもしれません。民間療法が続いているのは治る人がいるからです。

痛みの原因が民間療法の先生は「骨盤のゆがみ」、整形外科の先生は「ヘルニア」、どちらも病態生理に関する事実無根の概念で、独自の思いこみをのべているわけですが(私はそう思っています)、何となくもとにもどりそうな「骨盤のゆがみ」のほうが、この人にとって受け入れやすいのでしょうか。

それから痛みの治療には、「大丈夫、必ず治る」 この言葉がだいじなポイントです。さすがに民間療法の先生はツボを押さえていますね。

結果的に治っても痛みの真実を知らないわけです。

この患者さんにとってよかったのは、医者が無愛想だったことで、すぐにその医者から離れられた点です。もし医者が熱心で愛想がよかったら、手術にまでいったかもしれません。それで治るかもしれませんが・・。治らないかもしれません・・・。
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# by junk_2004jp | 2004-12-06 21:28 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(4)