2004年 12月 02日
私が医師になったころは脊柱管狭窄症はマイナーな病名でした。あまり使われなかったと記憶しています。ところが今ではしばしば使われる病名になりました。病名の仕掛け人がいるのでしょうか? 脊柱管狭窄症の適応症の認可のおりた薬剤が開発されると、製薬会社は力を入れてピーアールに努めるわけです。 ところがその脊柱管狭窄症の診断基準がはっきりしていないのです。狭窄症というぐらいですから、画像所見は大いに参考になることと思われるでしょうが、実はそうではありません。 脊柱管狭窄症の画像:画像所見は症状とほとんど関連性がない 脊柱管狭窄症の回復は面像診断上の変化と相関するか? 構造との因果関係が不明なわけですからこの病名は不適切だと思いませんか。しばらく歩くと下腿に痛みが生じて腰をかがめなくてはいけない、一服するとまた歩けるようになるという状態で血行障害がなければ脊柱管狭窄症というレッテルが貼られることになります。それならば、「間歇跛行症候群」ぐらいの病名が適当かと思います。 神経性間歇跛行といわれていますが、私にはとうてい「神経症状」とは思えません。習慣化した筋痛症だと思っています。だから保存的治療でもよくなる人がいるのです。脊柱管狭窄症というレッテルを貼られなければもっと改善するのではないかとさえ感じています。 坐骨神経痛や脊柱管狭窄症に対する外科的治療は保存療法より有効か? 手術を受けた患者のうち約20%は全く改善がみられなかった。Atlas医師らによると、「ほとんどの患者は短期間で有意な改善が得られますが、改善しない患者もいます。さらに患者の中には初期に症状が軽快しても、時間が経つと再発する場合もあることを、手術を考えている患者に知らせなければなりません」。著明な改善は非常に早い時期にみられる。「手術の効果が最も大きかったのは3ヵ月後の時点でした」と彼らは述べている。 症状との因果関係が明確でないのだから当然のことですね。 #
by junk_2004jp
| 2004-12-02 12:01
| 慢性痛
2004年 12月 01日
坐骨神経痛や脊柱管狭窄症に対する外科的治療は保存療法より有効か? このような議論をするときSciatica(坐骨神経痛と訳します)とはなんぞや、というところから始めないと意味がありません。 整形外科医のくせに坐骨神経痛も知らないのかと思われるでしょうが、一般的に言われていることが本当に正しいのかどうか・・・つまり研究の大前提に問題があるのです。 「坐骨神経痛とはヘルニアによって坐骨神経が圧迫されておきる痛み」このような科学的に証明されていない、矛盾の多い考え方を前提に予断をもたれればおのずと検査結果は違ってくるでしょう。医師も患者もあらゆるものからフリーな立場でなくてはいけません。 「ヘルニアによって神経が押さえられているので痛い。」と思うならば、医師も患者もその言葉の呪縛を受ける可能性はあります。 手術の効果を論ずるときは「全身麻酔効果+手術そのものの効果+プラセボ効果」に分ける必要があります。 全身麻酔は筋弛緩剤の投与で筋肉は完全に弛緩します。またも脳も深い眠りになります。パソコンでいうと「購入時の状態に戻す=リカバリ」ということでしょうか。痛みの悪循環は絶たれる可能性はありますよ。その上、ヘルニアがなくなったという安心感はなにものにもまして大きいことでしょう。 真に手術そのものの効果を調べるには偽手術(全身麻酔をかけて切開だけをする)をしてヘルニアを取ったと告げることをするべきでしょうが、人道上問題があります。 変形性膝関節症への関節鏡下デブリドマンはプラセボ効果しかない これは私たちの業界で有名になった偽手術の話です。 #
by junk_2004jp
| 2004-12-01 21:29
| 慢性痛
2004年 11月 30日
今日の朝のテレビで知りました。もともと時々腰痛があったそうですが、出勤前にストレッチ体操をした後、急に腰痛をきたし身動きが出来なくなり入院されたそうです。入院後1W、まだ強い痛みと闘っているそうです。 船越さんは2時間ドラマの帝王と言われていて超過密なスケジュールをこなしていたということでした。その日は新しいドラマの撮影の初日だったそうです。 コメンテーターや病気の解説の医師は「ヘルニアが神経を押さえるので激痛が起きる」という昔ながらの説をいっていました。 生理学では正常な神経根を圧迫しても痛みは起きません。これ常識です。 アナウンサーの方は「私もなりましたが、病院へ行かずに治しました。あの激痛はなったものにしかわかりません。」(入院しないで治したという意味かもしれません?)といっていました。 痛みの本体はmyalgia(筋痛症)ですから早かれ遅かれ、麻痺を起こすことなく治ることでしょう。 myalgiaをneuralgiaのごとく説明することから矛盾が生じると思います。 #
by junk_2004jp
| 2004-11-30 23:58
| ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾
2004年 11月 29日
他県の柔道整復師A先生からの紹介の患者さんです。たぶんこれを見ていらっしゃると思います。ご紹介ありがとうございました。患者さんはよろこんで納得してお帰りになりました。 Bさん(60歳代、男性)は以前より時々腰痛になりますがそのつどA先生のところへ行き治っていました。今回、約1ヶ月前に右臀部痛が出現する。出現1W後に急に痛みが強くなり動きが困難となる。公立病院に入院する。MRIで4/5のヘルニアがあり強く神経を押さえているとのことでいずれ手術が必要となるだろうとの診断を受ける。 約1Wの入院でブロック注射などで改善したのでとりあえず退院する。(入院中2度強い腹痛に襲われる。:これはストレスが臀部にでたり腹部にでたりしているのです。) ![]() 圧痛点をブロックすると、痛みは取れて姿勢もまっすぐになりました。もともと現在はそれほど痛みは強くなかったのですが医師の「呪いの言葉」の解除のために来られたようです。 丁度その時に春より右の肩胛骨部に痛みがある同年配の男性Cさんがいましたので、同時に診察室でお話ししました。 Cさんは妻が脳梗塞で倒れて介護をはじめたころから痛みが出てきました。Cさんも圧痛点をブロックするとよくなりました。 「BさんもCさんも同じ病態なんですよ。だから同じ治療法でよくなるのです。圧痛点が肩にでたら五十肩、お尻に出たら坐骨神経痛と言っているだけのことです。いずれもストレスが関係していますが、なぜその部位を選んで表れるのかはよく分かっていません。」 #
by junk_2004jp
| 2004-11-29 20:30
| 症例
2004年 11月 28日
清原選手が2000本ヒットを打った、たしか次の日、背筋痛で、それが終わったら腹痛で試合を休みました。 緊張した仕事が終わったとたんにどーっと疲れや痛みが出るというパターンではなかったかと思います。そうでないかもしれませんが。 先日72歳の男性が左大腿部の裏側が急に痛くなり出して跛行を呈して来院されました。何も原因と思われることがない、過去にこのようなことがない、とのことでした。 大腿部の裏側の圧痛点3ヶ所をブロックすると治りました。「ホンコサン」(報恩講)というこの地方の仏事の役が終わったところでした。 痛みの出現は物理的外力的な出来事よりも、このようにストレス的なことと関係しているものです。 掲示板にお礼を書いてくださいましたヨッシーさんが先日ぎっくり腰で来院されました。大阪、東京と出張があるそうです。 #
by junk_2004jp
| 2004-11-28 18:17
| うつ・不安・ストレス
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