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心療整形外科

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2025年 08月 20日

坐骨神経痛?

「神経」という日本語には次の二つの異なった意味がある。

  1. 神経線維、顔面神経など解剖学用語 Nerve
  2. 「神経質」「神経衰弱」など文学的用語 Nervous

「帯状疱疹後肋間神経痛」は上記の1に相当し、神経障害性疼痛に分類される。

ヘルニアや狭窄症、すべり症による「坐骨神経痛」は上記の2にあたるか。筋痛が広がった状態で、神経障害性疼痛とは全く異なる。痛覚変調性疼痛に分類されるべきだ。痛覚変調性疼痛とは侵害受容性疼痛が変調したもので多くの慢性痛がこれにあたる。


「前医(整骨院)で坐骨神経痛と診断を受けた」という人。すべり症があるとのこと。

「これは筋肉のコリですよ。だから尻コリといったほうが正しいでしょう。」

「ここは痛くないですか?」と言って僧帽筋の部分を圧迫した。「以前、肩こりがひどい時期がありました。」

「私からみると、肩こりと同じことがお尻や太もものうらに起きている。筋肉の痛みというと皆さんは筋肉痛がこんなに長くつらいことはない、と思うものです。」

「すべり症はこの痛みと何の関係もないですよ。ある調査では3割の人のすべり症があり。むしろ痛みが少なかったといっています。」

このように専門家でも混乱している用語「神経痛」は解剖学用語としてだけ使うようにしたらよいと思う。


# by junk_2004jp | 2025-08-20 01:43
2025年 08月 10日

TMS理論



TMSとは、「Tension Myositis Syndrome」の頭文字からとった略称で、日本語に訳すと「緊張性筋炎症候群」となります。ということはつまり、腰痛などの痛みは骨や軟骨から生じているのではなく、筋肉から生じているというわけなのです。
1984年にニューヨーク大学医学部教授のジョン・E・サーノ博士が発表したもので、この治療プログラムは、腰痛だけでなく肩こり、関節痛、神経痛といった筋骨格系疾患に有効であるばかりか、心身症といわれる広範囲の病態にも役立つ可能性があると評価が高まっているのです。
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サーノ博士のヒーリング・バックペイン

頚痛、肩痛、背通、腰痛で特に明らかな原因がない場合、急性痛でも慢性痛でも、「心理・社会的要因」です。そしてこれが多いのが実感です。

「何かストレスに感じていることはないですか?眠れますか?夜間トイレに何回も起きますか?」

私からすれば明らかにストレス性だと思われる人でも、それに気づく人と、それに気づかない人がいます。

サーノ博士の理論では、「痛みは身体に注意を向けさせることによって、心(脳)が気づかないようにしている。それに気づくことによって痛みの必要性がなくなる。」

たとえば、夫の死後、長男家族と同居の女性の腰痛、特にストレスはないとのこと。ストレスに気づかせるべきか。解決策があるのか。

小児のころ、嫌いだった継母、怖かった父親・・・全身の痛みに悩まされている。
本人はそのことが痛みの原因だと分かっていてもどうしようもない深層心理。

イタコが「オウオウそうだったのか、愛おしやのう、愛おしやのう。そのときそれが言いたかったのだね。」泣き明かして痛みが消えたとしても不思議ではない。

現代では臨床心理師がその役をしている。

症例 

若い女性、立ち仕事。仕事中、腰、お尻、右下肢が痛くなる。いつも痛いわけではない。病院では「すべり症」と診断を受けている。お腹が痛くなることがある。

腰、お尻、太もも、下腿の圧痛点に局所麻酔を注射したら痛みは消えた。

TMSです。「お腹が痛くなることがある」で分かりますね。ストレスが原因です。


30%ほどの人にみられ、それが痛みの原因になることはありません。

構造破綻を痛みの原因とする説をもう終わりにしましょう。



# by junk_2004jp | 2025-08-10 05:51 | うつ・不安・ストレス
2025年 08月 06日

注射、鍼、筋膜リリースガン、シンアツシンが効くわけ

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痛みが起きる原因は

  • 打撲、捻挫
  • 繰り返し動作、固まった姿勢
  • 不意の痙攣
  • 心理社会的要因(不安、怒りなど)

結果は筋肉の張り、こわばりとして現れる。

組織損傷が伴っていれば、損傷の治療と痛みの治療は、それぞれ別の問題だ。

家庭でできることはテニスボールを用いたマッサージ



関節軟骨や椎間板、半月板、腱板がが傷んでいるのが慢性の痛みの原因になることはない。

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄が慢性の痛みの原因になることはない。




# by junk_2004jp | 2025-08-06 13:57 | 痛みの生理学
2025年 08月 01日

日本の痛み治療の遅れ

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これは次の本から
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一方、ガンの治療も遅れているということだ




皆保険は急性の病気に対してはうまくいった。たとえば、大ケガとか心筋梗塞、狭心症、急性腹症、脳出血、脳梗塞など。これらはチーム医療が必要で、ある程度大きな規模、機材が必要で、医師の年齢もせいぜい55歳ぐらいまでか。



# by junk_2004jp | 2025-08-01 12:07 | 痛みの生理学
2025年 07月 18日

頚部痛と両上肢のシビレ

50歳代、男性

3か月ほど前より、頚部痛と両側の腕のしびれがある。

「お仕事はどんな姿勢が多いのですか」
「昼は営業で夜は車の運転です。」
「えらく頑張っていらっしゃいますね。」
「はい、息子が大学に行くためです。」
「給料は上がらず、税金や電気料が大きいから大変ですね。学費も外国人優遇ですね。」
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両側の斜角筋、僧帽筋、上腕三頭筋、前腕伸筋、合谷の圧痛点
両側で20~30ポイントに30ゲージの注射針で0.5%メピバカインを合計10㎖を注射した。すぐにシビレ、痛みは取れて楽になった。

「斜角筋が凝っていたのですよ。肩や頚をよく動かしてください。姿勢からくることもありますが、ストレスも大きく関係しています。シビレは重いものを持っているとジーンとした感じになりますね。それと同じでうっ血と関係しているかもしれません。ゆっくり休養するのがいいのですが、そうもいきませんのでしばらくは頑張ってください(笑)。具合が悪くなったらいつでも来てください。お薬はどうしますか。」

もちろんレントゲンやMRIを見たわけではない。触診と問診で十分だ。

私は保険診療の枠内でこのような治療をしている。いろんな治療法があるのだろう。鍼、指圧、マッサージ。電気治療、牽引、薬など。

効果は個人差がある。もちろんプラシーボもある。(それを利用しない手はないのだが)。地域差、民族差、時代差など。

最悪はレントゲンを撮り、MRIを撮り、「C4/C5が狭くなっていてヘルニアが神経を圧迫している。しばらく治療してよくならなければ手術だ。」

次は自慢話になるが、昨年ある人から頂いたハガキだ。

「加茂先生のように、人の心身の痛みを深く感ずるセンサーをたくさん持っていらっしゃる、すぐに適切に御加療下さる医師にはまだ出会えません。職員さんもいつも温かくホッと安心できる空気も良いお薬になりました。」

痛みやシビレは「不快な情動的、感覚的体験」と定義されている。リウマチ系、痛風系、感染、悪性腫瘍、帯状疱疹後神経痛ではないという診断しかできない。それ以外はすべてMPS(筋筋膜性疼痛症候群)なのだ。

それをどの手を使って生きて行くかはよく理解した上で個人の自由なのは当然のこと。



# by junk_2004jp | 2025-07-18 02:17 | MPS