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心療整形外科

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2024年 01月 11日

脊柱管狭窄症の画像所見は症状とほとんど関連性がない

30年ほど前の文献

ノルウェーで最近行われた綿密な研究によれば、画像診断から脊柱管狭窄症の検出は不可能である。「腰部脊柱管狭窄症の疑いのある患者に対するX線検査は、現在のところ症状を有している患者を判定するには不十分です」

脊柱管狭窄症は1990年代になって診断が増加した疾患である。これは脊柱管狭窄症が以前より増加したということではなく、単に高性能の画像診断が広く使用されるようになり、多くの患者で狭窄がみつかるようになったからである。

興味深いことに、両側性の臨床症状を訴えた患者はわずか42%であったが、患者の89%で両側性の狭窄性変化を有していたのである。

様々な基準、例えぱ椎弓根の長さ、椎弓根間距離、脊柱管の前後径、椎間関節の大きさなどによって、神経経路の狭窄を定義しようとした。それらのパラメーターを単独、あるいは組み合わせて検討したところ、疼痛の強度や臨床症状の数との相関は認められなかった。「従来いわれてきた正中型と側方型の狭窄を区別する方法は、本研究では輿味深い臨床的意義は見い出せませんでした」と研究者らは述べている。



画像で見られる脊柱管狭窄と腰や下肢の痛みしびれの間には関連性がないことがわかった。「神経を圧迫すると痛みやしびれが生じる」という神経生理学はない。

間欠跛行とはしばらく歩くと腰や下肢が痛くなり休憩すると回復する症状なのだが、筋肉の症状だ。こんなことは日常でよく経験することだろう。たとえば、重いカバンを持っていて腕が痛くなったが休憩したら回復した。

ではその痛みやしびれに対して、「脊柱管狭窄症」という病名をつける根拠はあるのか?

脊柱管狭窄症ノイローゼの人も何人かみた。手術をして痛みが取れない人をたくさん診てきた。

全く根拠のない診断名をつけて人に苦痛を与えてはいけない。

私は腰や下肢の筋筋膜性疼痛症候群だと思う。痛みが広がった状態、慢性化した状態だと思う。



# by junk_2004jp | 2024-01-11 12:06 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾
2024年 01月 07日

放射線科医からのメール2007年 17年前

24年前に作ったHPをリニューアルしました。17年前に頂いた放射線科医のメールを再掲します。

筋筋膜性疼痛症候群を理解しないと「慢性痛」「急性痛」は理解できないでしょう。

臨床の現場と椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症あるいは変形性膝関節症の従来の説の間の疑問に「なるほど!」と気が付くはずです。

ある放射線科医よりメール(2007.10.3)

はじめまして。@立A病院放射線科**のBと申します。9月27日付けの先生ブログに登場した放射線医です。現在は、画像診断をもっぱらの仕事にしています。

私は、過去20年間、急性、慢性の腰痛を繰り返し、椎間板ヘルニアによる左下肢痛も味わった経験豊富な腰痛患者です。

やむなく仕事を休んだことも数度に及びます。幸いなことに、その間も痛みの全くない期間の方が長く、スポーツもしています。現在は、左下肢のわずかなシビレ感のみで、日常生活に支障はありません。整形外科、複数の整骨院、整体院、自己治療、自然軽快など、豊富な治療・治癒経験も持っています。腰痛症に関して、巷のハウツー物も含め、かなりの本も読みました。

そのような腰痛に関しては「うるさ型」の私にも、腰痛症というのは長らく理解に苦しむものでした。どうやら筋肉が主役だということまでは気づいていたのですが・・・。

ある日、偶然、先生のHPにたどり着き、筋筋膜性疼痛症候群(筋痛症)という概念を知りました。筋筋膜性疼痛症候群という概念は、本当に面白いですね。目から鱗が落ちるというのは、まさにこのことだと思いました。

この症候群を念頭において診療にあたったり、自分自身、家族、知人をながめたりすると、頭痛、頸部痛、胸痛、肩痛、腰痛、腹痛、下肢痛など、全身の多くの疼痛に、この病態が関連しているということが実感できます。

そして、おそらく幻暈(めまい)やうつといった疼痛以外の症状にも関係しているような気がします。もちろん私の腰痛の説明もすっきりできますし、腰痛に関する様々な論説も頭の中で整理できます。

そもそも西洋医学というのは、文章と数値と画像からなる医学雑誌を輪転機を使ってたくさん印刷し、世界中の多くの医師が知識を共有することによって発展してきたわけですよね。

ところが、筋肉のこわばり、疼痛、トリガーポイントなどは、科学の進んだ現在でも数値化したり画像化したりすることは困難ですから、筋筋膜性疼痛症候群は(おそらくは、偶然に)西洋医学から取り残されたのだと思います。
このことは、多くの疼痛を有する患者には、悲劇でした。(筋の拘縮や硬度が簡単に数値化、画像化されていれば、状況は違ったと思います。)ほんとに「筋肉も忘れないで下さいね」だと思います。
この分野を担当するには、整形内科、心療整形外科といった新しい科の創設が必要だと思います。本当は「整形」は関係ないので、「筋肉科」「筋肉内科」「心療筋肉科」でしょうか(笑)。

一方、筋肉の硬さ、こわばり、疼痛を大切にする鍼灸・マッサージ・整体・オステオパシーなどが、この隙間を埋めてきたのだと思います。(ちなみに私の通っているCの整体院Dは、オステオパシーの手技のひとつであるカウンターストレインという手法で、面白いように筋肉をゆるめ痛みを改善してくれます。)

さて、私の予想ですが、先生の日ごろのお嘆きとは裏腹に、インターネットやマスコミをとおして、比較的短期間にこの病態は、医師・患者に知れ渡ると思いますが、いかがでしょうか?
そのような状況は、整形外科分野だけではなく医学全体にとって、ある種の革命と呼んでも良いものだと思います。もちろん、革命の首謀者は先生だと思います。

先生のますますのご活躍を期待しております。長文失礼いたしました。




# by junk_2004jp | 2024-01-07 18:46
2024年 01月 03日

医療の現場において痛みの患者に対する不適切な診断が非常に多いということです

腰下肢痛の場合、MRI検査を行い椎間板ヘルニアの所見が見つかれば、それが痛みの原因とされ、神経根症とされてしまいます。しかし、実際には先天的に脊柱管が小さい人でなければ、ヘルニアを起こした椎間板が神経根に炎症を引き起こすことはありません。腰下肢痛の一般的な原因は、小殿筋や梨状筋などに生じたトリガーポイントに基づくものです。



2004年(20年前)の記事ですが、今も変わっていません。それどころかMRIの普及でその傾向が強くなったようにも思えます。その結果、しなくてもいい手術をして悪化する。


HOW TO TEACH DOCTOR ABOUT MPS (医者にいかにしてMPSを教えるか)
Like fibromyalgia, Myofascial Pain syndrome is an often misunderstood condition. Even today, some doctors either don't believe that MPS exists or they don't understand its symptoms and treatment. Treatment of MPS can only begin after an accurate diagnosis is accomplished.


# by junk_2004jp | 2024-01-03 12:15 | MPS
2024年 01月 02日

X線撮影が腰痛の回復を阻害 ・ 医師の作業負担を不必要に増加

「われわれの知見では、X線撮影を行うと回復が遅れる可能性のあることが示唆されている」と主席研究者で、ユニバーシティ・パーク地域保健科学学校(ノッティンガム)の提携家庭医、Mike Pringle, MDはWebMDに話す。「何故こうしたことが起こりうるか分からないが、背部痛のある患者はX線撮影をすることにより自分の症状が「重症」であると考えることが原因ではないかと推測している」。これにより、苦痛の報告がさらに増し、活動がより制限されることになる、とPringle博士らは述べている。

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合併症のない腰痛患者へのX線撮影検査は避けるべきであるとする臨床ガイドラインの勧告は,主として予測検出力の乏しい観察研究の結果に基づいている。患者には腰椎X線撮影が有用な検査であるという認識があり,また医師にも患者を満足させたい,あるいは確認を行いたいという社会的理由があることから,X線撮影が続けられている。Kendrickらの研究は,この検査が腰痛の管理において有用ではなく,短期間でみると実は疼痛が増強し,健康状態が不良になるというエビデンスを強化するものである。その一方で,X線撮影検査を受けた患者の方が9ヵ月時点での医療に対する満足度は高く,両群の患者とも検査を希望すると答えた。

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膝、頚、股関節、肘などにも同じことがいえる。

MRI,CTも同じことがいえる。

骨折、リウマチ系、偽痛風、感染症以外は画像検査に意味がない。




# by junk_2004jp | 2024-01-02 09:50
2023年 12月 31日

骨格筋は全体重の40%を占めているにもかかわらず、多くの医学教育施設において、筋骨格系については最低限のことしか教えられていない。

このことが、筋筋膜性疼痛に対して多くの誤った診断が行われている現状の説明になるかもしれない。理学療法士らは筋骨格系について詳しく勉強するが、筋筋膜トリガーポイント症侯群に関する問題を扱った臨床カリキュラムはほとんどない。

多くの場合、臨床家は自分が臨床に従事するようになって初めてこの症侯群に出合う場合が多い。そしてそれは、従来の診断や治療で患者の問題が解決できない場合が大半なのである。

「トリガーポイントと筋筋膜療法マニュアル」より  (医道の日本社)

著:Dimitrios Kostopoulos and Konstantine Rizopoulos

訳:河喜田健司(明治鍼灸大学生理学教室教授)

2002年に書かれた訳本なので、今の日本での医学教育はどうなのでしょうか。



# by junk_2004jp | 2023-12-31 15:26 | MPS