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心療整形外科

junk2004.exblog.jp
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2011年 04月 06日

痛みの診断と治療

痛みは次のように定義されています。

An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage.

不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある。


つまり「他人の体験」なんですね。

他人の体験を診断したり治療したりするということはどういうことだと思いますか。

他人の体験を診断したり治療したりするにか何をよりどころにすべきだと思いますか?痛みは見えないし測ることもできません。

それは痛みのメカニズムしかないのです。

痛みのメカニズムに沿って診断するしかありません。

痛みの治療は、痛みの電気回路に介入する薬剤なのです。

急性痛は組織損傷(あるいは損傷するかもしれないという恐れ)に対する警告です。このメカニズムはすでに分かっていて、薬剤は局所麻酔か消炎鎮痛剤です。

慢性痛は末梢性感作や中枢性感作をうけていて下行性疼痛抑制系も弱くなっているものです。もはや急性痛の方法では通用しない。

しかし、慢性痛と急性痛は混在することは普通です。

損傷の治療と痛みの治療は別問題です。


# by junk_2004jp | 2011-04-06 02:02 | 痛みの生理学
2011年 04月 04日

第1回慢性の痛みに関する検討会 

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/txt/s1210-10.txt


これからは「慢性痛」をどう克服するかが焦点となる。

急性痛は比較的簡単に除痛できる。

急性痛のうちに痛みを取ってしまうことだ。

患者さんは何を信じようが自由だ。

しかし、医師は医学的真実に基づかなければならない。

神経が圧迫されているから痛い、軟骨や椎間板や半月板が傷んでいるから痛い、骨棘が神経を刺激して痛いなんていうことは科学的事実に基づいたものではない。

なんとなく、昔からそう言ってきたという程度なのだ。


# by junk_2004jp | 2011-04-04 22:12 | 慢性痛
2011年 03月 31日

脊柱管狭窄症というばかげた診断

健康雑誌「わかさ」に取り上げられてから、脊柱管狭窄症と診断された高齢者が受診することが多い。

「私はふくらはぎが痛いといっているのに医者は腰からきているという。MRIで、腰椎の*番目と*番目の間が狭くなっているのが原因だという。

私はへんなこというと思ったが、医者がいうことなのだから、そうなのかなとも思っていたが、「わかさ」を読んで、納得しました。やっぱり私の思っていたことの方が正しいと分かってよかた。」

このようなことを言う患者さんが何人もいる。

医者よりも患者さんのほうが正しいわけだ。

ほとんどの医者は痛みについて正しい教育を受けていないのだ。

このばかげた診断をいつまで続けるつもりだ。

ある神の手・医師の書いたものをみると、健常な高齢者でも6割以上に脊柱管狭窄が見られるとのこと。

では、下肢痛が脊柱管狭窄が原因かどうかを知るには、神経根ブロックをすればよいとのことだ。

効けば、脊柱管狭窄が原因だと言えるとのこと。

あきらかにおかしい。

効いたのなら、その神経根の支配領域のあるところから痛みの電気信号が来ていたということだ。あみだくじが当たったということ。

そして、神経根ブロックが効かなかったら「心因性疼痛」だとのこと。

おそろしや、おそろしや。


# by junk_2004jp | 2011-03-31 08:31 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾
2011年 03月 30日

麻痺と痛み・しびれ

頚部脊髄症+MPS(軽うつに伴う)

メールをいただきました。頚部脊髄症で痙性麻痺と痛み・しびれが合併していることがあります。

それぞれの症状は別々に判断すべきです。

先日は、母と二人で診ていただき、ありがとうございました。

あれから、母は家に帰ってからも、驚きの連続でした。

数年ぶりに指を鳴らせたり(親指と中指でパチンと音出せたり)、様式トイレではなくても大丈夫だったり、ジャムの瓶の蓋を軽く開けられたり・・・

脚はつま先立ちができるようになりました。歩くときも、足に力が入っているのが、周りから見てもよく分かります。

本当にありがとうございました。先生のおかげで本当にびっくりするほど回復しています。あと、まだ脚の裏に違和感があるのと、手の痺れ(ジンジンした感じ)が若干あるようです。

少し前までは、昼間の睡魔と闘うのが大変だったようですが、昨日くらいから落ち着いているようです。

夜は、先生に頂いた薬がよく効いて、ぐっすり眠れるようです。

リリカも処方してもらいたいようなので、今度、整形外科の定期健診があるので、そのときに神経内科の先生に相談してみると言っています。

家族ともども、母の症状の変化には本当に驚いております。そして、先生に出会うことができ、先生の治療を受けられたことに本当に感謝しております。


# by junk_2004jp | 2011-03-30 18:01 | 慢性痛
2011年 03月 29日

急性痛と慢性痛の違い

慢性疼痛学会よりhttp://www.mansei-t.jp/chairman.htm

痛みの定義
痛みとは「実際に組織損傷が起こったか、または組織損傷の可能性があるとき、またはそのような損傷を表す言葉によって述べられる不快な感覚および情動体験」であると定義 されています。


急性痛の定義
痛みというものは、身体に異常が生じたり、異常が生じる可能性があるときに訴えられるものと考えられておりますから、ヒトにとって当然不快な感覚でありまして、決して心地よい感覚であろうはずはありません。それ故、異常な状態が治癒すれば、またその発生の可能性が消失すれば痛みは訴えられなくなるのが当然のことでしょう。


慢性痛の定義
ところが、異常な状態が治癒したにも関わらず、また明らかな異常な状態が存在しないにも関わらず訴えられる痛みが存在し、その苦悩を慢性的に訴え続けるヒトがいることは明白な事実でございます。このような痛みを慢性疼痛と呼んでおりますが、「疾患が通常治癒するのに必要な期間を超えているのにも関わらず訴え続けられる痛み」と定義して良いかと存じます。


わが国での慢性疼痛保有率は13.4%、約1,700万人であり、そのうち700万人は50歳以上であると推測されています。また、それらのうち痛みが和らいでいるヒトは僅か22.4%であり、残りの77.6%は不変であり、65.5%のヒトは治療を受けることを諦めたり、非受診者であるという報告 があります。

慢性疼痛の解決にさらなる努力が必要であることを示す結果であると考えますが、今日のレベルにおいても、以前より遥かに適切な診断、治療が慢性疼痛に対して行えるようになっております。
 


多くの人が慢性痛に悩んでいます。

痛みは構造異常の警告ではありません。

急性痛は組織損傷を知らせるサイン。「組織損傷の可能性があるときも発せられる」とかいてあります。

ところが組織損傷が完全に治癒、不完全に治癒、変形を残して治癒したとしても痛みも治癒するとは限らないのです。

損傷の治療と痛みの治療は別ものと理解してください。

早期から痛みの治療をすることはとてもだいじなことなのです。

骨折が癒合しなかったのを「仮関節の形成」といいますが、仮関節が痛いかどうかは全く分かりません。痛くないことも多いのです。

その逆に骨折が完全に癒合しているのに痛いこともあります。

慢性痛は痛みを知らせる装置のシステムのエラーなのです。

従来から言われている、「軟骨が減っているから痛い」「神経が圧迫されているから痛い」「変形しているから痛い」などは、痛みの学問が未発達だったときの間違った説なのです。

いいかげんにそのことに気づきなさい!


# by junk_2004jp | 2011-03-29 07:58 | 慢性痛